02-03 特集 固定的な性別役割分担(意識)を考える 性別にとらわれず個性と能力を発揮できる社会へ 問い合わせ 人権・男女共生課 ☎38-2023 「固定的性別役割分担意識」とは  「イクメン・カジメン」「女性活躍推進」という言葉は、今ではすっかりお馴染みになりました。でも「男は仕事・女は家庭」「夫は外で働き・妻は家庭を守るべきである」などの考え方は、日本にまだ根強く残っています。  実際に6歳未満の子どもを持つ夫婦の家事・育児の関連時間(週全体平均)に関する世界比較をデータで見ると、「子育てがしやすい国」として有名なスウェーデンでは、妻と夫の家事・育児に関する時間に大きな差がないのに対し、日本では圧倒的に妻の方が家事・育児に時間を使っており、夫との間に大きな差があります。  このように私たちの意識の中で長い時間をかけて形作られた性別に基づく考え方を「固定的性別役割分担意識」と言います。  「女性だから料理が上手じゃないと」「男性だからしっかり稼いでこないと」そんな「女だから」「男だから」と、性別によって役割や責任を分担するのが当然と考えることが無意識のうちに自分や他人の可能性を制限してしまっているのではないのでしょうか。 「固定的性別役割分担意識」を見直してみよう  性別に関係なく誰もが自分らしく生きられるように、それぞれの個性と能力を発揮できる「男女共同参画社会」を実現するためには、この「固定的性別役割分担意識」を一人ひとりが見直す必要があります。  共働き世帯が増加する中、仕事や家事・育児、地域活動や防災対策など、今まで以上に広い分野で、性別にかかわらず男性と女性が共に協力し合うことが求められています。  また、「固定的性別役割分担意識」を見直すことは、女性が充実したライフプランやキャリアプランを築くことを可能にするだけではなく、男性自身が感じる「一家を経済的に支える大黒柱たるべき」というプレッシャーを取り除き、「仕事一筋」以外の生き方の選択肢を広げることにつながります。  無意識のうちに自分自身や他人の可能性を制限してしまわないために、性別に基づく固定的な考え方を少しずつ見直していきましょう。 性別にとらわれることなくイキイキと活躍する皆さんへインタビュー やりたいことがあるならチャレンジ ひとりで一から不動産スタイリングの会社を立ち上げた2児の母 起業家:矢野万里絵さん 子育てに充実した日々を送っていましたが、“半径5㎞の世界で生きている自分“が「もったいない」と思うようになり、芦屋市商工会創業塾の学びをきっかけに、芦屋リジューム(※P3右上参照)やLED関西のチャレンジを経て、少しずつ起業へのイメージを現実のものにしていきました。 専業主婦期間が長かったので、仕事を始めた時は不安もありましたが、家の外でも使命を持つことで、以前よりもバランスよく家庭を大切にできるようになり、自分のペースで仕事に取り組んでいきました。 女性は結婚や出産、育児、介護など家庭内の役割と社会的な働き方の間で迷うことも多いと思います。でも、何かやりたいことがあるならチャレンジするべきです。 等身大の自分で小さな一歩を踏み出せば、道は拓けていくと思います。 子育てに父親も母親も関係ない 現在、1歳10カ月と5カ月の2児の父親として育児に奮闘中 イクメンパパ:勝部尚樹さん まさか自分が育児休業を取るなんて思っていませんでした。 でも夫婦で育児について話し合う中で、「仕事はこれから何十年もしていくけど、育児休業は今しか取ることができない」と思い職場復帰する妻と交代で取得しました。 いざ家事・育児を第一責任者としてやってみると、その気になればできるんだと思いました。困ったことといえば、公園に行っても、なかなかママ友ができないんですよ(笑)父親同士で気軽に意見交換ができる場も大事だと思います。 まだまだ男性の育児休業の取得率は低いですが、子育てに父親も母親も関係ないと思います。男性も子どもの成長過程に関わることがあたりまえの社会になれば良いと思います。 防災に女性ならではの意見を取り入れて 普段は小学校の養護教諭をしながら、防災士として活躍 防災士:北川智嘉子さん 災害が起こった時、行政の力だけに頼るのではなく“地域の力も大事”だと思います。 私は地震が起こった時にどう行動したらいいのかなどの情報を地域に広げる“パイプ役”を担えればと思っています。 例えば、平日の昼間に災害が起こった時すぐ動けるのは子育てをしているお母さんやお年寄りのかたが多いですから、女性のアイデアや声を反映した地域での防災組織づくりが大切です。地域に女性の防災士がいれば気軽に声をかけてもらいやすいのではないでしょうか。 また、避難所運営においては、炊き出しは女性、というような固定的な役割分担を見直し、性別や年齢に関わらず得意なことを活かせるような役割分担にすることが、強い防災力をもった街づくりにつながると思います。 男性の保育士が働きやすい社会に 精道こども園で、日々子どもたちの成長を見守る保育教諭 保育教諭:大林将梧さん こども園は子どもが一番初めに社会に入っていく所。その子どもたちに関わりたいと思い、保育士を目指すようになりました。 僕はピアノは苦手ですが、体を使った遊びは得意で男性・女性ではなく、先生同士が得意なことでカバーしていければと思います。女性が多い職場に男性が加わることで、新しいアイデアや人間関係が円滑になる場面もあるので、男性の保育士がこれから増えていけば嬉しいです。保育士の仕事は「子どもと一緒に成長を感じられる」魅力があります。男性は職業選択の時に“保育士”をはじめから省いてる人がほとんどだと思いますが、これからは選択肢の一つになれば嬉しいです。 僕が頑張ることで、今の子どもたちが将来保育士を目指してもらえるようこれからも子どもたちと向き合っていきます。 品格ある社会の男性と女性 昭和女子大学理事長・総長 元内閣府男女共同参画局長・元埼玉県副知事 坂東 眞理子さん  これからの社会は新型コロナで象徴されるように想定外のことが次々と起こるに違いありません。その中で品格をもって生きていくためには自分の先入観にとらわれ「女性は家庭第一であるべきだ、男性はつよくあるべきだ」と決めつけないことが大事です。  なぜ女性の過半数が不安定雇用なのか、なぜシングルマザーや高齢女性は貧困なのか、もっと現実を直視し、それぞれの抱える課題に柔軟に対応していかねばなりません。  他の国に比べ日本の若い男女が自己肯定感、自己効力感が低いといわれますが、それは女性(男性)がこうであるべきだという大人の生き方の反映なのではないでしょうか。人に迷惑をかけるなと突き放すのではなく、もっと自分や周囲の人に優しくなる。短所を批判しあうのではなく、それぞれの長所で人や社会に貢献し、援助する力を持つことが重要です。  男女共同参画社会とは、男性も女性もそれぞれが直面する社会的課題をシェアし、相手の抱える困難に共感し、お互いを助け合うことです。SHARE・SYMPATHY・SUPPORTの3つのSをもつことで、これからの社会は活性化し、生きやすくなるのではないでしょうか。 芦屋市での男女共同参画の取り組み 男女共同参画センター通信「ウィザス」の発行 男女共同参画社会の実現のためジェンダーに関する最新の話題や、さまざまな男女共同参画に関するテーマを取り上げています。市内公共施設等で配布しています。 女性が輝くまち芦屋プロジェクト       「ASHIYA RESUME(芦屋リジューム)」 もう一度働きたい、働き方を変えたいという思いを持った女性たちへ多様な働き方を提案し、個々の状況に合わせた支援を行うものです。子育てと仕事の両立や再就労・起業をサポートすることで、女性活躍を推進しようとする事業です。 子どもと一緒にパパ同士でお話しませんか? ■日時 6月19日(土)午前10時~11時30分■会場 男女共同参画センター■内容 子どもを遊ばせながら、パパ同士でお話しませんか?子育てに関すること、パパ同士でしか話せない悩みなどなんでもOKです。入退場自由です。気軽にお立ち寄りください。■対象 パパと0~2歳のお子さん■問い合わせ 男女共同参画センターウィザスあしや ☎38-2023 芦屋市男女共同参画週間(6月23日~29日)の催し 問い合わせ 人権・男女共生課 ☎38-2055 坂東眞理子さん講演会 「~力強く、そしてやさしく~品格ある社会の男性と女性」 ■日時 7月3日(土)午後1時30分~3時(1時開場)■会場 上宮川文化センター■定員 100人■持ち物上履き・靴袋■申し込み 6月1日(火)から電話で上記へ ※日曜日を除く※手話通訳あり・託児あり〈0歳6カ月~未就学児・3人・6月30日(水)までに要予約〉 啓発映画会 「ママをやめてもいいですか!?」 人知れず子育てに悩み、つまずき、それでも子どもを愛し、前を向くママとその家族の歩みを、涙と笑いを交えながら綴った物語。 ■日時 6月26日(土)①午前10時~11時45分②午後1時15分~3時③3時45分~5時30分(各回30分前開場)■会場 男女共同参画センター■定員 各回40人■申し込み 6月1日(火)から電話で上記へ ※日曜日を除く※託児あり〈0歳6カ月~未就学児・各回3人・6月23日(水)までに要予約〉