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更新日:2023年8月29日
毎日のように市内を駆け回る消防車・救急車!
年間で何件出動するか知っていますか?
令和4年の集計では、芦屋市消防署は火災や救急などの出動をすべて含め、
1年間で6,329件の緊急出動をしています。
▶▶▶災害統計はこちら
緊急走行の最中、時には公道の赤信号を通過したり、反対車線や一方通行を逆走したり、はたまた
「え?!こんなに細い道を行くの?!」というような消防車両の走行を目にしたことはありませんか?
真夜中でも、台風による防雨風でも、大雪で地面が凍結していても、助けを待つ人がいるならば、1分1秒でも早く消防車両は急行します。
当然、イレギュラーな状況下で運転を行う機関員には、一般的な自動車で行う運転とは異なる運転スキルが必要です。
運転技術の向上、そして危険が伴う消防車両の運転を、より安全・確実に遂行するため、署内で安全運転訓練を実施しました!
一概に消防車両といっても、それぞれの車のサイズや、ホイルベース(前輪軸と後輪軸の距離)
の長さは違います。まずは、運転する車両構造の把握、そしてそれぞれの違いを理解することが
非常に重要です。
ん?消防署の敷地内に交差点が?!(◎_◎;)
よく見るとこれは、普段消火活動に使用しているホースなんです!
職員の創意工夫によって、実際の公道を模倣した訓練場所の完成です!
もはや「芦屋消防教習所」と呼んでもいいでしょう!
運転前に、図面でもイメージトレーニング!
対向車がいた場合や、曲がった先に障害物がある場合など、様々な状況を想定し、
実際に運転をしていきます!
大きな車ほど、交差点を曲がるときは、内輪差を意識することが運転のコツ!
某先輩職員「左後輪を道のどこに通すか。これを意識することが肝心や。」
説得力が違いますね。
写真は、曲がり角の進入に失敗している様子です。
「え?失敗?」
と思われましたか?
心配ご無用。
これは柔らかいクッションを外壁に見立て、「あえて」失敗する訓練をしています。
「なぜ、接触事故を起こすのか?」
「なぜ、曲がりきれないのか?」
失敗するケースを頭で理解しておくことも非常に大切です。
なんと!署長が助手席に座り、じきじきに隊員の運転をチェック!!
これには若手の機関員は緊張したことでしょう(笑)
ですが、現場に向かう緊急走行の緊迫感は、まだまだこんなものじゃないですよ~!
ご家庭の車の運転席に座ってみましょう。
すると、目視ではどうしても見えない場所、「死角」が発生します。
当然、消防車両でも例外なく、死角は発生します。
そこで今回は、普通運転免許で運転できる救急車
そして大型運転免許が必要なヘビー級の車両である救助工作車
本署に配備している車両の中では、大きさにかなりの差がある2台を比較し、
「死角」がそれぞれどうなっているのか、お見せしたいと思います!
芦屋市の部隊の中では、ダントツの出動回数を誇る救急隊が乗る車
(なんと年間5千回以上!)
全長:5.65m
高さ:2.49m
車幅:1.90m
オレンジに身を包んだレスキュー隊が乗る車。
大きなクレーンやウィンチ、多数の機材を積載し、なんと総重量は約12トン!
全長:7.62m(救急車の全長+約2m)
高さ:3.10m(救急車の高さ+約60cm)
車幅:2.35m(救急車の車幅+約50cm)
どこからどう見ても、救助工作車の方が大きいですね!
運転席に乗り込んだ後、車の外に別の隊員を配置し、運転席から全身が確認できる位置に
立ってもらいました。
はい、こちらは救急車の運転席です。
隊員の全身が目視できました。
降りて確認すると…
なんと!約4mもの死角がありました。
赤く囲っている部分は、運転席からは見えませんでした。
つまり、ここが救急車の死角になります。
次は、助手席のサイドミラーから隊員を目視します
はい、よく見るとサイドミラーに隊員の姿が映っています。
車を降りて確認すると…
こちらも約3.7mの死角が!
続いて、同じように救助工作車の運転席に乗り、
救急車と同じように確認してみました
前方の死角!
こちらは、約2.5mの死角が発生しています!
サイドミラーの死角
そして、サイドミラーから見た死角は約2.7m!
なんと、サイズの小さい救急車の方が、運転席から見た死角が大きいのです!
もちろん、発生する死角をそのまま放置するようなことはしません。
消防車両には消防隊員が複数人で乗車しており、機関員以外の隊員も含め、全員で周囲の安全確認をしながら走行しています!
いかがでしたか?
経験を積んだ消防隊員といえども、車に乗って公道を走る以上、どうしても事故の可能性をゼロにすることはできませんが、消防車両の運転をより安全・確実に遂行するため、消防署ではこうした安全運転訓練を実施しています。
市民の皆様におかれましては、いつも消防車両の緊急走行にご理解・ご協力をいただきありがとうございます。
日頃、私たち消防隊員が迅速に現場に到着でき、人命救助に従事できていることは、
通行人の方はもちろん、一般のドライバー皆様のご協力があって成し得ています。
今後とも、緊急走行にご理解・ご協力のほど、よろしくお願いいたします。