■平成２８年度第２回　芦屋市自立支援協議会　会議録

■日　　時　平成２８年１２月２６日　月曜日　午後１時３０分～午後３時３０分

■場　　所　消防庁舎３階　多目的ホール

■出 席 者
　会　　長　　　堺　孰
　副 会 長　　　木下　隆志
　委　　員　    仲西　博子　　田中　佐代子　尾﨑　郁子　 俵原　正仁
           　 　川辺　麻起子　森實　伸一　　木村　嘉孝　  朝倉　己作
　　　　　　　　齊藤　登      岡本　直子　  加納　多惠子　脇　 朋美　
　　　　　　　　三谷　百香    鈴木　敦子　  寺岡　康世    中山　潤美
　　　　　　　　山口　佐起子　福田　晶子    寺本　慎児
　欠席委員　　　長澤　豊　    長野　良三　 
　関 係 課　　　細井　洋海
　事 務 局　　　本間　慶一　  川口　弥良　  長谷　啓弘　  吉川　里香　
　　　　　　　　松丸　真奈

■事務局　　　　障害福祉課

■会議の公開　　公　開

■傍聴者数　　　０　人

■１　会議次第
　(1) 開会
　　　開始時点で２３人中２１人の委員の出席により成立
　(2)会長挨拶
　(3)議事
　　　①専門部会活動報告について
　　　②実務者会活動報告について
　　　③障がい者差別解消支援地域協議会について
　　　④地域移行・地域定着について
　 　 ⑤その他
　(4) 閉会　　 
　
■２　提出資料
　　資料１　　　　　　　　芦屋市自立支援協議会委員名簿
　　資料２　　　　　　　  自立支援協議会専門部会について
　　資料３                自立支援協議会実務者会について
　　資料４　　　　　　　  障がい者差別解消支援地域協議会について＜報告＞
　　資料５－１　　　　　  地域移行支援・地域定着支援の概要
　　資料５－２　　　　　　兵庫県での地域移行・地域定着支援の取組について

■３　審議経過

　　（１）専門部会活動報告について　
    障がい者基幹相談支援センターより「専門部会活動報告について」説明

　　（堺会長）
　　「芦屋っぷ」の改訂について，本冊子は芦屋市における障がい関係の施設の事業
　　やサービスを一覧で見ることが出来るもので，改訂前の発行分も非常に好評でした。
　　今回は約何部の印刷を予定していますか。
　　（三谷委員）　
　　今回の改訂では印刷部数３，０００部を予定しております。
　　（堺会長）
　　配布の方法は，前回と同じですか。
　　（三谷委員）
　　そうです。窓口に相談にいらっしゃった方や冊子をご希望された方，その他冊子の
　　作成においてご協力いただいた事業所にも配布する予定です。
　　（堺会長）　　
　　了解しました。それではこの「芦屋っぷ」について気になる点や，疑問に思う点等
　　何でも結構ですので，ご意見やご質問がありましたらお願いします。
　　（朝倉委員）
　　障がい者の支援を行う団体に，芦屋市障がい者スポーツ指導者協議会を追加してい
　　ただけたら，と思います。毎年行われる障がい者・児とのふれあい市民運動会の際に
　　も協議会の方にご協力いただいていますし，月に１度保健福祉センターで行われる「し
　　ょうがい者とのスポーツ交流ひろば」でも５年程継続的にご協力いただいております。
　　（堺会長）
　　ぜひ該当ページに，追加して掲載いただきたいと思います。
　　（加納委員）
　　「芦屋っぷ」の２４ページの下部の福祉避難所のＱ＆Ａの文章の左下に，小さい文
　　字で『※「福祉避難所」になるのは，芦屋市保健福祉センター，みどり地域生活支援
　　センターの２か所です』と掲載があるのですが，この部分についてもう少し大きく強
　　調した方がよいのではないかと思います。
　　それに加えて，この「福祉避難所」Ｑ＆ＡのＱ１の質問に対する回答Ａ１の「福祉
　　避難所は，災害後の必要に応じて開設されます。」という表現ですが，必要に応じて
　　開設されることは誤りではないですが，何か問題があったらお知らせしますと言われ
　　ているような，印象を受けたのですが，どうでしょうか。
　　（三谷委員）
　　こちらの文章は都市建設部防災安全課の担当者と協議し，このような表現にさせて
　　いただいたのですが，どのような表現だとよりわかりやすいでしょうか。
　　（加納委員）
　　普段から「緊急災害時に避難すべき避難所」を各自が意識しておくことが重要であ
　　り，災害発生時には自分一人でもそこへ飛び込んでいけるという思いであってほしい
　　と思いますので，この冊子においてはもう少し福祉避難所の存在を強調していただき
　　と思いました。
　　（堺会長）
　　福祉避難所というのは，津波避難ビルとは違いますよね。
　　（三谷委員）
　　はい，異なります。福祉避難所の開設は，災害の状況に応じて，災害対策本部が開
　　設することを判断した場合に開設されるもので，一般の避難所とは少し取り扱いが異
　　なります。福祉避難所が開設された場合には，保健師や看護師などにより，特別の配
　　慮が必要だと判断された方が，一般の避難所から福祉避難所へ移送されるとのことな
　　ので，その流れが分かる内容を，このＱ＆Ａの中にもう少し盛り込むことで，分かり
　　やすくなるでしょうか。
　　（堺会長）
　　普段の生活で意識を持てるように，分かりやすく，親しみやすくしていただきます
　　ようにお願いします。少し文字の大きさが小さいことと併せて，配慮していただきま
　　すようお願いできますでしょうか。
　　（三谷委員）
　　分かりました。文字は全体的にも少しでも大きくしたいとは思っているのですが，
　　スペースの問題もありますので，最大限努力いたします。
　　（木下委員）
 　「芦屋っぷ」の２３ページの障がい児通所支援の表記は，事業所によって事業所名に
　　運営主体の名前が合わせて記載されている所もありますので，統一する方がよいと思
　　います。
　　（三谷委員）
　　事業所に問い合わせ，他の事業所と同様の表現にするよう調整いたします。
　　（堺会長）
　　ありがとうございます。ご質問が「芦屋っぷ」のほうに集中しておりますが，その
　　他ご意見等ございませんでしょうか。
　　この冊子は障がいのある方，あるいはその付き添いの方やご家族の方にとっては，
　　芦屋の全体像が見える非常に優れたものですから，ぜひ活用していただきたいと思い
　　ます。なお会議終了後に，気になる点等がありましたら，修正可能なものについては
　　修正をしていただきたいと思いますので，三谷委員にご連絡いただきますよう，ご協
　　力をお願いいたします。
　　（三谷委員）
　　今後「芦屋っぷ」を最も活用していただきたい障がいのある方々にも，内容を確認
　　の上，ご意見等をいただきたいと考えておりますので，ご意見の内容によって，少し
　　修正を加える可能性がございますのでご了承いただきたいと思います。
　　（堺会長）
　　了解いたしました。それでは次に議事（２）の実務者会活動報告について，資料３
　　に基づき，続けて三谷委員に報告をお願いいたします。

　　（２）実務者会活動報告について
    障がい者基幹相談支援センターより「実務者会活動報告について」説明

　　（堺会長）
　　ありがとうございました。「高齢障がい者への支援」ですが，障がい福祉サービス
　　の受給者で，６５歳以降に介護保険サービスへ移行した方は，何件ありましたか。
　　（三谷委員）
　　平均的に年間約１０件程であり，件数は少ないのですが，数が少ないからこそ漏れ
　　のないようにし，ご本人の不利益にならないように，障がいの相談員から介護保険の
　　ケアマネジャーへつなぐ際に，必要なサービスが欠けることのないよう，十分配慮す
　　る必要があるということで，重点課題として取り扱っております。
　
　　（堺会長）
　　朝倉委員は手をつなぐ育成会で，この「高齢障がい者への支援」について，熱心に
　　勉強会を開いたりしておられるかと思うのですが，何かご意見はございませんか。
　　（朝倉委員）
　　国が，計画相談という障がい福祉サービスの受給者にとって，より良い制度を設け，
　　親亡き後の障がいのある本人の生活を考えたときに，本人にとって何が一番良いかと
　　いうことを検討できるような仕組みが出来ていると思います。障がいのある本人が６
　　５歳になったときに，親族の支援者が誰もいない可能性も高くなりますので，それも
　　見据えて計画相談を行っていれば，将来的にも一番良い形になってくるのではないか
　　と思います。知的障がい者の場合ですと，障がい福祉サービスの受給者のうち，過去
　　２年間で７件の６５歳になった方がいらっしゃいましたが，障がい福祉サービスから
　　介護保険サービスへ移行した方はゼロということで，計画相談が，本人の将来の生活
　　を考える点で，いい効果をあらわしているんじゃないかなと感じております。
　　（岡本委員）
　　障がい福祉サービスを受給しておられる方は，６５歳を超えたら，計画相談から介
　　護保険制度のケアマネジャーによる介護保険サービス計画の作成に変わるのですか。
　　（三谷委員）
　　６５歳以降も，障がい福祉サービスを受給し，計画相談を続けていく方もいらっし
　　ゃいますが，原則としては，障がい福祉サービスに対して，介護保険サービスの方が
　　優先となりますので，ホームヘルプサービス等で介護保険サービスへ移行できるとい
　　うものに関しては移行することになります。ただ一旦介護保険サービスを利用すると，
　　再び障がい福祉サービスへ戻ることは制度上困難です。ただし，介護保険サービスに
　　はない障がい福祉サービスに関しては，障がい福祉サービスを一部利用しながら，介
　　護保険サービスを利用する形で，組み合わせてご利用いただく場合もございます。
　　（岡本委員）
　　資料にある「しょうかいシート」というのは，そういった場面で利用されるものな
　　のでしょうか。
　　（三谷委員）
　　サービスのご利用者やご家族に，障がい福祉サービスから介護保険サービスへの移
　　行について説明する際や，計画担当の相談員からケアマネジャーに引き継ぐとき等に
　　利用いたします。介護保険サービスへ移行する２か月程前からケアマネジャーへの引
　　き継ぎに取り組むのですが，ご本人にご理解いただくのに時間のかかる場合もありま
　　すので，提案の仕方も考えながら進めております。
　　（朝倉委員）
　　個人的な考えが大きいのですが，障がいのある人にとってのサービスは，障がいが
　　発生した時点からずっと受けているので，介護保険へ移行するメリットは少ないよう
　　に私は思っています。介護保険サービスへ移行した際には，新たなサービスに慣れる
　　までに時間がかかることが，デメリットの一つだと思います。次に，デメリットの二
　　つ目として，原則として１割の利用者負担費用がかかることと，行政にとっても移行
　　に伴う，様々な調整にコストがかかることです。介護保険制度ありきで，このような
　　状況が発生していると思っています。
　　（堺会長）
　　ありがとうございました。計画相談を行う相談支援事業所の相談員においては，サ
　　ービスとサービスのつなぎ目を，円滑に繋いでいくために，先ほどの「しょうかいシ
　　ート」を活用したりしていると思うので，今後も見守ってまいりたいと思います。
　　（俵原委員）
　　申し訳ありませんが，専門部会活動報告の方の質問に戻ってもよろしいでしょうか。
　　（堺会長）
    はい，どうぞ。
　　（俵原委員）
　　もう一つの啓発冊子の方についてですが，第１回の自立支援協議会では，１２月に
　　進捗状況を報告し，１・２月に原稿ができて，３月の第３回の自立支援協議会で承認
　　と計画されていたかと思います。啓発冊子の内容は，今後学校教育課として，実際の
　　教育現場の意見も汲んでいただけたら，非常にありがたいなと思っていますが，その
　　ような流れで，今後１月・２月は進んでいくと考えていてよろしいでしょうか。
　　（三谷委員）
　　はい，浦山先生に委員として入っていただいておりますので，実際の教育現場のご
　　意見をいただいて，協議しながらやっていきたいと思っております。その中で，教育
　　現場ではインクルーシブ教育を推進しており，そこでは，小学校の段階で，障がいと
　　いう言葉を使うことや教えることがないとのご意見がありました。こちらとしては，
　　「障がい」について，少しでも早いうちから正しく理解し，将来の差別などが無くな
　　る様にしたいという思いが非常に強くあります。しかしながら，同じクラスで学ぶ隣
　　の席の子の「障がい」をひとつの特性ということで理解し，障がいのある子，という
　　受けとめ方で，クラスを運営する状況にないと聞いております。
　　一方で，小学校４年生の教科書では点字について学びますので，点字や手話などは
　　非常に分かりやすく，教育現場としては扱いやすい内容になるのかと思います。
　　点字は目の不自由な方への配慮という理解は出来るけれども，障がいがあることが
　　偏見や差別，いじめにつながるようなことがあってはならないと思いますので，学校
　　教育現場で啓発冊子をどのように活用していくのかが，課題であると伺っています。
　　（俵原委員）
　　例えば手話言語条例が成立しましたが，学校の教育現場では，手話を使って音楽会
　　をする学校も非常に多いので，そのように活用できる冊子であれば本当にありがたい
　　です。また学校現場の意見も汲んで，今回冊子の改訂をやっていただいているのは，
　　非常にありがたいなと思っておりますので，よろしくお願いいたします。
　　（堺会長）　　
　　障がいのある子どもには，できるだけ小さいうちに，世の中には我々の仲間になっ
　　てくれる人はいるのだ，ということを理解してもらうことも，非常に重要なことであ
　　ると思っておりますので，どうぞご協力のほどよろしくお願いいたします。
　　次に議事の３番目の障がい者差別解消支援地域協議会について，資料４に基づいて，
　　木下副会長からご説明お願いいたします。

　　（３）障がい者差別解消支援地域協議会について
　  木下副会長より「障がい者差別解消支援地域協議会について」説明

　　（堺会長）
　　障がい者差別解消支援地域協議会の委員名簿をご覧になって，様々な分野の方々が，
　　この協議会に入って知恵を出しておられるのだなと，皆様おわかりいただけたと思い
　　ます。この法律が出来るまでは，障害者差別禁止法の制度化が言われておりました
　　が，最終的には差別解消法という法律になっています。障がいがある人への対応等に
　　ついて，周知することによって差別を解消していこうという，前向きにとらえた法律
　　の名称となりました。そういう意味合いが込められているということで，皆様もご理
　　解をいただけますよう，よろしくお願いします。
　　この議事については，特にご意見等はないと思いますが，今後もこの法律に関わる
　　活動においては，皆さまで推し進めてまいりたいと思います。それでは議事（４）の
　　「地域移行・地域定着について」，資料５に沿って，進めていただきますようよろしく
　　お願いします。

　　（４）地域移行・地域定着について
　　事務局より「地域移行支援・地域定着支援の概要」について説明
　　仲西委員より「兵庫県での地域移行・地域定着支援の取組について」説明
　　
　　（堺会長）
　　地域移行支援の対象となり得る方の中には，すんなりと地域の生活に馴染むことが
　　出来ると考えられる方や馴染むことが難しい方等様々だと思います。また，受け皿の
　　一つとなるグループホームの職員をどのように育て，ケアしていくかという問題もあ
　　り，難しい現状が様々にあります。しかし，地域移行・地域定着を推進していこうと
　　いう方向性を出していくことは，芦屋市の障がい福祉にとっていいことだと思います。
　　家族会の齋藤委員は，芦屋市の精神に障がいがある人に対する地域移行について，
　　何かご意見はございますか。
　　（齋藤委員）
　　メンタルサポートセンターの理事の立場としてメンタルサポートセンターでも，地
　　域移行を推し進めていこうと，過去７年間病院に働きかけをしているのですが，地域
　　移行に関する研修が１年間に１度か２度しかなく，地域移行支援に専念する人員を割
　　くということが困難な現状にあります。芦屋市内には精神に障がいがある人の入居可
　　能なグループホームがない，という相談を繰り返し受け，何とかしたいが，それを支
　　える地域的な資源がない，ということで，ずっと苦労をしております。これは内輪の
　　話にはなりますけれども，芦屋メンタルサポートセンターで，グループホームを作る
　　ことを検討しておりますが，職員の確保等の不安があります。また，知的に障がいが
　　ある人を中心としたグループホームに入所している精神に障がいがある人への対応の
　　違いについてグループホームの職員からは，深夜の対応等，知的に障がいのある人と
　　は違った支援があり，大変なことがある様に聞いています。
　　地域移行をやらなければいけないことはわかっていますし，重要なことであると感
　　じておりますが，担い手の確保ができないことや，見直すきっかけや仕組みがないこ
　　とが地域移行を進められない原因となっているように感じております。このような現
　　状の中，頑張ってグループホームを立ち上げようとしているというのが，実態でござ
　　います。
　　入院中の方には，様々な個々の状況があると思いますが，少しずつ時間はかかりつ
　　つも，前に向かって進めていくしかないかなと考えております。
　　（堺会長）　　
　　ありがとうございました。突然ご意見を伺いまして，申し訳ありませんでした。
　　（仲西委員）
　　先ほど，地域移行支援がなかなか進まない理由として，マンパワーやグループホー
　　ム等の地域資源がない，ということをおっしゃられていましたが，入院されている方々
　　の人権，権利はどこにいってしまっているのでしょうか。
　　（朝倉委員）
　　地域移行を進めようにも，そもそも資源がない，という現状があるということです。
　　（仲西委員）
　　芦屋市は地域として小さいので，マンパワーがないのは理解できますが，人を育て
　　るための研修の場を設ける等，育てる意志がなければ，結局人員を確保できません。
　　そしてグループホームがないから，結果的に地域移行は進まない，これでずっと来て
　　しまっているわけです。今後についても平成３０年にはグループホームを作られると
　　おっしゃっておられますが，それまでは何もしないのでしょうか。
　　（堺会長）
　　そんなことはありません。実際，地域移行支援ケースに関わっている中で，地域生
　　活を支援することの奥深さ，困難さを痛感し，苦慮しております。しかし，困難なケ
　　ースが多いからと言って，避けていこうとするような姿勢とはむしろ逆で，積極的に
　　受けていこうという姿勢で臨んでおります。何もしないことは障害者差別解消法に
　　触れてしまいます，と言われますが，そういうことがないように，ここにおられる委
　　員のみなさまを始め，互いに支援者同士の顔の見える芦屋市で，協力して，努力して
　　いきたいと思っております。
　　（加納委員）
　　地域で暮らす精神に障がいのある人を民生委員が見守っていますが，困った際には，
　　助言や支援をしてくださる担当の方が必ずついてくださっているから，民生委員とし
　　て，そんなに心配することはないという意見を聞いております。障害福祉課でもその
　　ような状況は把握していらっしゃいますか。
　　（事務局　吉川）　
　　地域移行支援，地域定着支援のサービスを利用するケースに限らず，入院されてい
　　た方が退院された際に，地域の見守りを依頼したケースはあると思います。
　　（加納委員）
 　 仲西委員がおっしゃっている例とは違うかもしれませんが，精神に障がいがある方
　　で，地域の中で元気に生活している例も私は存じております。
　　（堺会長）
　　実際の現場で日夜活動されている権利擁護支援センターの立場として，脇委員は，
　　どのように感じておられますか。
　　（脇委員）　　
　　精神科の病院から退院されて，地域に帰る方の支援に日々関わっておりますが，地
　　域移行支援サービスを利用した事例に関わった経験はありません。しかし，資源が乏
　　しいという状況は感じているところがあります。例えば，家族に対する暴力等のトラ
　　ブルが起こる恐れがあるという理由で，退院時に在宅には戻せないという状況であっ
　　た場合に，グループホームへの入所を検討するものの，入居可能なグループホームが
　　見つからないことなど，受け皿が足りない状況下での退院支援は非常に難しいと感じ
　　ております。それが，合理的配慮や障害者差別解消法に触れるかというと，そこまで
　　追及して考えたことはございません。
　　しかしながら，障がいのある人の支援者としては，出来るだけ本人や本人の家族に
　　とってより良い環境を探したり，退院後に利用するサービスを検討したり，民生委員
　　さんの見守りをお願いしたり，日中活動の事業所を探したり等，その状況下でできる，
　　最善の支援を進めていただいているかな，と感じております。
　　ないものをつくることは，もちろん大事ですが，即座には難しいことのですので，
　　支援者としては，今ある支援の中で，最善のことを考えながら，本人支援を進めてい
　　っていただいているのではないかなと感じております。
　　（堺会長）
    支援者の皆さんは，非常に努力して取り組んでいただいていると思います。
　　地域で継続的に生活するためには，就労が大きな要素になり得ると思うのですが，
　　病院から退院された方々への就労支援は，どのような状況でしょうか。
　　（川辺委員）　　
　　私個人としては，長期入院の後退院した人の事例は，多くは関わっていないのです
　　が，１年未満の入退院を繰り返している人の支援はしております。その事例において
　　は，家庭の生活基盤が不安定な人も比較的多いので，安定した生活が継続することと，
　　今後の就労に結びつくことを考え，生活支援に力を入れて支援を行っております。
　　（堺会長）
    尾崎委員から何か追加して，ご意見はございませんでしょうか。
　　（尾﨑委員）　　
　　長期に入院されていて，退院後，即座に就労することは，困難な可能性が高いかと
　　思いますが，障がいに理解のある事業者の下で支援を受けながら，仕事を覚えて，最
　　終的には一般就労の方へ移行したという事例は，芦屋市の方ではないのですけれど，
　　聞いたことがあります。そのような場合も，ある程度時間がかかりますので，長期間
　　入院されていた方が，いきなり就労することは，精神的にしんどいのではないかと思
　　いますので，あまり退院後すぐに就労という事例は少ないと思います。
　　（堺会長）
　　支援者が，それぞれ支援調整会議等を繰り返して，一致協力して努力しているとこ
　　ろかと思いますが，芦屋市全体としても懸命に取り組んでおりますので，今後も継続
　　して努力していきたいと思います。
　　（仲西委員）
　　地域移行支援という制度について，入院している精神科の患者さまに個別に周知を
　　したことはありますか。入院中においては，ある程度病院の務めでもあるとは思うの
　　ですが，行政の務めでもあると思うのですが，どうでしょうか。
　　（事務局　長谷）
    現時点ではそういったご案内はしておりません。
　　（齋藤委員）
　　私の過去の体験ですが，大抵の場合，退院後の生活支援が必要であるという方につ
　　いて，退院前に病院から市に連絡が入り，市から芦屋メンタルサポートセンターの相
　　談員に連絡が入っていました。その後，担当相談員が病院に何回か行ったり来たりし
　　ながら，最終的に本人が地域へ戻るというような取組をやっておりました。しかし，
　　１年間に１，２件ほどしかないというような状況です。
　　（仲西委員）
　　私がお尋ねしたいのは，退院したいと思った人が，退院できる状況をつくってあげ
　　ているかどうかということなのです。
　　（事務局　吉川）
　　個人に対しての制度の周知に関しては，現時点では，なかなか積極的に取り組めて
　　いなかったところではあると思いますので，それに関しては，先進的に取り組んでい
　　る事例等を参考にしながら，進めていきたいと思います。しかし，障がい者基幹相談
　　支援センターを設置した際に，障がい者基幹相談支援センターの職員が芦屋市からの
　　入院者が多いと思われる近隣市の精神科病院を訪問し，地域移行の対象者がいらっし
　　ゃる場合には連携していきたいという働きかけはさせていただいて，現在に至ってお
　　ります。病院に対する周知も含めて取り組みを進めていることをご理解いただけたら
　　と思います。
　　（加納委員）
　　行政と障がい者基幹相談支援センターが連携をとって，退院したいというご希望が
　　あった方に対して，地域への移行支援をおこなっているということですか。
　　（三谷委員）
　　そうです。現状では，地域移行は今年度２例ありました。退院を希望する方の相談
　　が入った場合には，行政と相談，連携して地域移行支援の対象者となるかを判断しま
　　す。この地域移行支援のサービス給付制度では，月に２回必ず病院を訪問することや，
　　支援を開始してから半年以内に退院しなければならないという期限が定まっているこ
　　と等，多くの枠組みがあります。さらに，その枠組みの中で退院支援ができる場合で
　　あっても，サービス受給の対象は１年以上入院の方であると決まっており，短期間で
　　入退院の繰り返している方は対象にならないといった要件等が設けられていることか
　　ら，対象者が限られるとこともあり，今年度は現時点で２例にとどまっております。
　　病院への周知については，現在，芦屋健康福祉事務所の保健師や障害福祉課と一緒
　　に入院されている方を訪問して面談を行うとともに，先行して取り組みを進めている，
　　西宮市の「輪っふる」のプログラムを参考にすることにより，今後どのような取り組
　　みができるのかについて検討しております。
　　（加納委員）
　　最終的に本人が地域に帰ることが出来るという判断は，どの立場において決定され
　　るのでしょうか。
　　（仲西委員）
　　それについては，支援関係者で判断します。ご本人を交えて会議を持つ場合もあり
　　ます。
　　（堺会長）
　　地域移行については，Ｕターンして病院へ戻るケースもあり，実現までには非常に
　　多くの困難を含んでおります。地域における受け皿というのがない，という問題があ
　　るかもしれませんが，もっと積極的に受け皿をつくるという作業が必要だと感じてお
　　ります。また，現在は病院にも地域移行について具体的な助言の出来る専門家もおり，
　　病院の果たす役割というものも，昔とは大きく変わってきたように感じられます。
　　（加納委員）
　　その受け皿，というのがグループホームなのでしょうか。
　　（堺会長）
　　それだけではありませんが，もちろんグループホームも含まれます。
　　（仲西委員）
　　実際には，人とのコミュニケーションが困難という理由から，共同生活の場である
　　グループホームが合わない方もおられて，そういった方は一般のアパートで独居とい
　　う場合もあります。グループホームが地域の受け皿としての主なものだと捉えられが
　　ちですが，地域移行した方全員がグループホーム経由で移行しているというわけでは
　　ありません。そういう面でも，個々人それぞれに合った生活の場所というのがありま
　　すので，いずれにしても，入院している方々に「こういう制度がありますよ」という　
　　制度の周知は必要だと思います。それが芦屋市として未だ取り組めていないという状
　　況は，本当に権利侵害であり，人権問題に関わってくると思います。
　　（朝倉委員）
    診療報酬についても，対策が取られているそうですね。
　　（仲西委員）
　　診療報酬は，まずは入院して３か月が目途となっており，入院後３か月で退院する
　　人は確かに増えていると聞いています。最近はとにかく「短期で，地域へ」というこ
　　とが世界の常識でもあると感じております。
　　しかし，何十年と病院で暮らしている方々の中には，実は地域社会で暮らしていく
　　ことが出来る人がいらっしゃると思うので，その方々にまず地域に出ようという意識
　　をもっていただいて，そういう方を支援していく必要がある，ということが重要です。
　　病状が安定していない人を無理やり退院させるというのは，みんなが不幸になってし
　　まいますから，そんなことは全く思ってはおりませんが，いわゆる「社会的入院」と
　　言われる，入院していなくても地域で暮らしていける方は，地域に戻さなければとい
　　けないと思います。病院はあくまで病気の治療をする場です。症状が悪化して，薬の
　　調整が必要になった際に，一時的に入院し，症状が落ちついたら，地域に戻ることの
　　繰り返しで生活するという形態が，海外においては比較的多いように思うのですが，
　　なぜか日本においては，病院が住まいになってしまっているという，過去の経緯があ
　　るように思います。ですから，本来あるべき生活の場に戻っていただくということで
　　すね。
　　（朝倉委員）
　　病院の中には，病院の周辺にその病院が経営するグループホームを幾つか作って，
　　いつでも病院に戻れる状態で，形だけ地域移行しているような形態のところもあるの
　　ではないでしょうか。
　　（仲西委員）
　　確かにそういう精神科病院もあります。ただ，それではいわゆる「囲い込み」とな
　　り，本来の人権尊重の立場から考えると，あってはならないことであるということで，
　　病院の周辺ではない，少し距離のある場所で生活すべきである，という見解を国も示
　　しておりますので，漸進的にそういう現場に対しては，診療報酬の中でも調整がなさ
　　れていくところかと思います。しかしながら，入院している患者自身の意識を変えて
　　いく，という役目は，やはり行政が担わなければいけないと考えております。

　　（堺会長）
　　ありがとうございます。本日は仲西委員より，精神疾患をお持ちの方々における地
　　域移行，地域定着についての現状について，積極的なご意見をお聞きできました。こ
　　れまでも皆様それぞれに，実際の現場で熱心に取り組んでこられたかと思いますが，
　　本日の議論を経て，今後更に，努力してまいりたいと思います。
　　
　　（５）その他について
    基幹相談支援センターより「虐待研修会『虐待を許さない社会づくり』の開催に
　　ついて説明
　　事務局より「手話言語条例について」及び「第５期障害福祉計画のアンケート実
    施について」説明

　　（堺会長）
　　ありがとうございました。第５期障害福祉計画のアンケートについては，皆様ご協
　　力をよろしくお願いいたします。
　　それでは寺本部長，最近の福祉行政について何かございますか。
　　（寺本福祉部長）
　　先ほどその他の議事の中で，事務局より，手話言語条例について報告させていただ
　　きましたが，条例の制定にあたり，議会の本会議には兵庫県聴覚障害者協会の方々や　
　　芦屋ろうあ協会の方々もお越しになられました。本条例は，全国的にも取り組みが進
　　められており，今後さらに広がっていくことが予想されますが，手話がひとつの「言
　　語」として認められていくことを実感いたしました。耳の不自由な方もそうでない方
　　も，地域の中で一緒に生活をしていく，というのが大事だと思いますので，こういっ
　　た市から発信していくという動きは，世論を動かすことに繋がっていくのではないか
　　と感じています。
　　（堺会長）
　　ありがとうございます。そういう動きは，非常に望ましいものだと感じます。
　　最後に，木下副会長よりみなさまへ一言，よろしくお願いいたします。
　　（木下副会長）
　　今ここで推し進めなければならない事案は，皆様が日頃一生懸命取り組まれている
　　様々な活動の中で，直面している課題だと思いますので，お互いに協力しながらやっ
　　ていきたいと思っております。制度と専門家だけでは成り立っていかないので，地域
　　の住民の方等，そしてそれを見守っていただく方々等と協力しながら，推し進めてい
　　かないといけないと思います。先ほどの地域定着・地域移行についても同じことが言
　　えると思うのですが，住民の障がいに対する理解がなければ，何もできない，という
　　ところもありますので，住民の方々へも訴えかけていけるような，自立支援協議会で
　　ありたいと思っております。皆様ぜひよろしくお願いします。
　　（堺会長）
　　よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　以　上