02-03 特 集 国登録有形文化財 旧芦屋市営宮塚町住宅 日華石(にっかせき)で造られた元市営住宅が文化財に 問い合わせ 生涯学習課 ☎38-2115  今年の3月に、旧宮塚町住宅が国登録有形文化財(文化財名称は「旧芦屋市営宮塚町住宅」)に登録されることが決定しました。この建物は昭和28(1953)年に建設された市営住宅で、平成29(2017)年にその役目を終えた後、耐震改修工事とリノベーションを行い、令和元(2019)年から紅茶専門店や、ものづくり職人のお店が集まるおしゃれな建物として生まれかわりました。 戦後復興期に建設された市営住宅  昭和20(1945)年、芦屋市は4度の空襲によって市街地の約4割が焼失し、終戦後は深刻な住宅不足に見舞われました。それに対応するため昭和21(1946)年から市営の木造住宅の建設を開始しました。当時は都市の不燃化を目指していましたので、昭和27(1952)年に市営住宅で初めて鉄筋コンクリート造(4階建)の宮塚町住宅北棟(現存せず)を建設し、翌昭和28(1953)年には石造(2階建)の宮塚町住宅南棟(今回の旧宮塚町住宅)を建設しました。  宮塚町住宅(北棟・南棟)は、戦後復興期の深刻な住宅不足と建物の不燃化に対して本市が建設した最初の非木造の市営住宅でした。昭和20年代の公営住宅を知ることができる全国的にも稀少な現存例として高く評価され、国登録有形文化財に登録されました。 なぜ、石造り?  旧宮塚町住宅は全国で唯一の石造の集合住宅で、その最大の特徴は日華石(石川県小松市産の凝灰岩)を用いた石造の外壁です。この構造を詳しくみると、各石材の間に鉄筋を張り巡らせることによって石造でありながら耐震性にも優れたものになっています。  なぜ、旧宮塚町住宅は大変珍しい石造なのでしょうか?昭和20年代に建物の不燃化が検討される中、当時のセメント不足の解決策として、外壁の材料にコンクリートではなく、石材を用いたためではないかと推測しています。  また、石造りはデザイン的にも優れていると考えられたのでしょう。 旧宮塚町住宅のショップ・アトリエ 紅茶専門店  Tea Saloon MUSICA レザーグッズ  Ameeriega toribitatta ハンドメイドの革靴  ツムジ靴店 ガラス工房  火の果ぐらす オーダースーツ  galanterie club 家具製作・修理  grow-grow 手作りのうつわ  yoshida pottery 「旧宮塚町住宅」への      アクセス 芦屋市宮塚町12-24 *JR芦屋駅から、徒歩約8分 * 阪神芦屋駅から徒歩約10分 旧宮塚町住宅の注目ポイント! ■日華石は国会議事堂や旧甲子園ホテル(西宮市所在。現・武庫川女子大学甲子園会館)にも使用されている石材。軽量で、通気性が良く、湿気を帯びにくい、柔らかく加工がしやすいのが特長。表面には、「ツルメ」と呼ばれる石材を加工した痕が顕著に残る。  スラブとコンクリートブロックの表面を洗い出し仕上げとすることによって、石材とコンクリートの材質の違いを目立たなくさせ、建物全体が石造であるかのようなデザインを生み出している。 ■1階の階段室の壁にはゴミ箱が設けられており、その裏側には金属製の投入口がある。 ■リノベーション前の室内。間取りは、居間兼客間の板間と6畳と4畳半の和室。 ■木製に金属板張りの流し台等、昭和20年代の台所が、ガラス工房となった今も使われている。 CITY FARM CLUB エリアブランディングの魅力資源としても活用 問い合わせ 人権・男女共生課 ☎38-2518 芦屋生まれの野菜を収穫! 有限会社 Lusie代表 小泉寛明 さん  旧宮塚町住宅の北側の敷地は、4月よりシティーファームクラブの名称で農業クラブの農園として利用しています。 毎週土曜日にプロの農家さんがここを訪れて、メンバーの皆さんは農作物の育て方などの指導を受けられるシステムになっています。メンバーの皆さんの育てる野菜も人によってさまざま。4月初旬に植えられた種や苗は順調に育ち、新鮮な野菜を収穫しています。  農園のオープンに際しては、イベントを計画していましたが、新型コロナウィルス感染症の問題から、開催できませんでした。今後の状況に注視しながらも、定期的にガーデン部分で近隣の皆さんが農業に触れたり、野菜を購入したりできる企画を開催したいと思っています。  野菜を育てるということは、自分たちが日々食べているものがどのように生育するのかを良く知るとても良い機会です。皆さんの庭やベランダなどでも、野菜や果樹を育て食卓にのせることをやってみてはどうですか?食べ物に対する価値観が変わりますよ。  また旧宮塚町住宅の7つの店舗は、個性的なショップ・アトリエ・ワークショップなど魅力的なお店ばかり。近くに来られることがあれば、 ぜひお立ち寄りください。 旧宮塚町住宅のこれから  旧宮塚町住宅は、本市が昭和26(1951)年に国際文化住宅都市となってから間もない頃に建設された市営住宅であり、世界に誇れる住宅都市としての発展を目指す当時の人々の熱い思いを感じとることができます。  旧宮塚町住宅が国登録有形文化財となることを機に、この建物の歴史的建造物としての価値を広く知ってもらい、文化財として大切に守り、将来へ継承していきます。そして、エリアブランディングの核となる魅力資源としても有効に活用していきたいと思います。