1 基本構想策定の経過 (1)芦屋市交通バリアフリー基本構想策定経過  本構想の策定に当たっては、「芦屋市交通バリアフリー基本構想策定委員会(委員長:三星昭宏 近畿大学理工学部学部長補佐 社会環境工学科教授)」やまち歩き点検調査などを行いました。   (2)芦屋市交通バリアフリー基本構想策定委員会設置要綱    (設置) 第1条  高齢者,身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(平成12年法律第68号)に基づき,駅等旅客施設を中心とした重点整備地区内における芦屋市交通バリアフリー基本構想(以下「基本構想」という。)の原案を策定するため,芦屋市交通バリアフリー基本構想策定委員会(以下「策定委員会」という。)を設置する。  (所掌事務) 第2条 策定委員会は,基本構想の原案策定に関する事務を所掌する。  (組織) 第3条  策定委員会は,委員20人以内で組織する。 2 委員は,次に掲げる者のうちから,市長が委嘱又は任命する。 (1) 学識経験者 (2) 市民 (3) 高齢者団体及び障がい者団体の代表者等 (4) 交通事業者 (5) 兵庫県公安委員会 (6) 国,県及び市の道路管理者 (7) 市職員及び関係行政機関の職員 (8) 前各号に掲げる者のほか,市長が特に必要と認める者  (任期) 第4条  委員の任期は,策定委員会の設置目的が達成された日までとする。  (委員長及び副委員長) 第5条 策定委員会に委員長及び副委員長を置き,委員の互選により,これを定める。 2 委員長は会務を総理し,策定委員会を代表する。 3 副委員長は,委員長を補佐し,委員長に事故があるとき,又は委員長が欠けたときは,その職務を代理する。  (会議) 第6条 策定委員会の会議は,委員長が招集し,委員長が議長となる。 2 委員長は,必要があると認めるときは,委員以外の者の出席を求め,説明又は意見を聴くことができる。 (庶務) 第7条 策定委員会の庶務は,都市計画課において処理する。  (補則) 第8条 この要綱に定めるもののほか,策定委員会の運営に必要な事項は,その都度,委員長が会議に諮って定める。 附 則  この要綱は,平成18年7月1日から施行する。 (3)芦屋市交通バリアフリー基本構想策定委員会委員   芦屋市交通バリアフリー基本構想策定委員会委員名簿 学識経験者 委員長 三星 昭宏 近畿大学理工学部学部長補佐 社会環境工学科教授 副委員長 土井 勉 神戸国際大学経済学部 都市文化経済学科教授 市民   小牧 富雄 山本 由美子 高齢者団体及び障がい者団体の代表者等 亀山 昌也 老人クラブ連合会 会長 大嶋 三郎 老人クラブ連合会 副会長 久保崎 進 芦屋市身体障害者福祉協会 会長 那須 悦子 NPO法人芦屋市手をつなぐ育成会 副理事長 木村 嘉孝 芦屋市身体障害児者父母の会 会長  豊田 徳治郎 芦屋家族会 会長 交通事業者 脇 保仁 阪神電気鉄道梶@鉄道事業本部運輸部 課長 角 洋介 阪急バス梶@自動車事業部管理課長 兵庫県公安委員会 石丸 理明 兵庫県芦屋警察署 交通課長 国,県及び市の道路管理者 木戸 一善 国土交通省近畿地方整備局 兵庫国道事務所 副所長 王子 収 兵庫県阪神南県民局県土整備部 西宮土木事務所主幹(技術担当) 定雪 満 芦屋市 建設部長 市職員及び関係行政機関の職員 橋元 正己 国土交通省近畿運輸局 交通環境部 消費者行政・情報課長 浅原 友美 芦屋市 保健福祉部長 ※平成19年3月末現在,敬称略  芦屋市交通バリアフリー基本構想策定委員会事務局名簿 池村 和己 技監 佐田 高一 建設部参事(都市計画担当部長) 徳満 文昭 建設部次長(都市計画担当) 浅田 太枝子 保健福祉部次長(総務担当) 谷崎 明日出 建設部道路課長 林  茂晴 建設部公園緑地課長 野々上 裕人 建設部都市計画課主査 吉泉 里志 建設部都市計画課係員 ※平成19年3月末現在,敬称略   (4)芦屋市交通バリアフリー基本構想策定委員会の開催状況  芦屋市交通バリアフリー基本構想策定委員会の開催状況  第1回 平成18年9月4日  ・ 交通バリアフリー法の概要について ・  芦屋市の概況について ・ 交通バリアフリー基本構想策定までの流れについて ・ 重点整備地区の設定について ・ 今後の進め方について 第2回 10月27日 ・ 「芦屋市交通バリアフリー基本構想策定委員会の傍聴要領」の制定について ・  第1回委員会で提出依頼のあった資料について ・  重点整備地区の現地点検調査の報告について ・  国道43号精道交差点改修に係る意見聴取について ・ 生活関連経路の設定(案)について ・ 重点整備地区の点検調査について 第3回 11月25日 ・ 妊婦・乳幼児同伴者,精神に障がいのある方等からの参考意見(ヒアリング)について ・ 芦屋市交通バリアフリー基本構想素案中間まとめについて ・ 国道43号精道交差点について 第4回 12月26日 ・ 芦屋市交通バリアフリー基本構想素案について ・ 国道43号精道交差点について 第5回 平成19年2月26日 ・ 芦屋市交通バリアフリー基本構想素案について ・ 国道43号精道交差点について 第6回 3月28日 ・ 芦屋市交通バリアフリー基本構想原案について ●市民委員の公募:平成18年7月1日〜18日 募集人数:2人以内       (5)基本構想策定への市民意見  平成19年1月26日から平成19年2月26日までの期間において,「芦屋市交通バリアフリー基本構想素案」(以下,素案という。)について,市民意見の募集を行いました。また,上記期間中において「協議中」としていた国道43号精道交差点区間の特定事業については,平成19年3月6日から平成19年3月19日までの期間において市民意見の募集を行いました。  市民の皆さんからご意見を募集したところ,4人から合計13件のご意見をいただきました。その結果は以下のとおりです。   ● 市民意見募集の実施状況(国道43号精道交差点区間の特定事業を除く) 意見募集期間 平成19年1月26日〜平成19年2月26日 素案公表の方法 市ホームページに掲載 都市計画課及び行政情報コーナーなどで閲覧 市民周知の方法 市広報紙1月15日号に掲載し,市ホームページにも掲載 ● 結果発表 意見の提出件数 4人 13件 意見の内訳 全体意見1件,個別意見11件,素案以外の意見1件 意見の取扱い 「意見を反映」 1件  意見を受けて素案に追加するもの又は素案の内容を修正するもの 「実施に当たり考慮」 3件  基本構想に基づきバリアフリー化事業を実施する段階で意見内容を考慮するもの 「素案で考慮済み」 2件  意見の趣旨をすでに素案に織り込み済みのもの 「説明」 6件  素案の趣旨を説明し,理解を得るもの 「素案に関する内容以外の意見」 1件 ● 市民意見募集の実施状況(国道43号精道交差点区間の特定事業) 意見募集期間 平成19年3月6日〜平成19年3月19日 素案公表の方法 市ホームページに掲載 都市計画課及び行政情報コーナーなどで閲覧 市民周知の方法 市ホームページに掲載 ● 結果発表 意見の提出件数 0件 ● 全体意見 番号1 内容(要旨)  基本構想素案は,丁寧に問題を整理し提示されていると思う。基本構想の内容を具体化する際には,市民に十分な内容を周知するとともに,検討プロセスの公開や市民の意見を反映し,短期・長期的に具体化していくことが大切である。 取扱い  素案で考慮済み 市(及び各特定事業者)の考え方  この基本構想策定後は,各施設設置管理者などが基本構想に即して,具体的な整備内容などを定める特定事業計画を策定し,バリアフリー化事業を実施することになります。  素案93ページの「ア 継続的改善に向けての取り組み」に,特定事業計画の策定や事業の実施においても,利用者の意見の把握や広く市民への情報提供などを行い,ご意見を踏まえた取り組みを進めることを記載しています。  また,基本構想で時期を短期としている事業は原則,平成22年までの実施を目標としています。 (市) ● 個別意見 番号2 内容(要旨)  阪神芦屋駅について,エレベーターの設置はもちろんのことですが,エスカレーターも上り・下り両方設置して欲しい。 取扱い  説明 市(及び各特定事業者)の考え方  阪神芦屋駅のエレベーター整備につきましては,素案80ページの「ア 公共交通特定事業」の中に盛り込んでおり,今後,関係機関等と調整を図りながら,平成19年度中の供用開始に向けて進めてまいります。    (市,阪神電鉄)  なお,エスカレーターの増設につきましては,駅の構造的な要因から現在の階段幅員内に設置するしかない状況です。その場合は,相当に階段幅が狭くなってしまい旅客流動に支障をきたす可能性が出てまいりますので,整備は容易でないと考えております。  (阪神電鉄) 番号3 内容(要旨)  現在,阪神打出駅でエレベーターの設置工事を行っているが,出入り口が非常に狭くなり,また入り口が一方しかないため,乗降に非常に不便である。さらに,踏切を無理して渡ろうとする人もいて危険である。阪神芦屋駅などでは配慮して頂きたい。 取扱い  実施に当たり考慮 市(及び各特定事業者)の考え方  打出駅のエレベーター整備工事では,施工過程の中で,どうしても出入口を狭くし,一方向を閉鎖せざるを得ない状況になっておりましたが,現在は解消されています。また,線路を挟んで北側と南側の連絡地下道も整備しております。  芦屋駅のエレベーター設置につきましては,利用者の安全確保を第一に,旅客流動にも出来るだけ支障がないように配慮したいと考えております。  また,工事期間中のバリアフリー対策についても,障がいのある方などに対する援助など充分留意して対応してまいります。  ただ,狭い駅空間の中で営業を続けながらの工事施工となりますので,通路が狭くなるなど,どうしても何らかのご不便をおかけすることになると考えられます。この辺りは何卒,ご理解とご協力をお願いいたします。(市,阪神電鉄) 番号4 内容(要旨) 券売機のインターホンが音声のみのため,聴覚に障がいのある方は使えない。マンションのオートロックのようなカラー画面にすると,お互い紙に文字を書いて,見せ合うことが出来る。 取扱い  説明  市(及び各特定事業者)の考え方  ご提案の趣旨はよく理解できますが,そのような設備は,まだ一般的ではなく,今後のバリアフリー上の研究,検討課題として認識させて頂きます。(阪神電鉄) 番号5 内容(要旨)  事故などで電車が運休や遅延運転になった場合,マイクの放送だけでは,聴覚に障がいのある方は何があったのかが分からない。駅ホームの案内表示器に緊急時の情報も流して欲しい。難聴者,失聴者にとっては,目に見えるものが情報です。  また,緊急時の情報を携帯サイトで見ることが出来るようにして欲しい。携帯サイトで確認できれば,「知りたい情報を,知りたい時に知れる」という,大きなバリアフリーになる。 取扱い  説明   市(及び各特定事業者)の考え方  現在,阪神電鉄では,列車遅延などの異常時の状況に併せて,案内表示器でも情報提供を実施しております。  また,「30分以上の列車遅延」が発生した場合は,携帯サイトにおいても情報提供を実施しております。 (参考)携帯サイト: http://www.hanshin.co.jp/railinfo/m/index.html(阪神電鉄) 番号6 内容(要旨)  駅員室に耳マークとボードを置いて欲しい。駅員に尋ねたりする場合,自分は耳が聞こえにくいため躊躇してしまう。 「筆談します」というマークがあれば,遠慮せずに尋ねることが出来る。  また,耳マークやボードでコミュニケーションをとっている駅員と聴覚に障がいのある方を見て,「このようなサポートが必要なんだ」「このようにすればコミュニケーションがとれるんだ」と,一般の乗客も分かってくれる。 取扱い  実施に当たり考慮 市(及び各特定事業者)の考え方  現在,阪神電鉄では,駅長所在駅に筆談器ボードを設置しております。芦屋駅は駅長所在駅ではありませんので,筆談器ボードは設置しておりませんが,芦屋駅及びその他の駅長不在駅でも用紙,筆記具は備え付けておりますのでご利用頂けます。    耳マークなどの設置につきましては,現在,国が中心となって,鉄道駅等の望ましい整備内容を示す新ガイドラインが策定中であり,この動向を踏まえながら,設置を検討していきたいと考えております。(阪神電鉄) 番号7 内容(要旨)  駅ホームの運行情報が見えにくい。(案内表示器が見えにくい場所に設置されており,弱視の方にとって「情報」と呼べるものではない。)  駅ホームに,車椅子の方や子供でも見えやすい角度,字の大きさの運行情報提供設備があればよい。 取扱い  意見を反映 市(及び各特定事業者)の考え方  素案80ページの「ア 公共交通特定事業」の中に,案内表示器の施設更新時期には,ご意見を踏まえた設置場所などを含めて検討していく旨を記載します。(市,阪神電鉄) 番号8 内容(要旨)  市道216号線と県道奥山精道線との標高差は,阪神芦屋駅周辺部が最も大きいと思われる。周辺地域から駅へアクセスする経路のバリアフリー化が困難な状況にあるとはいえ,将来の計画も含め示されていない。 取扱い  素案で考慮済み 市(及び各特定事業者)の考え方  ご指摘のとおり,市道216号線と県道奥山精道線との標高差が大きく,駅へアクセスする周辺経路のバリアフリー化が困難な状況ではありますが,素案80ページの「ア 公共交通特定事業」の中において,駅東改札外から県道奥山精道線間の段差解消施設の整備について長期的に検討していく旨を記載しております。(阪神電鉄,市及び関係機関) 番号9 内容(要旨)  阪神芦屋駅南側道路は,緊急車両の通行する重要な経路であり,阪神電鉄の踏切を迂回する経路として重要であるにも拘らず,市道216号線の横断歩道にのみ言及されているに過ぎない。円滑な通行が確保されていないばかりか危険。 取扱い  説明 市(及び各特定事業者)の考え方  ご指摘の阪神芦屋駅の南側道路につきましては現在,歩道が未設置であり道路周辺の現況を考えると歩道の設置は困難と考えています。  ただし,市道216号線と県道奥山精道線と連絡する経路の必要性は認識しており,市役所北館前花壇の北側に東西スロープを設置しているところです。今後は,素案89ページの「(エ) バリアフリー情報の提供」において,このスロープの存在や,その他安全な歩行者空間についても周知していきたいと考えています。(市) 番号10 内容(要旨)  「まち歩き点検調査」は歩行によるものであり,芦屋駅に乗降するため,車両を利用した場合の乗降にまで調査が及んでいない。タクシーが乗客を降ろすのに市道216号線の横断歩道上に停車するのをよく見かける。駅周辺に車両の停車スペースが必要。 取扱い  説明 市(及び各特定事業者)の考え方  ご指摘のとおり駅周辺の車両の停車スペースの必要性については認識しておりますが,駅周辺道路の現状の幅員では,歩道幅員の拡幅とあわせた停車帯の設置は困難であると考えております。(市) 番号11 内容(要旨)  駅改札から駅北部の公共施設へのバリアフリー経路は,現状ではA-6,A-7が考えられるが,実行可能性の検討と指摘はなされているものの,実現するためのプランなどが示されていない。 取扱い  説明 市(及び各特定事業者)の考え方  この基本構想策定後は,各施設設置管理者などが基本構想に即して,具体的な整備内容などを定める特定事業計画を策定し,バリアフリー化を実施することになります。事業の実施に向けて利用者や地域住民の意見を把握していきたいと考えています。  なお,A-6,A-7などの生活関連経路Tについては,平成22年までにバリアフリー化の実施を目標としています。(市) 番号12 内容(要旨)  市民などが連携したフォローアップ体制について,市民と協力して,継続的な取組を行い,連携して検討し,利用者の意見を把握,多様な関係者の参画と書き連ねられているが,周辺地域のステークホルダーに対し積極的な働きかけも無く,一方通行化との感を拭えない。 取扱い  説明 市(及び各特定事業者)の考え方  この基本構想の策定にあたっては,策定委員会やまち歩き点検調査などにおいて,多数の高齢者や障がいのある方などに参画して頂きました。このような取組を一過性のものとせず,事業の実施においても,利用者や地域住民の意見を継続的に把握していきたいと考えています。そのためのフォローアップ体制の整備を検討するものです。(市) ● 素案に関する内容以外の意見 番号13 内容(要旨)  「芦屋のユニバーサルデザインのまちづくり」についての提案。  芦屋市では,六甲山,芦屋川,宮川,海の恵まれた自然環境を生かしたまちづくりが望まれる。全ての市民が,これらの環境を十分に享受できる街が「芦屋のユニバーサルデザインのまちづくり」の骨格になる。@ 六甲山腹から海を眺めることができる。芦屋の街が見渡せる。A 芦屋川に触れることができる。B 海浜と接することができる。車いすを使用する方でもこれらを可能とすることが,芦屋に住む人々の生活をより豊かにすると確信している。 市(及び各特定事業者)の考え方  ご提案いただいた内容については,治水上や安全性等の面からも難しい状況ではありますが,今後の施策の参考にしていきたいと考えています。(市)