我が国においては急激な少子高齢化の進展に加えて,人口減少社会へ突入するなど,社会全体の活力の低下が深刻に懸念される状況を迎えています。 また,障がいのある方も無い方も同じように生活できる社会を目指す「ノーマライゼーション」の考え方も重要視され,高齢者や障がいのある方などの自立した日常生活及び社会生活を確保することができる環境づくりが強く求められています。  さらに,身体の状況や年齢,性別,国籍などを問わず,「どこでも,だれでも,自由に,使いやすく」というユニバーサルデザインの考え方を踏まえた,だれもが安全・安心,快適に暮らせる環境づくりが求められています。  このような社会的背景から,総合的なバリアフリー施策を推進するための「高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(通称:バリアフリー法)」が平成18年6月に制定され,同年12月から施行されました。 本市では,交通バリアフリーの取組として,歩道の新設,改良などを実施するとともに,交通事業者に対してエレベーターの設置やノンステップバスの導入に係る助成を行ってきたところですが,すべての人にやさしいユニバーサルデザインのまちづくりを進めていくために,このたび,バリアフリー法に基づき,阪神芦屋駅・市役所周辺を重点整備地区とした芦屋市交通バリアフリー基本構想を策定いたしました。 今後は,この構想に基づき,関係機関とも連携しながら,ハード面だけでなく,ソフト面のバリアフリー化事業も充実を図り,すべての人にやさしく,かつ芦屋らしさを持ったまちづくりに取り組んでまいりますので,市民の皆様のご理解とご協力を賜りますようお願いいたします。 本構想の策定にあたり,各種のご協力をいただいた関係者や市民の皆様に心から感謝を申し上げます。 平成19年4月 芦屋市長 山中  健 1 交通バリアフリー基本構想の背景 (1)基本構想の背景と目的  わが国では,他に例を見ないほど急速に高齢化が進展し,平成27年(2015年)には国民の4人に1人が65歳以上となる本格的な高齢社会を迎えることが予測されています。また,障害のあるかたも障害の無いかたと同じように生活し活動する社会を目指す「ノーマライゼーション」の考えかたが重要視されています。さらに近年では,バリアフリーからユニバーサルデザインへと,あらゆる人の利用を念頭に置いた環境づくりが求められるようになっています。 このような社会的背景から,公共交通機関と駅などを中心とした地区のバリアフリー化を趣旨として,平成12年11月に施行された「高齢者,身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(交通バリアフリー法)」が見直しの時期を迎えたこともあり,今後より一体的・連続的な移動空間を形成するための総合的なバリアフリー施策の推進を趣旨として,同法と「高齢者,身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(ハートビル法※1)」とを統合した「高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(以下,バリアフリー法という)」が平成18年12月に施行されました。 この法律は,高齢者,障害のあるかたなどの自立した日常生活および社会生活を確保するため,公共交通機関,道路,路外駐車場,都市公園,建築物などに関する移動上および施設の利用上の利便性や安全性の向上を目的としており,そのための方策として,以下の2点の推進を図ることとしています。 (ア) 鉄道駅などの旅客施設および車両等,道路,路外駐車場,公園施設並びに建築物のバリアフリー化を推進 (イ) 高齢者,障害のあるかたなどが生活上利用する施設を含む一定の地区において,市町村が作成する基本構想に基づいて,バリアフリー化を重点的・一体的に推進  本市においても,市民の多様なニーズにこたえる豊かで質の高いまちづくりに向けて,生活空間におけるバリア(障壁)を取り除くことが課題となっています。また,阪神・淡路大震災の経験から,どこよりもだれよりも安心して安全に暮らせる環境づくりが求められています。 「芦屋市交通バリアフリー基本構想」は,こうした課題の解消を目的として,高齢者,障害のあるかたなどが生活上利用する施設を含む一定の地区において,重点的かつ一体的なバリアフリー化を推進するために策定するものです。 ※1:ハートビル法とは  ハートビル法とは,平成6年に制定された「高齢者,身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」の略称です。この法律は,不特定多数のかたが利用する建築物(特定建築物)の建築主に対し,障害のあるかたなどが円滑に建築物を利用できる措置を講ずることを努力義務として課すものです。 デパートやスーパーマーケット,ホテルなどの不特定多数のかたが利用する建築物の建築主は,建物の「出入口」「廊下」「階段」「トイレ」などについて,高齢者や障害のあるかたなどが円滑に利用できるような措置を講じることを努めることを義務づけます。 高齢者,身体に障害のあるかたなどが特定建築物を円滑に利用できるようにするための措置に関する技術的な基準として「利用円滑化基準」と「利用円滑化誘導基準」を定めています。  なお,兵庫県においては,ハートビル法の制定に先駆けて,平成4年に兵庫県福祉のまちづくり条例※2が制定されています。 ※2:兵庫県福祉のまちづくり条例とは  兵庫県福祉のまちづくり条例は,平成4年に兵庫県が全国に先駆けて制定した,高齢者や障害のあるかたはもとより,すべての県民がいきいきと生活できる福祉のまちづくりをめざすための条例です。 店舗,駅,公園などの多くの県民がたびたび利用する施設(特定施設),小規模な店舗など生活に密着した身近な施設(小規模購買施設等の施設)などを新・改築等する場合は,着工前に市町への届出を義務づけており,高齢者や障害のあるかたに配慮した施設の整備に努めることを義務づけています。 a 特定施設では新・改築等の場合,特定施設整備基準を守らなければならない。(着工前に届出が必要) 既設の場合は,特定施設整備基準に適合するよう努めなければならない。 b 小規模購買施設等の施設では新・改築等の場合,小規模購買施設等整備基準に適合するよう努めなければならない。(着工前に届出が必要) c 住宅(21戸以上の共同住宅の専用部分では新・改築等の場合,住宅整備基準に適合するよう努めなければならない。(着工前に届出が必要) (2)バリアフリー法の制定の経緯(交通バリアフリー法の改正) ア 交通バリアフリー法とハートビル法との連携  平成16 年10 月に国土交通省より「交通バリアフリー法に基づく移動円滑化の促進に関する基本方針の変更について」が示され,交通バリアフリー法の基本方針の一部が変更されました。変更内容として,ハートビル法に基づく建築物のバリアフリー化と連携して連続的な移動経路の確保が行われるよう,関係者間で十分な調整を図るべきこと等が示されました。 イ ユニバーサルデザイン政策大綱の策定  平成17年7月に国土交通省が策定した「ユニバーサルデザイン政策大綱」は,年齢や障害の有無,国籍の違いなどに関係なく,「どこでも,誰でも,自由に,使いやすく」というユニバーサルデザインの考えかたを踏まえた社会環境を実現するため,ハード,ソフトの両面からバリアフリー化を進めるための基本政策となるものです。 この大綱では,「利用者の目線に立った参加型社会の構築」「バリアフリー施策の総合化」「だれもが安全で円滑に利用できる公共交通」など,5つの基本的な考えかたと10 の具体的な施策が示されています。その中で,建築物や公共交通機関のバリアフリー化など,これまで個別に進めてきたバリアフリー施策を総合的に展開するため,ハートビル法と交通バリアフリー法の一体化に向けた法制度の構築などが示されています。 ウ バリアフリー法の制定(交通バリアフリー法の改正)  「ユニバーサルデザイン政策大綱」の法制度として取り組む項目を踏まえ,交通バリアフリー法とハートビル法の2つの法律を統合拡充し,より総合的,一体的なバリアフリー化の促進を図るための新たな法律案としてバリアフリー法が平成18年6月15日に成立しました。 また,同年12月20日に施行されました。 (3)基本構想の内容  市町村は,主務大臣が定める「移動等円滑化の促進に関する基本方針」に基づき,当該市町村の「重点整備地区」について,バリアフリー化に係る事業の重点的かつ一体的な推進に関する基本構想を作成することができます。 基本構想の作成にあたっては市町村が,各施設設置管理者,公安委員会,高齢者,障害のあるかたなどの関係者と協議を行いながら作成する必要があります。  また,基本構想が策定されると,各施設設置管理者および公安委員会は,基本構想に基づく特定事業計画を作成し,この計画に基づいてバリアフリー化を目的とした特定事業を実施していくこととなります。 バリアフリー法で規定されている基本構想に定める事項は次の通りです。 (ア) 重点整備地区における移動等円滑化に関する基本的な方針 (イ) 重点整備地区の位置および区域 (ウ) 生活関連施設及び生活関連経路並びにこれらにおける移動等円滑化に関する事項 (エ) 移動等円滑化のために実施すべき特定事業その他の事業に関する事項 ・ 公共交通特定事業 ・ 道路特定事業 ・ 路外駐車場特定事業 ・ 都市公園特定事業 ・ 建築物特定事業 ・ 交通安全特定事業 (オ) その他必要な事項 2 芦屋市の概況 (1)位置・面積  本市は,神戸・大阪の二大都市に挟まれた,阪神地域の臨海部に位置しています。東は西宮市,西は神戸市に隣接し,面積約18.57平方キロメートルの南北に細長い市域となっています。 北には六甲の山なみ,南には大阪湾がひろがり,豊かな緑や温暖な気候,交通の利便性にも恵まれた本市では,古くから神戸・大阪の近郊住宅地として発展してきました。今では全国的に優良な住宅地の一つとして,また優れた住環境を備えた「国際文化住宅都市」として,その名を知られています。 (2)人口・高齢者数・障害者数の状況 ア 人口・世帯数  本市の人口は,昭和45年から60年にかけてかなりの勢いで増加し,平成2年には増加の勢いは衰えたものの,ゆるやかな人口増加となっていました。このような傾向が続く中,平成7年1月17日の阪神・淡路大震災の影響により大幅な人口減少が生じましたが,その後,まちの復旧・復興に伴い人口は急速に回復し,平成17年10月現在では,震災以前の人口を上回る90,580人となっています。 イ 高齢者数  本市の高齢者数(65歳以上人口)は,総人口の増加率を上回るペースで増加しており,特に震災後の9年間(平成7年〜16年)では約1.6倍,増加数6,770人と著しい増加傾向を示しています。  また,高齢化率(総人口に占める高齢者人口の割合)も年々増加しており,平成16年10月現在で初めて20%を超え,20.1%となっています。この高齢化率は,全国平均の19.5%,兵庫県の19.1%を上回っています。 ウ 障害者数 (ア) 身体障害者  本市の身体障害者手帳所持者は平成16年度現在で2,494人となっています。また,身体障害者手帳所持者の障害別内訳をみると,最も多いのが肢体不自由のかたで56.5%,次いで内部障害のあるかたが28.3%,視覚障害のあるかたが6.9%となっています。  過去10年間(平成6年〜16年)の推移をみると,身体障害者手帳所持者数は約1.6倍となっており,音声言語機能障害のあるかたや内部障害のあるかたが約1.8倍と高い伸びを示しています。 (イ) 知的障害者  本市の療育手帳(知的障害者・児が各種の援護を受けるために必要な手帳)所持者は平成16年度現在で294人となっています。障害の程度※1の内訳をみると,最も多いのが重度の知的障害のあるかたで55.1%となっています。  過去10年間(平成6年〜16年)の推移をみると,療育手帳所持者数は約1.5倍となっており,重度の知的障害のあるかたが約1.8倍と高い伸びを示しています。 ※1障害の程度:知能測定値,社会性,基本的な生活などを年齢に応じて障害の程度を総合判断するもので,A(重度)・B1(中度)・B2(軽度)に区分されます。 (ウ) 精神障害者  本市の精神障害者保健福祉手帳所持者は,手帳制度が始まった平成7年から年々増加しており,平成16年度現在で214人となっています。障害の程度※1の内訳をみると,最も多いのが2級のかたで61.7%となっています。 ※1障害の程度:手帳には障害の程度により,重い順に1級・2級・3級があります。   1級・・・おおむね「日常生活が1人では出来ず,他人の援助や介護を受けないと生活が出来ない人」   2級・・・おおむね「日常生活に著しい困難があり,時に応じて他人の援助が必要な人」   3級・・・おおむね「労働に著しい困難があり,社会生活に制限を受ける人」 (3)交通施設の状況 ア 鉄道  市内にはJR芦屋駅,阪急芦屋川駅,阪神芦屋駅,阪神打出(うちで)駅の計4駅があります。平成16年度における1日の平均利用者数が最も多い駅はJR芦屋駅の58,700 人で,次いで阪神芦屋駅が21,504人,阪急芦屋川駅が17,166 人,阪神打出(うちで)駅が10,139人となっています。  なお,JR芦屋駅の北側では市街地再開発事業により,商業施設などの整備とあわせて駅前広場やペデストリアンデッキなどが整備されています。 イ バス交通  市内の主な路線バスとしては阪急バスがあります。阪急バスは芦屋市内線と芦屋有馬(ありま)線があり,市内の鉄道駅などを結ぶ主要な公共交通としての役割を果たしています。平成18年7月現在で,芦屋市内線が23路線,芦屋有馬(ありま)線が2路線あります。また,平成17年度における主要な停留所の利用者数をみると,JR芦屋が7,507人,阪急芦屋川が2,894人,阪神芦屋が3,554人,阪神打出(うちで)が91人となっています。  そのほか阪神電鉄バスが1路線あり,国道2号を走り尼崎市と神戸市を結んでいます。 ウ 主要道路  本市では,国道2号,国道43号,阪神高速神戸線および阪神高速湾岸線の広域幹線道路を骨格とした道路網が形成されています。 これらの幹線道路は全て東西方向を連絡していることから,大阪・神戸へのアクセス性に優れています。しかしその一方で,幹線道路等により,地域レベルでの南北アクセスが阻害されています。 (4)公共公益施設等の立地状況  JR芦屋駅,阪急芦屋川駅,阪神芦屋駅,阪神打出(うちで)駅の周辺地区(鉄道駅からおおむね500メートルの範囲,徒歩圏域内)における主要な公共公益施設や大規模な商業施設などの立地状況をみると,これらの施設の多くはJR芦屋駅,阪神芦屋駅の周辺に立地しています。  特に,JR芦屋駅周辺では市街地再開発事業により商業・業務施設が集積しています。また,阪神芦屋駅周辺には,市役所をはじめ官公庁施設が集積しています。 3 基本理念と基本方針 (1)基本理念  本市は,交通の利便性に恵まれ,南に大阪湾を臨み,北には緑豊かな六甲の山々が連なる,四季の彩りに包まれた住宅都市として発展し,全国的に優良な住宅都市の一つとして名が知られています。そして,知性と気品輝く活力ある「国際文化住宅都市」として,人にも環境にも優しい住みよいまちづくりを目指しています。  本市では,全国的な傾向を上回るペースで高齢者数が増加しており,その割合は既に総人口の20%(5人に1人)を超え,阪神間の地域の中でも高い比率を示しています。また,身体,知的,精神といった障害のあるかたの数(手帳の所持状況)も,それぞれ増加傾向が続いています。こうした社会情勢などから,身体の状況や年齢,性別,国籍などを問わず,一人ひとりが個性と能力を発揮し,自由に参画できる社会づくりに取り組むことが求められています。このため,あらかじめ多様な人々が利用しやすいようデザインする「どこでも,だれでも,自由に,使いやすく」というユニバーサルデザインの考えかたを踏まえて,だれもが安全・安心,快適に暮らせるよう,生活環境や連続した移動環境を整備・改善していく必要があります。  本市が大阪・神戸の2大都市に挟まれた位置にあることなどから,市域に立地する4つの鉄道駅の全てにおいて,1日平均10,000人以上という多数の利用者がありますが,このうち駅にアクセスする経路や駅構内においてバリアフリー上の課題を有する駅もあります。  本市では,震災復興土地区画整理事業などによる市街地整備やあんしん歩行エリアの整備など,バリアフリーにおいて一定の整備が行われてきましたが,特に多くの利用者がある公共公益施設の周辺や広幅員道路をまたぐ南北間の移動円滑化においてはまだまだ課題を有しています。また,今後の高齢者や障害のあるかたの増加等を踏まえ,全ての市民一人ひとり,そして市内に立地する全ての事業者などがバリアフリーに関する課題を認識し,本市で活動する全ての人々の理解と協力による取り組みが望まれます。  これらの背景から,本市は,市民をはじめとする多くの人々が利用する生活関連施設と,これらを結ぶ連続した移動経路において,『だれもが安全・安心に,そして快適に暮らせるまちづくりを目指し,全ての人々がともに支えあう社会づくりを進める』ことを基本理念としたバリアフリー整備を推進していきます。 (2)基本方針 ア 安全・安心,快適なまちづくりへの多面的な取り組みを進めます  公共交通施設や歩行者空間のバリアフリー化を推進することにより,自動車交通からの歩行者の安全性の確保や,公共交通の利用促進による環境負荷の軽減,電線類地中化・放置自転車の撤去などによる都市景観の向上,避難路の確保など災害に強いまちづくりに向けた整備を図るとともに,看板など道路の不法占用物に対する監視・指導や,自転車利用者への交通安全指導などの普及啓発活動の充実を図り,安全・安心,快適なまちづくりに向けた取り組みを進めていきます。 イ 心のバリアフリー社会の実現に向けた取り組みを進めます  高齢者,障害のあるかた,妊婦や乳幼児同伴者など,全ての人々が日常生活,社会参加を行う上で,歩行空間や公共交通機関において,施設のバリアフリー化と併せて,これを利用しやすい環境づくりを進めていきます。特に,移動に困っている人,サポートが必要な人等への人的対応の促進を図るとともに,ボランティアなどの人材育成,学校教育・生涯学習・普及啓発活動などによる市民の意識の高揚などの取り組みを進めていきます。 ウ 多様な人々に配慮した柔軟な取り組みを進めます  人々の能力や個性は一人ひとり異なっており,その属性は年齢や環境などの影響を受けるため,状況によっても変わってきます。このような人々の能力や個性における多様性を十分認識した上で,整備を図る必要があります。このため,わかりやすく工夫された案内標識など,高齢者や身体に障害のあるかたはもとより,知的・精神に障害のあるかた,さらに妊婦・乳幼児の同伴者,外国人など,移動の円滑化を図る上で様々な人々,行動に応じた柔軟な取り組みを進めていきます。 エ 段階的・継続的な取り組みを進めます  バリアフリーの整備にあたっては,事業の緊急性,有効性,必要性などを総合的に判断し,重点的・一体的に整備する地区等を定め,計画的・効果的な取り組みを進めます。また,それ以外の地区を含め,将来にわたり市域全体においてだれもが自由に参画できる社会の実現に向けて,計画・設計から事業の実施,評価,改善といったプロセスによる段階的・継続的な取り組みを進めていきます。 オ 多様な関係者の参画による取り組みを進めます  計画の着実な実現に向けては,必要に応じて,関係する施設設置管理者および公安委員会等はもとより,生活関連施設・経路の利用者や周辺地区の住民,関係団体,専門家などの多様な関係者の参画を図り,特に利用者の目線に立った取り組みを進めていきます。 4 重点整備地区の設定 (1)重点整備地区設定の考えかた  一定の地区における鉄道駅,道路,公共公益施設などのバリアフリー化を重点的かつ一体的に推進するため,重点整備地区を設定します。  重点整備地区の設定にあたっては,鉄道駅および周辺地区の概況や上位計画の位置づけなどを踏まえ,以下の基準に照らして総合的に判断し,特に優先してバリアフリー化事業の実施が必要であると認められる地区を重点整備地区とします。 ア 配置要件  ・ 鉄道駅があり,鉄道駅の1日当たりの平均利用者数が多いこと(平均利用者数が5,000人以上など) ・ 鉄道駅や官公庁施設,福祉施設など,高齢者,障害のあるかたなどがよく利用する生活関連施設※1が多数立地していること イ 課題要件   ・ 鉄道駅のバリアフリー面の課題が多いこと ・ 配置要件の生活関連施設を相互に連絡する経路にバリアフリー面の課題が多いこと ウ 効果要件  ・ 上位計画において都市構造上の拠点などとして位置づけられ,都市全体の様々な機能の増進を図る上で,基本構想に基づく事業を実施することが有効かつ適切であること エ 関連計画との整合  ・ 交通結節機能の向上を図る事業計画があり,基本構想に基づく事業と併せて実施することが効果的であること ※1 生活関連施設の考えかた  重点整備地区内の対象とする生活関連施設は,特別特定建築物※2の内容も踏まえつつ,相当数の高齢者,障害のあるかたなどが利用する広域的な施設で,当該施設間の移動が通常徒歩で行われる施設とします。  なお,生活関連施設のうち,通勤・通学,通院,趣味・娯楽などの際に利用される鉄道駅は,特に高齢者,障害のあるかたなどの利用が多い施設といえます。そのため,鉄道駅を中心とした徒歩圏域(駅からおおむね500メートル)において立地している以下の施設を対象とします。 ※2特別特定建築物:不特定多数の高齢者,障害のあるかたなどが利用する建築物で,移動等円滑化が特に必要なものとして政令で定めるもの(対象となる建築物は次項参照)。特別特定建築物では,2,000平方メートル以上の新・改築等を行う場合,建築物移動等円滑化基準への適合が義務づけられる。 ア 旅客施設 ・ 特定旅客施設の要件(1日当たりの平均的な利用者の人数が5,000人以上など)を満たす旅客施設を設定します。 ・ なお,本市ではJR芦屋駅,阪急芦屋川駅,阪神芦屋駅,阪神打出(うちで)駅の4駅全てが特定旅客施設に該当します。 イ 建築物 ・ 特別特定建築物に該当する建築物のうち,官公庁施設,福祉施設等の公共建築物を設定します。   また,その全部または一部が生活関連施設間を連絡する経路を構成する施設についても必要に応じて設定します。 ・ なお,民間建築物については,特別特定建築物で床面積の合計が2,000平方メートル以上のものを必要に応じて設定します。 ウ 路外駐車場 ・ 不特定多数のかたが自由に利用される自動車駐車場で,駐車区画の合計面積が500平方メートル以上で料金を徴収する駐車場を必要に応じて設定します。 ・ なお,本市ではJR芦屋駅周辺にしか該当する路外駐車場はありません。 エ 都市公園 ・ 近隣公園,地区公園以上の主要な都市公園を設定します。 ・ なお,その他の生活関連施設間を連絡する経路上にある街区公園についても必要に応じて設定します。 (2)重点整備地区の設定  重点整備地区を「阪神芦屋駅・市役所周辺地区」とします。なお,本地区の選定理由は以下の通りです。 ○ 本地区には,阪神芦屋駅や各種行政手続きを行う芦屋市役所,芦屋健康福祉事務所などの官公庁施設をはじめ,福祉会館・老人福祉会館や市民センター本館・ルナホールなどの生活関連施設が多数立地しています。 ○ 阪神芦屋駅の1日平均利用者数は21,504人であり,JR芦屋駅に次いで多くなっています。 ○ また,駅構内にエレベータが無く,駅の主要な出入口は階段になっています。また,車いす対応型トイレが未整備など,市内の4駅の中で最もバリアフリ−面の課題が多くみられます。 ○ 芦屋市都市計画マスタープランにおいて都市構造上の拠点として位置づけられており,市民をはじめ多くのかたが訪れることから,バリアフリー整備による事業効果が高いといえます。 ○ 阪神芦屋駅では,平成21年春に近鉄電車との相互直通運転が計画されています。  また,重点整備地区の区域は,阪神芦屋駅を中心とした徒歩圏域(駅からおおむね500メートル)において,高齢者,障害のあるかたなどがよく利用する次の生活関連施設を囲む区域(約38ha)とします。 【阪神芦屋駅・市役所周辺地区の生活関連施設】 ○ 旅客施設:阪神芦屋駅 ○ 官公庁施設:芦屋市役所,芦屋警察署,芦屋税務署,芦屋健康福祉事務所 ○ 福祉施設:芦屋市保健センター,福祉会館・老人福祉会館 ○ 文化施設:市民センター本館・ルナホール,体育館・青少年センター ○ 商業業務施設:芦屋郵便局 ○ その他の施設:連絡通路(駅〜市役所) ○ 都市公園:芦屋公園,市民公園,大桝公園,業平公園 5 生活関連経路等の設定 (1)生活関連経路 ア 生活関連経路設定の考え方  重点整備地区内の生活関連施設間を連絡する主要な移動経路を,今後,バリアフリー化事業を推進する生活関連経路として設定します。  なお,生活関連経路については,今後,移動等円滑化基準に基づき優先的にバリアフリー化を実施しますが,地形的制約や沿道の市街化状況などにより,移動等円滑化基準の全てを満たす整備が困難な経路もあります。  そのため,設定する生活関連経路を以下のように区分します。 (ア) 生活関連経路T ○ 重点整備地区内の生活関連施設間を連絡する主要な移動経路のうち,移動等円滑化基準に適合したバリアフリー整備を行う経路をいいます。 (イ) 生活関連経路U ○ 重点整備地区内の生活関連施設間を連絡する主要な移動経路のうち,地形的制約や沿道の市街化状況などにより移動等円滑化基準に全て適合させることが困難な経路をいいます。これらの経路については,移動等円滑化基準の中で実施可能なバリアフリー整備を行います。 イ 生活関連経路の設定  生活関連経路Tは,阪神芦屋駅と官公庁施設や福祉施設を結ぶ南北の経路を中心として,国道2号,国道43号,県道奥山精道線,市道216号線などを設定します。  また,市道338-1号線,市道196号線などを生活関連経路Uに設定します。  生活関連経路Tの延長は約1.9km,生活関連経路Uの延長は約1.2kmです。 (2)生活関連経路Uの設定の必要性を検討する道路  国道43号精道交差点においては,横断歩道と芦屋歩道橋が併設されています。生活関連経路としては,上下方向の移動を伴わない横断歩道を設定しますが,広幅員の道路であるため歩行者などが横断を完了するのに相当の時間を要することから,芦屋歩道橋を生活関連経路Uに設定する必要性を検討する道路として設定します。 【生活関連経路Tの設定】 ・ A-1 国道2号(業平橋東詰め交差点〜三八(サンパチ)通り北交差点) ・ A-2 国道43号(精道交差点〜芦屋郵便局)  ・ A-3 国道43号(横断歩道)(精道交差点) ・ A-4 県道奥山精道線(阪神芦屋駅〜精道交差点) ・ A-5 市道216号線 (市民センター本館・ルナホール〜業平橋東詰め交差点) ・ A-6 市道216号線(業平橋東詰交差点〜芦屋警察署) ・ A-7 市道216号線(芦屋警察署〜芦屋市役所) ・ A-8 市道338-1号線(芦屋警察署前交差点〜公光(きんみつ)橋東詰め交差点) ・ A-9 市道229号線(青少年センター前交差点〜芦屋郵便局) ・ A-10 市道210号線(福祉会館・老人福祉会館〜本通り北交差点) ・ A-11 市道210号線(本通り) ・ A-12 市道200号線(三八(サンパチ)通り〜本通り) ・ A-13 連絡通路(阪神芦屋駅〜芦屋市役所) 【生活関連経路Uの設定】 ・ B-1 県道奥山精道線(精道小学校西門〜精道交差点) ・ B-2 県道奥山精道線(芦屋警察署前交差点〜阪神芦屋駅) ・ B-3 市道338-1号線(青少年センター前交差点〜公光(きんみつ)橋東詰め交差点) ・ B-4 市道338-1号線(芦屋警察署前交差点〜三八(サンパチ)通り) ・ B-5 市道196号線(三八(サンパチ)通り) ・ B-6 市道215号線(精道交差点〜芦屋公園(テニスコート)北東交差点) ・ B-7 市道312号線(芦屋公園(テニスコート)北東交差点〜鵺塚橋東詰め交差点) 【生活関連経路Uの設定の必要性を検討する道路】 ・ C-1 国道43号(芦屋歩道橋)(精道交差点) 6 重点整備地区の課題  基本構想の策定にあたり,重点整備地区におけるバリアフリー上の問題点を把握し,課題の整理を行うため,高齢者や様々な障害のあるかたなどのご協力を頂きながら,まち歩き点検調査を実施しました。また,まち歩き点検調査は,平成18年9月26日,27日,30日,10月3日の4日にわたって実施し,高齢者や様々な障害のあるかたなど,延べ64名のかたに参加して頂きました。  このまち歩き点検調査やヒアリング・アンケート調査等による利用者の意見,バリアフリー基準調査の結果を踏まえ,重点整備地区における課題を整理します。 ア 阪神芦屋駅  阪神芦屋駅におけるバリアフリー上の主な課題は次のとおりです。  特に現在,改札口からプラットホームに通ずる経路について,上り下りが供用のエスカレーターと階段しか設置されておらず,車いすを使用するかたなどにとっては,事前に駅員に連絡しないと駅が利用出来ない状況となっています。そのため,改札口からプラットホームまでの高低差の解消が最も大きな課題となっています。 【阪神芦屋駅におけるバリアフリー上の課題】 経路(出入口) 移動円滑化基準等を満たしていない事項 利用者の意見(問題点,提案等)・県道奥山精道線から駅東側コンコースに連絡する出入口は階段しかない  経路(出入口から改札口まで) 移動円滑化基準等を満たしていない事項 ・ スロープに手すりが設置されていない 利用者の意見(問題点,提案等)・ 路面が滑りやすい  経路(改札口) 移動円滑化基準等を満たしていない事項 ・ 有効幅85センチメートルの有人改札があるが,幅90センチメートル以上の拡幅改札口がない 利用者の意見(問題点,提案等) ・ 車いす用通路は,通れなくはないが狭い  経路(改札口からホームまで) 移動円滑化基準等を満たしていない事項 ・ エレベーターが設置されていない ・ 上り専用と下り専用のエスカレーターが確保されていない 利用者の意見(問題点,提案等) ・ エレベーターがほしい  経路(ホーム) 移動円滑化基準等を満たしていない事項 ・ ホーム縁端警告ブロックが敷設されているが,ガイドラインに適合していない 利用者の意見(問題点,提案等) ・ ホーム幅が狭い・ 路面が滑りやすい・ 電車とホームの間に隙間がある・ 乗車位置が分からない,電車の近づく音が聞こえない・ 女性専用車両が分かりにくい・ 柱に色(黄いろ等)の印がほしい・ フラッシュなど,電車の接近が視覚で分かるものがほしい  経路(階段) 移動円滑化基準等を満たしていない事項 ・ 改札外階段の手すりに点字がなく,手すりが2段式になっていない 利用者の意見(問題点,提案等) ・ 階段の踏面の端部が光ってよい  経路(連絡通路(駅〜市役所)) 移動円滑化基準等を満たしていない事項 ・ スロープの勾配がきつく,手すりが設置されていない 利用者の意見(問題点,提案等) ・ 側溝にフタが無い  施設・設備(トイレ) 移動円滑化基準等を満たしていない事項 ・ 車いす使用者用トイレなどが設置されていない・ 男女の区別などを視覚障害者に示す点字による案内板などの設備が設置されていない 利用者の意見(問題点,提案等) ・ 出入口に段差がある・ 男女の区別が分かりにくいので,表示に電気がついているとよい・ 上り下りホームそれぞれにトイレが必要  施設・設備(券売機) 移動円滑化基準等を満たしていない事項 利用者の意見(問題点,提案等) ・ 車いすだと利用しにくい(車いすを横にしないと届かない,運賃が見えにくい)・ 硬貨の入口が狭くて使いにくい・ 特割りに精神障害が書かれていない  施設・設備(運行情報提供設備) 移動円滑化基準等を満たしていない事項 利用者の意見(問題点,提案等) ・ 人が多いと見えにくい・ 大阪行きか,三宮行きかが分からない・ 方向が書いてあるので分かりやすい  施設・設備(その他) 移動円滑化基準等を満たしていない事項 利用者の意見(問題点,提案等) ・ 駅員とコミュニケーションが上手く取れない  視覚障害者誘導用ブロック 移動円滑化基準等を満たしていない事項 利用者の意見(問題点,提案等) ・ 連絡通路に通ずる経路に敷設されていない・ 連絡通路に敷設されていない・ トイレ,券売機までの経路に敷設されていない イ バス車両・バス停  芦屋浜営業所におけるバス車両の低床化率は74%(ノンステップバスが13両,ワンステップバスが24両,通常型車両が13両)であり,ノンステップバス,ワンステップバスには,車いす対応のスロープ板,車いすスペース,車外用放送装置,車内の行先表示機が設置されています。  また,鉄道駅などの主要なバス停には上屋,ベンチが設置されています。  このように,バス交通についてはおおむねバリアフリー化が図られていますが,バス停の整備については,歩道幅員の確保やバスベイの設置など,道路整備と一体的に検討していく必要があります。 ウ 道路 (ア) 歩道等  生活関連経路に設定されている歩道などにおけるバリアフリー上の主な課題は次のとおりです。  特に,震災復興土地区画整理事業により整備された道路や都市計画道路として整備された道路では幅の広い歩道が整備されており,おおむねバリアフリー化が図られていますが,阪神芦屋駅と官公庁施設や福祉施設を南北に結ぶ市道216号線や県道奥山精道線などのバリアフリー化が課題となっています。  また,沿道市街地の状況から歩道の拡幅整備が困難であり,また地形的な状況により縦断勾配のきつい坂道もみられる道路については,路線ごとの実情を踏まえながら実施可能なバリアフリー化を進める必要があります。 【歩道等におけるバリアフリー上の課題】 有効幅員 移動円滑化基準を満たしていない事項 ・ 有効幅員が2メートル未満の箇所がある 利用者の意見(問題点,提案等) ・ 障害物があり通りにくい(看板,駐輪,駐車車両,電柱,花壇,民地の植栽,車止めなど)・ 介助者が並列して歩ける幅がほしい  舗装 移動円滑化基準を満たしていない事項 ・ 未舗装の路線がある 利用者の意見(問題点,提案等) ・ 舗装面に凸凹がある(インターロッキングブロックのがたつき・段差,マンホールのフタなど)・ 透水性舗装は良い,歩きやすい・ 歩道の色が決まっているとよい,茶色の歩道は比較的見えやすい・ 歩行者と自転車の通るところを分けてほしい  勾配 移動円滑化基準を満たしていない事項 ・ 地形の状況から縦断勾配がきつい路線がある・ 橋の付近など車道とのすりつけ部の勾配がきつい箇所がある 利用者の意見(問題点,提案等) ・ 勾配がきつくて長い坂で手すりになるガードパイプがあるのはよい・ 勾配がきつくて長い坂では休める場所がほしい(特に下りがきつい)  高さ 移動円滑化基準を満たしていない事項 ・ 歩道の波打ちが発生している路線がある 利用者の意見(問題点,提案等)  歩車道境界段差 移動円滑化基準を満たしていない事項 利用者の意見(問題点,提案等) ・ 小さい段差につまずく,気になる・ 下りで段差があると危ない  車両乗り入れ部 移動円滑化基準を満たしていない事項 利用者の意見(問題点,提案等) ・ 車両乗り入れ部に段差がある・ 車両乗り入れ部が分かるようにしてほしい  視覚障害者誘導用ブロック 移動円滑化基準を満たしていない事項 ・ 誘導用ブロックが無い路線,箇所がある・ 誘導用ブロックが敷設されているが,色が歩道と同色,形状が小さいなどにより識別しにくい箇所がある 利用者の意見(問題点,提案等) ・ 車いすのかた・杖の利用者にとって誘導用ブロックは通りにくいのでは・ 歩道の幅によって誘導用ブロックの位置が異なる,位置を統一してほしい  排水施設 移動円滑化基準を満たしていない事項 利用者の意見(問題点,提案等) ・ グレーチングの目が粗い(車いすの車輪が挟まる,杖の先が折れる)・ 側溝にフタが無い・ 街渠が鉄平石,コンクリートがよい   その他 移動円滑化基準を満たしていない事項 ・ 建築物の敷地や都市公園の出入口との境界部分に段差がある 利用者の意見(問題点,提案等) ・ 街路樹が邪魔になって通りにくい(幅員が狭い,植栽桝により段差が出来ている)・ 自転車のマナーが悪い(2〜3台並走,ベルが聞こえない,専用場所を走らない,スピード出しすぎなど)・ 踏切が通りにくい(歩く部分が狭い)・ 電柱標識板無いと,電柱があるのが分からない・ 歩道の縁石がななめに切れている,視線誘導標等が無い・ 石のいすは危ない ・ 休憩できる施設がほしい(ベンチ)・ 反射板があるから車止めが見えやすい・ わかりやすい案内表示がほしい(介助者なしで利用できるように) (イ) 芦屋歩道橋  芦屋歩道橋におけるバリアフリー上の主な課題は次のとおりです。  芦屋歩道橋は,阪神芦屋駅・芦屋市役所や芦屋公園等の生活関連施設間を連絡する移動経路として,国道43号を横断する歩行者の安全を確保する役割を担っていますが,スロープの勾配がきつく,階段による垂直方向の移動となっています。また,橋脚や階段により交差点の見通しが悪く,自動車と自転車等とが衝突する危険性があります。  そのため,高齢者や障害のあるかたなどを含む歩行者の利便性と安全性の向上の観点から,特に,階段を上り下りする負担などを可能な限り軽減することと,歩道橋下における交通事故の危険性を低減するための改善などが必要となっています。 【歩道等におけるバリアフリー上の課題】 昇降施設 移動円滑化基準を満たしていない事項 ・ 移動円滑化のためのエレベーターなどが設置されていない 利用者の意見(問題点,提案等)  スロープ 移動円滑化基準を満たしていない事項 ・ 勾配がきつい・ 手すりに点字がない,また手すりが2段式になっていない 利用者の意見(問題点,提案等)  通路 移動円滑化基準を満たしていない事項 ・ 手すりが設置されていない 利用者の意見(問題点,提案等) ・ 揺れがひどい  階段 移動円滑化基準を満たしていない事項 ・ 手すりに点字がない,また手すりが2段式になっていない 利用者の意見(問題点,提案等) ・ 階段の最後の段まで識別出来るように  視覚障害者誘導用ブロック 移動円滑化基準を満たしていない事項 ・ スロープの上端,階段の踊り場付近などに敷設されていない 利用者の意見(問題点,提案等)  その他 移動円滑化基準を満たしていない事項 利用者の意見(問題点,提案等) ・ 歩道橋を使っている人が少ない・ 橋脚や階段により交差点の見通しが悪い エ 交通安全施設  生活関連経路の交通安全施設におけるバリアフリー上の主な課題は次のとおりです。  特に,国道43号精道交差点では現在,音響式信号機が設置されていないほか,高齢者や障害のあるかたなどにとって国道43号を横断するための歩行者青信号時間が十分に確保されていない状況です。そのため,併設されている芦屋歩道橋との役割分担を検討しながら,高齢者や障害のあるかたなどを含めた歩行者の円滑かつ安全な横断を確保していく必要があります。 【交通安全施設におけるバリアフリー上の課題】 信号機 交通安全施設の基準を満たしていない事項 ・ 本通り北交差点,芦屋警察署前交差点の2箇所の信号機を除き,音響式信号機が設置されていない・ 国道2号,国道43号の広幅員道路を横断するための歩行者用青信号時間が短い 利用者の意見(問題点,提案等) ・ 信号の色が分かりにくい・ 信号機が無い・ 道路の幅員が広いと信号機が見えにくい,真ん中にもう1つ必要 ・ 信号待ちの時に休憩できる施設がほしい・ 時差信号であることの表示が必要  横断歩道 交通安全施設の基準を満たしていない事項 利用者の意見(問題点,提案等) ・ 横断歩道が無い・ 横断歩道が渡りにくい(横断勾配がきつい,位置が悪い,自転車横断帯が狭い) オ 官公庁施設等の建築物  官公庁施設などの建築物におけるバリアフリー上の主な課題は次のとおりです。 【官公庁施設等の建築物におけるバリアフリー上の課題】 芦屋市役所(屋外,建物の出入口) 移動等円滑化基準を満たしていない事項 ・ スロープに手すりが設置されていない(東側)・ スロープの勾配がきつく,手すりが設置されていない(西側)・ 誘導用ブロックが敷設されているが,色が路面と同色である 利用者の意見(問題点,提案等) ・ 舗装面に凸凹がある・ 車で行く時が不便  芦屋市役所(屋内) 移動等円滑化基準を満たしていない事項 ・ 階段の踏面が識別しにくい・ オストメイト対応トイレが設置されていない・ 階段,スロープの上端付近に誘導用ブロックが敷設されていない・ 案内設備までの誘導用ブロックの色が床面と同色である 利用者の意見(問題点,提案等) ・ 授乳室が無い,おむつの交換場所が分かりにくい・ 玄関が暗いのでLED誘導用ブロックがほしい  芦屋警察署(屋外,建物の出入口) 移動等円滑化基準を満たしていない事項 利用者の意見(問題点,提案等) ・ スロープの曲がる角度を緩くしてほしい・ 正面から入れるようにスロープを設置してほしい  芦屋警察署(屋内) 移動等円滑化基準を満たしていない事項 ・ オストメイト対応トイレが設置されていない 利用者の意見(問題点,提案等)  芦屋税務署(屋外,建物の出入口) 移動等円滑化基準を満たしていない事項 利用者の意見(問題点,提案等) (改装中のため調査をしていない)  芦屋税務署(屋内) 移動等円滑化基準を満たしていない事項 ・ オストメイト対応トイレが設置されていない 利用者の意見(問題点,提案等)  芦屋健康福祉事務所(屋外,建物の出入口) 移動等円滑化基準を満たしていない事項 ・ 車いす用駐車スペースはあるが,幅が狭い 利用者の意見(問題点,提案等)  芦屋健康福祉事務所(屋内) 移動等円滑化基準を満たしていない事項 ・ エレベーターが設置されていない 利用者の意見(問題点,提案等)  芦屋保健センター(屋外,建物の出入口) 移動等円滑化基準を満たしていない事項 ・ スロープに手すりが設置されていない・ 車いす用駐車スペースがない 利用者の意見(問題点,提案等) ・ 玄関のドアが手動・ グレーチングの目が粗い  芦屋保健センター(屋内) 移動等円滑化基準を満たしていない事項 ・ エレベーターが設置されていない・ オストメイト対応トイレが設置されていない・ 階段の上端付近に誘導用ブロックが敷設されていない 利用者の意見(問題点,提案等)  福祉会館・老人福祉会館(屋外,建物の出入口) 移動等円滑化基準を満たしていない事項 ・ 道路と敷地の境界部分に段差がある・ 誘導用ブロックが敷設されているが,色が路面と同色である・ 車いす用駐車スペースはあるが,幅が狭い 利用者の意見(問題点,提案等) ・ 玄関前通路の両側に柵などが必要・ 階段が不規則,各段の高さが違う・ 玄関のマットで誘導用ブロックが隠れている・ 玄関のレールに凸凹がある・ 階段の踏面に滑り止めがほしい  福祉会館・老人福祉会館(屋内) 移動等円滑化基準を満たしていない事項 ・ オストメイト対応トイレが設置されていない・ 案内設備までの経路に誘導用ブロックが敷設されていない・ 階段上端付近の誘導用ブロックの色が床面と同色である 利用者の意見(問題点,提案等)  市民センター・ルナホール(屋外,建物の出入口) 移動等円滑化基準を満たしていない事項 [市民センター本館]・ 誘導用ブロックが敷設されているが,色が路面と同色である[ルナホール]・ 敷地内通路の勾配がきつい(西側から1階玄関への通路)・ 誘導用ブロックが敷設されているが,色が路面と同色である 利用者の意見(問題点,提案等) [市民センター本館]・ スロープが短い・ 誘導用ブロックの位置が悪い(階段前),玄関のマットで誘導用ブロックが隠れている ・ スロープの曲がる角度を緩くしてほしい・ 階段の踏面に滑り止めがほしい[ルナホール]・ 玄関の扉が開いているのか判別しにくい  市民センター・ルナホール(屋内) 移動等円滑化基準を満たしていない事項 [市民センター本館]・ オストメイト対応トイレが設置されていない・ 男子トイレに床置き式小便器が設置されていない・ スロープの上端付近に誘導用ブロックが敷設されていない[ルナホール]・ オストメイト対応トイレが設置されていない・ 案内設備までの経路に誘導用ブロックが敷設されていない・ 階段上端付近の誘導用ブロックの色が床面と同色である  利用者の意見(問題点,提案等) [市民センター本館・ルナホール]・ 玄関が暗いのでLED(エルイーディー)誘導用ブロックがほしい  体育館・青少年センター(屋外,建物の出入口) 移動等円滑化基準を満たしていない事項 ・ 道路と敷地の境界部分に段差がある 利用者の意見(問題点,提案等) ・ 路面が滑りやすい・ 自転車の駐輪マナーが悪い・ 玄関のマットがめくれている,つまずく・ 駐車場の台数が少ない  体育館・青少年センター(屋内) 移動等円滑化基準を満たしていない事項 ・ オストメイト対応トイレが設置されていない 利用者の意見(問題点,提案等) ・ 体育館で車いす競技が出来ない・ 玄関が暗いのでLED(エルイーディー)誘導用ブロックがほしい  芦屋郵便局(屋外,建物の出入口) 移動等円滑化基準を満たしていない事項 利用者の意見(問題点,提案等) ・ 「自転車は通行出来ません」のシールを大きくしてほしい(スロープ)  芦屋郵便局(屋内) 移動等円滑化基準を満たしていない事項 利用者の意見(問題点,提案等) ・ 玄関が暗いのでLED(エルイーディー)誘導用ブロックがほしい  連絡通路(駅〜市役所)(屋内) 移動等円滑化基準を満たしていない事項 ・ スロープの勾配がきつく,手すりが設置されていない・ 阪神芦屋駅に通ずる連絡通路に誘導用ブロックが敷設されていない 利用者の意見(問題点,提案等) ・ 側溝にフタが無い カ 都市公園  都市公園におけるバリアフリー上の主な課題は次のとおりです。  近年,震災復興土地区画整理事業により整備された大桝公園では,おおむねバリアフリー化が図られていますが,その他の古くから整備された都市公園では,トイレなどの公園施設や出入口などのバリアフリー化が課題となっています。特に,芦屋公園については,本市の景観を代表するシンボル的な空間を形成しており,良好な景観に配慮したバリアフリー化を検討していく必要があります。 【都市公園におけるバリアフリー上の課題】 芦屋公園(園路) 移動等円滑化基準を満たしていない事項 ・ 道路との境界部分に段差がある・ 通路に段差がある 利用者の意見(問題点,提案等) ・ 土の道はベビーカーを押しにくい・ 砂地,段差などがあり公園内は車いすで通れないが,景観を損なわないバリアフリーが必要  芦屋公園(公園施設) 移動等円滑化基準を満たしていない事項 ・ 車いす使用者用トイレ等が設置されていない・ 手洗場が高く,下部スペースがない 利用者の意見(問題点,提案等)  市民公園(園路) 移動等円滑化基準を満たしていない事項 ・ 道路との境界部分に段差がある 利用者の意見(問題点,提案等) ・ 出入り口の砂ですべる  市民公園(公園施設) 移動等円滑化基準を満たしていない事項 ・ 休憩所の出入り口に段差がある・ 車いす使用者用トイレなどが設置されていない・ 水飲み場,手洗場が高く,下部スペースがない 利用者の意見(問題点,提案等)  大桝公園(園路) 移動等円滑化基準を満たしていない事項 ・ スロープに手すりが片側しか設置されていない・ 階段の手すりに点字がない・ 公園内の小川に立ち上がり部などがない 利用者の意見(問題点,提案等)  大桝公園(公園施設) 移動等円滑化基準を満たしていない事項 利用者の意見(問題点,提案等) ・ トイレの出入り口に誘導用ブロックがない・ トイレの出入り口横に段差がある・ 車いす用トイレの便器の向きが悪い・ トイレの男女の別が分からない,触って分かるように・ 手すりは跳ね上げ式がよい・ ごみ箱がほしい  業平公園(園路) 移動等円滑化基準を満たしていない事項 ・ トイレまでの通路に有効幅員が狭い箇所,段差がある・ スロープの勾配がきつく,手すりが設置されていない・ 階段に手すりがなく,踏面が識別しにくい,また,階段の両側に立ち上がり部などがない 利用者の意見(問題点,提案等) ・ スロープがあるのが分かりにくい  業平公園(公園施設) 移動等円滑化基準を満たしていない事項 ・ 休憩所の出入り口に段差がある・ 車いす使用者用トイレなどが設置されていない・ 手洗場が高く,下部スペースがない 利用者の意見(問題点,提案等) ・ トイレの出入り口に段差がある 7 バリアフリー化のために実施すべき特定事業等 (1)整備の基本的な考えかた  生活関連施設や生活関連経路のバリアフリー整備については,基本理念,基本方針を踏まえるとともに,本地区の実情に応じ,次に示す基本的な考えかたに基づき整備を行います。  なお,バリアフリー整備にあたっては,施設ごとの移動等円滑化基準を基本とした整備・改善はもとより,関連するガイドラインや利用者からの提案事項等を踏まえた,より質の高いバリアフリー化を目指します。  また,各施設設置管理者および公安委員会をはじめ,関係者相互の連携を図ります。 (ア) 阪神芦屋駅の出入口からホームに通ずる経路について,エレベーターなどにより高低差を解消し,高齢のかた,障害のあるかた,子供連れのかたなどすべてのかたが,可能な限り単独で移動できる経路を1以上確保します。 (イ) 阪神芦屋駅,芦屋市役所から南北方向に点在する官公庁施設や福祉施設,都市公園を結ぶ経路などについて,重点的なバリアフリー化を進めます。   また,坂が多い地形を考慮した歩道の整備に努めます。 (ウ) 地区内を東西に走る国道2号,国道43号の広幅員幹線道路が南北方向を円滑に移動するうえでの障害となっており,これらの横断箇所について,安全・安心・快適に移動できる歩行空間の確保に努めます。 (エ) 建築物のバリアフリー化については,公共性の高い官公庁施設,福祉施設などから順次実施するほか,民間建築物についても「兵庫県福祉のまちづくり条例」との連携強化を図り,公共交通機関や道路,都市公園などとの一体的・連続的なバリアフリー化に努めます。 (オ) 芦屋川沿いの松並木や芦屋公園の美しい景観に配慮した整備の検討を行い,「国際文化住宅都市」としてふさわしい,人にも環境にも優しいバリアフリー化に努めます。 (2)特定事業 ア 公共交通特定事業(事業者:阪神電気鉄道,阪急バス等) (ア) 阪神芦屋駅 【経路】 ○ エレベーター(改札内) ・ 駅東改札内から各ホームを結ぶエレベーターの設置(短期的に実施) ○ スロープ(改札外) ・ 市道216号線から駅東改札間の連絡通路スロープ部への2段式手すりの設置(短期的に実施) ○ 改札口 ・ 車いす使用者に対応した拡幅改札口の設置(短期的に実施) ○ ホーム ・ ホーム縁端警告ブロックの改善*1(長期的に実施) *1ホーム縁端警告ブロックの改善:ホーム縁端警告ブロックの形状等について,ISO(国際標準化機構)規格化が現在検討中であり,この動向を踏まえて改善を検討。 ○ 階段(改札内外) ・ 2段式手すりへの改善,手すりへの点字案内表示(短期的に実施) ○ 駅東改札外〜県道間のアクセス ・ 駅東改札外から県道奥山精道線間の段差解消施設の整備*2(長期的に実施) *2駅東改札外から県道奥山精道線間の段差解消施設の整備:現在の駅舎(地下構造)付近では,エレベーターの整備が非常に困難であり,鉄道事業者や芦屋市をはじめ,他の関係機関との協議,調整等により実施を検討。 ○ 連絡通路(駅〜市役所) ・ スロープの勾配等の改善(短期的に実施) ・ 溝蓋の設置(短期的に実施) 【視覚障害者誘導用ブロック】 ・ 視覚障害者誘導用ブロックの設置(連絡通路や連絡通路から改札口に至る経路など)(短期的に実施) 【施設・設備】 ○ トイレ ・ 高齢者や障害のあるかた,乳幼児を連れたかた等に配慮した設備の改善(短期的に実施) ○ 券売機 ・ バリアフリー化された券売機に更新*3(長期的に実施) *3バリアフリー化された券売機に更新:今後の機器開発の動向も踏まえ,設備更新時期にあわせて実施を検討。 ○ 運行情報提供設備 ・ バリアフリー化された案内表示器に更新*4(長期的に実施) *4バリアフリー化された案内表示器に更新:設備更新時期にあわせて,設置場所なども含めて実施を検討。 (イ) バス車両・バス停 ○ バス車両 ・ 低床車両バスの導入(継続的に実施) ○ バス停 ・ ベンチおよび上屋の設置*1(長期的に実施) *1ベンチおよび上屋の設置:ベンチおよび上屋の設置に必要な幅員を除き,歩道の有効幅員が2メートル以上確保できる路線については,道路管理者との協議により実施を検討。 イ 道路特定事業(事業者:国土交通省,兵庫県,芦屋市) (ア) 生活関連経路Tを構成する道路 ○ 国道2号(業平橋東詰め交差点〜三八(サンパチ)通り北交差点) ・ 視覚障害者誘導用ブロックの設置(短期的に実施) ○ 国道43号(精道交差点〜芦屋郵便局) ・ 芦屋歩道橋の橋脚部における有効幅員の拡幅*1(短期的に実施) ・ 交差点でのすりつけ勾配の改善(短期的に実施) ・ 視覚障害者誘導用ブロックの設置(短期的に実施) *1芦屋歩道橋の橋脚部における有効幅員の拡幅:歩行者や自転車の安全な通行を確保するため,芦屋歩道橋の橋脚位置の変更を含めた改善策を検討。 ○ 国道43号(横断歩道)(精道交差点) ・ 引き続き検討*2(短期的に実施) *2 引き続き検討:引き続き横断歩行者の安全性・円滑性等に着目した現況の課題を精査したうえで改善策を検討。 ○ 県道奥山精道線(阪神芦屋駅〜精道交差点) ・ 有効幅員の拡幅(短期的に実施) ・ 歩道の波打ち改善(短期的に実施) ・ 視覚障害者誘導用ブロックの改善(短期的に実施) ○ 市道216号線(市民センター本館・ルナホール〜業平橋東詰め交差点) ・ スロープの拡幅,勾配などの改善(短期的に実施) ・ 視覚障害者誘導用ブロックの設置(短期的に実施) ○ 市道216号線(業平橋東詰め交差点〜芦屋警察署) ・ 芦屋川沿いの景観に配慮した平坦で滑りにくい舗装仕上げとする*3(短期的に実施) ・ 狭い区間での有効幅員の拡幅(短期的に実施) ・ 車両乗り入れ部でのすりつけ改善(短期的に実施) ・ 視覚障害者誘導用ブロックの設置(短期的に実施) *3芦屋川沿いの景観に配慮した平坦で滑りにくい舗装仕上げとする:試験施工を行い,市民や利用者の意見を聞きながら,芦屋川や松並木の景観と調和した舗装材等を検討。 ○ 市道216号線(芦屋警察署〜芦屋市役所) ・ 歩道の波打ち改善(短期的に実施) ・ 横断歩道における横断勾配の改善*4(短期的に実施) ・ 視覚障害者誘導用ブロックの改善(短期的に実施) *4横断歩道における横断勾配の改善:東西方向の縦断勾配を詳細に調査し実現可能な改善策を検討。 ○ 市道338-1号線(芦屋警察署前交差点〜公光(きんみつ)橋東詰め交差点) ・ 視覚障害者誘導用ブロックの設置(短期的に実施) ○ 市道229号線(青少年センター前交差点〜芦屋郵便局) ・ 舗装面の凸凹の改善(短期的に実施) ・ 視覚障害者誘導用ブロックの設置,改善(短期的に実施) ○ 市道210号線(福祉会館・老人福祉会館〜本通り北交差点) ・ 視覚障害者誘導用ブロックの設置(短期的に実施) ○ 市道210号線(本通り) ・ 視覚障害者誘導用ブロックの設置(短期的に実施) ○ 市道200号線(三八(サンパチ)通り〜本通り) ・ 視覚障害者誘導用ブロックの設置(短期的に実施) (イ) 生活関連経路Uを構成する道路 ○ 県道奥山精道線(精道小学校西門〜精道交差点) ・ 有効幅員の拡幅(短期的に実施) ・ 歩道の波打ち改善(短期的に実施) ・ 視覚障害者誘導用ブロックの改善(短期的に実施) ○ 県道奥山精道線(芦屋警察署前交差点〜阪神芦屋駅) ・ 有効幅員の拡幅*5(長期的に実施) ・ 踏切部における歩行空間の改善*6(長期的に実施) ・ 視覚障害者誘導用ブロックの設置(長期的に実施) *5有効幅員の拡幅:道路占有物の移設・集約,民地の協力など,実現可能な改善策を検討。 *6踏切部における歩行空間の改善:鉄道事業者との協議により実現可能な改善策を検討。 ○ 市道338-1号線(青少年センター前交差点〜公光(きんみつ)橋東詰め交差点) ・ 長い坂道区間での休憩施設などの設置*7(長期的に実施) ・ 視覚障害者誘導用ブロックの設置(長期的に実施) *7長い坂道区間での休憩施設などの設置:歩道幅員等の設置可能なスペースの有無を検討 ○ 市道338-1号線(芦屋警察署前交差点〜三八(サンパチ)通り) ・ 舗装面の凸凹の改善(長期的に実施) ・ 長い坂道区間での休憩施設などの設置*7(長期的に実施) ・ 視覚障害者誘導用ブロックの設置(長期的に実施) *7長い坂道区間での休憩施設などの設置:歩道幅員などの設置可能なスペースの有無を検討 ○ 市道196号線(三八(サンパチ)通り) ・ 視覚障害者誘導用ブロックの設置(長期的に実施) ○ 市道215号線(精道交差点〜芦屋公園(テニスコート)北東交差点) ・ 車両乗り入れ部でのすりつけ改善(長期的に実施) ・ 視覚障害者誘導用ブロックの設置(長期的に実施) ○ 市道312号線(芦屋公園(テニスコート)北東交差点〜鵺塚橋東詰め交差点) ・ 視覚障害者誘導用ブロックの設置(長期的に実施) (ウ) 生活関連経路Uの設定の必要性を検討する道路 ○ 国道43号(芦屋歩道橋)(精道交差点) ・ 引き続き検討*8(長期的に実施) *8 引き続き検討:引き続き道路管理者,公安委員会,芦屋市,地域住民,利用者などと協議を行い検討。 (エ) 共通事項 ○ 建築物などとの連続性の確保 ・ 歩道などから生活関連施設出入り口への段差の改善,視覚障害者誘導用ブロックの設置(短期的に実施) ○ 水たまりの防止 ・ 舗装材は,雨天時においても水たまりができないよう透水性舗装とする(短期的に実施) ○ 排水施設 ・ グレーチングの改善(短期的に実施) ○ その他 ・ 分かりやすい歩行者案内標識の設置*9(長期的に実施) *9 分かりやすい歩行者案内標識の設置:設置場所と表示内容を検討。 ウ 交通安全特定事業(事業者:公安委員会等) ○ 信号機 ・ 生活関連経路の主要な交差点におけるバリアフリー対応型信号機の設置(短期的に実施) ・ 生活関連経路の主要な交差点における歩行者用青時間の延長*1(長期的に実施) *1生活関連経路の主要な交差点における歩行者用青時間の延長:必要箇所や自動車交通量等を詳細に調査し実施を検討。 ○ 横断歩道 ・ 生活関連経路の主要な交差点における横断歩道などの拡幅やエスコートゾーン(視覚障害者用横断帯)の設置*2(長期的に実施) *2生活関連経路の主要な交差点における横断歩道などの拡幅やエスコートゾーン(視覚障害者用横断帯)の設置:公安委員会と道路管理者との協議により実施を検討。 ○ その他 ・ 違法駐車の取締まり強化(継続的に実施) エ 建築物特定事業(事業者:兵庫県,芦屋市等) 【芦屋市役所】 ○ 屋外 ・ スロープの改善*1(短期的に実施) ・ 視覚障害者誘導用ブロックの改善(短期的に実施) *1スロープの改善:地形的制約からスロープの勾配の改善が困難であり,実現可能な改善策を検討。 ○ 屋内 ・ 階段の踏面端部の識別化(短期的に実施) ・ 高齢者や障害のあるかた,乳幼児を連れたかたなどに配慮したトイレの改善(短期的に実施) ・ 案内板の改善(短期的に実施) ・ 視覚障害者誘導用ブロックの設置,改善(短期的に実施) 【芦屋警察署】 ○ 屋外 ・ (おおむねバリアフリー化されている) ○ 屋内 ・ 高齢者や障害のあるかた,乳幼児を連れたかたなどに配慮したトイレの改善*2(長期的に実施) *2高齢者や障害のあるかた,乳幼児を連れたかたなどに配慮したトイレの改善:平成12年度の建て替え時において,車いす使用者用トイレの設置などバリアフリー化整備を実施しており,これらの整備効果等を評価しながら実施を検討。 【芦屋税務署】 ○ 屋外 ・ 敷地内通路の改善*3(長期的に実施) *3敷地内通路の改善:西側の生活関連経路のバリアフリー化と連携した一体的・連続的な改善策について実行可能性を検討。 ○ 屋内 ・ 高齢者や障害のあるかた,乳幼児を連れたかたなどに配慮したトイレの改善(短期的に実施) 【芦屋健康福祉事務所】 ○ 屋外 ・ 車いす用駐車スペースの拡幅(短期的に実施) ○ 屋内 ・ エレベーターの設置*4(長期的に実施) *4エレベーターの設置:平成17年度に実施したユニバーサル化整備工事の効果等を評価しながら実現可能な改善策を検討。 【芦屋市保健センター*5】 *5:(仮称)芦屋市福祉センターの構想において検討。 ○ 屋外 ・ スロープに手すりを設置(短期的に実施) ・ 車いす用駐車スペースの設置(短期的に実施) ○ 屋内 ・ エレベーターの設置(短期的に実施) ・ 高齢者や障害のあるかた,乳幼児を連れたかたなどに配慮したトイレの改善(短期的に実施) ・ 視覚障害者誘導用ブロックの設置(短期的に実施) 【福祉会館・老人福祉会館】 ○ 屋外 ・ 道路と敷地境界の段差の改善(短期的に実施) ・ 通路の両側に立ち上がり部などを設置(短期的に実施) ・ 視覚障害者誘導用ブロックの改善(短期的に実施) ・ 車いす用駐車スペースの拡幅(短期的に実施) ○ 屋内 ・ 高齢者や障害のあるかた,乳幼児を連れたかたなどに配慮したトイレの改善(短期的に実施) ・ 視覚障害者誘導用ブロックの設置,改善(短期的に実施) 【市民センター本館・ルナホール】 ○ 屋外 [市民センター本館] ・ 視覚障害者誘導用ブロックの改善(短期的に実施) [ルナホール] ・ 敷地内通路の改善*6(短期的に実施) ・ 視覚障害者誘導用ブロックの改善(短期的に実施) *6敷地内通路の改善:地形的制約から敷地内通路の勾配の改善が困難であり,実現可能な改善策を検討。 ○ 屋内 [市民センター本館] ・ 高齢者や障害のあるかた,乳幼児を連れたかたなどに配慮したトイレの改善(短期的に実施) ・ 男子トイレの改善(短期的に実施) ・ 視覚障害者誘導用ブロックの設置(短期的に実施) [ルナホール] ・ 高齢者や障害のあるかた,乳幼児を連れたかたなどに配慮したトイレの改善(短期的に実施) ・ 視覚障害者誘導用ブロックの設置,改善(短期的に実施) 【体育館・青少年センター】 ○ 屋外 ・ 道路と敷地境界の段差の改善(短期的に実施) ○ 屋内 ・ 高齢者や障害のあるかた,乳幼児を連れたかたなどに配慮したトイレの改善(短期的に実施) 【芦屋郵便局】 ○ 屋外 ・ (おおむねバリアフリー化されている) ○ 屋内 ・ (おおむねバリアフリー化されている) 【連絡通路(駅〜市役所)】 ○ 屋内 ・ スロープの勾配等の改善(短期的に実施) ・ 溝蓋の設置(短期的に実施) ・ 視覚障害者誘導用ブロックの設置(短期的に実施) オ 都市公園特定事業(事業者:芦屋市) 【芦屋公園】 ○ 園路 ・ 道路と敷地境界の段差の改善(短期的に実施) ・ 出入口から主要な公園施設に至る経路の改善*1(短期的に実施) *1出入口から主要な公園施設に至る経路の改善:芦屋公園の景観と調和したバリアフリー化を検討。 ○ 公園施設 ・ 高齢者や障害のあるかた,乳幼児を連れたかたなどに配慮したトイレの改善(長期的に実施) ・ 手洗場の改善(長期的に実施) 【市民公園】 ○ 園路 ・ 道路と敷地境界の段差の改善(短期的に実施) ○ 公園施設 ・ 高齢者や障害のあるかた,乳幼児を連れたかたなどに配慮したトイレの改善(長期的に実施) ・ 休憩施設の段差,水飲み場,手洗場の改善(長期的に実施) 【大桝公園】 ○ 園路 ・ スロープ,階段の手すりの改善(短期的に実施) ・ 公園内の小川に立ち上がり部などを設置(短期的に実施) ○ 公園施設 ・ トイレ内の手すりの改善(短期的に実施) 【業平公園】 ○ 園路 ・ 出入口からトイレまでの通路の改善(短期的に実施) ・ スロープの勾配などの改善(短期的に実施) ・ 階段の踏面端部の識別化,両側に立ち上がり部などを設置(短期的に実施) ○ 公園施設 ・ 高齢者や障害のあるかた,乳幼児を連れたかたなどに配慮したトイレの改善(長期的に実施) ・ 休憩施設の段差,水飲み場,手洗場の改善(長期的に実施) (3)その他の事業 ア 心のバリアフリーの推進  施設面でのバリアフリー化が進んでも,歩道上の放置自転車や看板類が車いすのかたをはじめ歩行者の通行を妨げたり,視覚障害者誘導用ブロックの上に放置自転車や玄関マット等が置かれてはその効果を十分に発揮することができません。また,近くにいる人のちょっとしたサポートが何よりも重要となる場合もあります。  さらに,障害のあるかたの中でも,内部障害のかたや聴覚障害のかたなど,見た目上周囲から気づかれない障害もあり,知的障害のかた,精神障害のかたなども含めた様々なタイプの障害について,市民をはじめ多くのかたに理解してもらうための取り組みが必要です。  そのため,市民,福祉関係団体,民間事業者および行政の関係者が連携しながら,高齢者や障害のあるかた,子供連れのかたなどに対する理解と協力を促すための啓発活動の推進など,心のバリアフリーの取り組みを進めます。 (ア) 心のバリアフリーの基本的な考えかた −市民と関係者などとの連携・協力− ・ 心のバリアフリーの取り組みについては,市民一人ひとりの理解と協力をはじめ,様々な関係者と連携・協力が不可欠です。特に市民には,バリアフリー意識の醸成,放置自転車等の問題行動の改善,バリアフリー整備に対する点検・評価や利用者としてのニーズの反映等が求められます。   そこで本市では,市民,福祉関係団体,民間事業者および行政の関係者が連携し,相互に協力した取り組みを推進します。 (イ) 市民に対する啓発活動の推進 ・ 広報紙や広報チャンネルの活用,さらには学校教育等の機会において,障害のあるかたの現状やバリアフリーの制度などに対する市民一人ひとりの理解,モラルの向上についての啓発活動を行います。 ・ 特に,内部障害のかたなど見た目上周囲から気づかれないかたや,知的・精神に障害のあるかたなどに対する心のバリアフリーが遅れており,市民や福祉関係団体などとの連携・協力のもと,このようなかたがたの置かれている困難な状況に対する理解を深めるための取り組みを進めます。 (ウ) 職員に対する研修の実施 ・ 行政担当者や交通事業者をはじめ,各施設の職員などの関係者が,高齢者や障害のあるかたなどの心理的・身体的特性,多様なニーズを理解した上で,接遇・介助における対応を適切に行うことができるよう研修を実施します。 (エ) バリアフリー情報の提供 ・ バリアフリーマップの作成・提供や,施設設置管理者が利用者に分かりやすい形で必要な視覚情報および聴覚情報を適切に提供する「情報」のバリアフリー化を進めます。   また,バリアフリー情報の提供にあたっては,継続的に情報を更新していくことが重要であるため,市民や福祉関係団体などとの連携・協力のもと,情報の更新を含めた継続的な取り組みを進めます。 ・ 施設設置管理者および公安委員会等の取り組み状況や先進的な事例の紹介など,バリアフリーの取り組みに関する情報提供を進めます。 イ 迷惑自転車・路上違反広告物対策  駐輪および自転車通行マナーの向上を図るための啓発活動を実施するとともに,通行の障害となっている放置自転車の撤去を実施します。  また,放置自転車対策のひとつとして,自転車駐車場の整備を検討します。  さらに,歩道にはみ出している路上違反広告物の撤去,指導,啓発活動を実施します。 ウ 福祉施策との連携  障害のあるかたが年々増加し,また高齢化が進展する中で障害が重度化・重複化する傾向にあります。障害のあるかたが地域社会で自立した生活を営んでいくために,地域社会全体で支えていくための意識づくり,仕組みづくりを福祉施策と連携して進めます。  また,兵庫県福祉のまちづくり条例に基づく事前届出において,民間建築物に対する指導・助言を適切に行うほか,福祉施策による住宅改造費の助成等と連携しながら,個々の住宅などを含めた地域のバリアフリー化を進めます。 エ 多様な地域モビリティの確保  高齢者や障害のあるかたなどが地域社会で自立した生活を営んでいくためには,鉄道駅やバス車両などのバリアフリー化に加えて,自宅から目的地まで楽に移動できるような福祉有償運送※1や公共交通機関などの地域のモビリティ(移動性)の確保が必要です。  そのため,福祉有償運送の普及をはじめ,総合的な交通サービスの観点から,多様な地域のモビリティ(移動性)を確保していく方策を検討します。 ※1福祉有償運送:NPOや社会福祉法人などの非営利法人が,高齢者や障害のあるかたなど公共交通機関を使用して移動することが困難な人を対象に,通院,通所,レジャーなどを目的に有償で行う車による移送サービスのこと。なお,本市では,平成17年11月に本市を含む阪神地区の7市1町が共同で,福祉有償運送の申請団体について協議を行う阪神地区福祉有償運送運営協議会を設立している。 オ IT等の新技術の活用  現在,国などにおいては,ICタグ等を活用し高齢者や障害のあるかたなどの自立的な移動を支援するユビキタスな環境づくりが進められています。また,鉄道とバスなどの異なるモード間でもカード一枚で利用できる共通化したICカードシステムの普及も進められています。  今後は,このような新技術の動向や国などにおける実証実験の成果などを踏まえ,それらを活用した情報提供の充実,利便性の向上等に向けた取り組みについても検討します。 8 基本構想の実現に向けて ア 継続的改善に向けての取り組み  この基本構想策定後は,各施設設置管理者および公安委員会が基本構想に即して特定事業計画を策定し,事業を実施します。 その際,市民,福祉関係団体,民間事業者および行政の関係者が相互に協力して,基本構想に位置づけられた事業の着実な実施,評価,改善を図っていくなど,継続的な改善の取り組みを行うことが必要です。  そのため,市民,福祉関係団体,民間事業者および行政の関係者が連携したフォローアップ体制の整備を検討し,バリアフリーに対する利用者の意見の把握や特定事業などの実施効果の評価に努め,ユニバーサルデザインの考えかたを踏まえた,より質の高いバリアフリー化に努めます。  また,特定事業およびその他の事業の実施状況について,広く市民への情報提供を行います。 イ 特定事業計画の作成上の留意事項  各施設設置管理者および公安委員会が基本構想に即して特定事業計画を作成するにあたっては,早期作成の重要性を十分認識し,基本構想で時期を短期としている事業は原則,平成22年までの実施を目標とします。一方,時期を長期としている事業についても出来る限り早期に実施出来るよう努めます。  また,高齢者や障害のあるかたなどをはじめ,利用者の意見が特定事業計画に十分反映されるよう努めます。  なお,道路特定事業においては,移動等円滑化基準に全て適合したバリアフリー整備が困難な道路もありますが,特に多数のかたが利用される経路については,長期的に検討する中で,交通規制等の交通施策とあわせたバリアフリー化についても検討します。そのほか,最新技術の動向や利用者の意見を踏まえた対応策の変化などについても配慮します。 ウ 重点整備地区外への展開  重点整備地区は,特に優先してバリアフリー化事業を重点的・一体的に実施する地区ですが,今後とも本市では高齢者などの増加が予想される中で,その他の地区についてもバリアフリー化を進めることが必要といえます。一方,平成18年6月に制定されたバリアフリー法により,旅客施設と車両,特別特定建築物,路外駐車場,公園施設などの新設または改良を行う際には,バリアフリー化が義務づけられます。  この基本構想策定で得られた利用者の意見や事業実施後の評価など,これらの知見を活用するとともに,市全体の交通施策等とも連携し,その他の地区においても効果的なバリアフリー施策の展開を目指します。