04 特 集 2 コロナ禍における『がん』 ~忘れないで!がん早期発見の重要性~ 問い合わせ 芦屋病院 ☎31-2156 『新型コロナウイルス感染症とがん』 血液・腫瘍内科部長 池田 弘和 2019年12月に中国で最初に報告された新型コロナウイルスは、その後瞬く間に全世界に拡大しました。ワクチン接種により国内では第5波の後、一時は落ち着くかに見えましたが、新たなオミクロン変異株が出現して急速に患者数が増加しており、収束のめどがたたない状態です。 一方、日本人の死因は、[メール]性新生物(がん)が第1位で、4人に1人はがんでなくなる時代です。感染拡大防止のために三密回避や不要不急の活動の抑制は致し方ないことではありますが、日本対がん協会によると検診受診率が一時大幅に減少し、早期がんの患者数も減少したと報告されています。がんの発生率が急に減少する可能性は低く、受診控えによる早期発見の機会が失われていることが原因と考えられます。実際に当院においても、コロナ感染が怖いからと受診を先延ばしされ、来院された時には積極的な治療が困難な状態にまで進行してしまっていたがん患者さんを経験しています。 それぞれの医療機関では、きちんと感染防止対策をとりながら検診や各種検査を実施しています。現在流行し始めたオミクロン株についてはまだ不明な点も多く、最新の情報に従って対応しなくてはなりませんが、「感染」と「治療できる機会を失うこと」のリスクのバランスを考えながら必要な検診や診察を受けていただくことが大切と思います。 このような症状はありませんか? ~体力が落ちた・食欲が減った・体重減少などの体調の変化は要注意です!~ 「胃が痛む、便の調子がおかしい、 物が飲み込みにくいなど」 【消化器内科へ受診を】 当院の消化器内科では消化管・肝胆膵分野の診療を幅広く行っています。消化器疾患の症状として、食欲はあるが、食べるとすぐにおなかがいっぱいになる。吐き気がある。ゲップがよくでる。ものが飲み込みにくい、詰まる感じがある。みぞおちが痛む(みぞおちの背中側が痛む)、もしくは痛むとまではいかないが、なんとなく違和感がある。おなかがはる。便の調子がおかしくなった(便秘がちになった、下痢気味になった、便が細くなった、便秘と下痢をくりかえすなど)、便に血が混じる、白目が黄色いなどの症状は注意が必要です。このような症状がある場合は、消化器内科を受診してください。 当院では、上下部内視鏡やカプセル内視鏡により食道から肛門まで全消化管の検査、治療が可能であり、消化管がんの内視鏡治療も低侵襲かつ根治的な治療を行っています。 「乳房にしこりがある」 【乳腺外科へ受診を】 乳がんは女性のがんの中で最も多く現在爆発的に増加傾向にある疾患です。しかし早期発見し、正しい治療を受ければ大切な乳房を失うことなく完治する疾患でもあります。乳がん検診は自己検診も重要でしこりを感じたらすぐ に受診することはもちろんですが、自覚症状がなくても30歳を過ぎたら専門医療機関での検診を年1回行うことをお勧めします。これにより触診でもわからないほどの微小乳がんを発見することも可能です。当院では乳腺の診察はいつでも可能ですが、特に乳腺専門外来を火曜日、水曜日、木曜日に開設しており予約センターでの電話予約も可能です。また、当院は高性能の乳房撮影装置(3次元マンモグラフィー)と高感度の超音波機器を装備しており、専門のスタッフによる検査と専門医による診断・結果説明が1日で受けられますので気軽に受診してください。 「不正出血がある」 【産婦人科へ受診を】 子宮体がんは50~70歳代の方に多くみられる疾患です。最もよく見られる自覚症状は不正出血(月経時以外の出血、長引く月経)です。不正出血はがん以外で出現する場合もありますが、特に閉経後に性器出血を自覚された場合は早めの婦人科受診をお勧めいたします。 子宮頸がんは20~40歳代を中心に増加しています。定期健診により前癌病変の段階で診断できれば、子宮摘出や侵襲の大きい手術を避けることができるため、20歳を過ぎたら子宮頸がん検診を受け始めて下さい。 また、子宮頸がんの原因であるHPV(ヒトパピローマウイルス)に対するワクチンの接種がリスクを下げることもわかっています。子宮頸がんは自覚症状が出る頃には進行している場合が多く、早期発見、予防のためには定期健診とワクチン接種が大切です。 体調の変化は感じるが、どの科へ受診して良いかわからない場合は、内科の初診外来へ。当院の内科初診は、経験豊富な医師が診療し、症状に応じて適切な専門外来や医療機関を紹介します。 かかりつけ医がある場合は、紹介状(診療情報提供書)をご持参ください。 人間ドック・検診はコロナ禍でも毎年受診しましょう! 《人間ドック基本コース:税込50,000円》 胸部CT/心電図/胃カメラ/腹部エコー/血液検査/尿一般検査/便潜血検査/眼科検査/聴力検査/乳がん検診(女性)/子宮頸がん検診(女性)/前立腺検査(男性) 《オプション検査(有料)》※金額は芦屋病院ホームページ・お電話でご確認ください 脳ドック/ピロリ菌検査/腫瘍マーカー/骨密度検査/頸動脈エコー検査/体液量測定/HPV検査/内臓脂肪測定 他 《人間ドック検査料助成》 芦屋市国民健康保険の被保険者、後期高齢者医療制度の被保険者の人は、基本コース検査料の一部助成が受けられます。 新型コロナウィルス感染症のまん延で受診を控えてはいませんか?早期発見・早期治療のためにぜひご利用ください。 申し込み&問い合わせ 芦屋病院 医事課検診担当 ☎31-2156(平日午後2時~4時30分)