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更新日:2024年10月4日
今回は、ホースの先端に接続する「筒先」を紹介します。
「筒先」にはどのような種類と機能があるのでしょうか。
詳しく見ていきましょう!
筒先は放水をする際にホースの先端に接続するもので、多くの種類があります。
今回は3つに絞って紹介します。
そもそも火災は、建物火災、車両火災、船舶火災、航空機火災、その他火災の6種類に分類されており、
発生した火災に最も適した筒先と消火方法を判断し、消火活動を行います。
・ガンタイプノズル
ピストル型で取り回しの良い筒先です。
上のハンドル操作で水を出したり止めたりすることができます。
また、先端を回すことで水の形や水の量を変えることもできます!
放水の形状は先端の操作により無段階に調節できますが、
大きく「ストレート」、「噴霧」、「スポット」の3つに分かれています。
実際の写真とともに見ていきましょう。
「ストレート放水」
こちらはストレートでの放水です。
燃焼物を水圧で抑えこむため、消火するのに適しています。
最も威力と飛距離のある放水なので、燃焼物から離れて放水することも可能です。
ガンタイプノズルの場合、風向や風速に左右されなければ、
約40m先まで放水ができます!
「噴霧放水」
こちらは噴霧での放水です。
ストレート放水とは違い飛距離はありませんが、霧状の水を広範囲に放水し、
煙を押し込むことで視界をクリアにしたり、進入する隊員の後方から噴霧で放水することで、
隊員を炎や煙から守ることもできます。
また、室内の冷却やガスの希釈に効果的です。
火災が起きている室内では、天井に向けて放水し、
霧状の水がすぐに蒸発するのかを確かめます。
天井に向けて放水しても霧状の水が下に落ちてこないということは、
室内の温度が高くなっているということがわかります。
「スポット放水」
こちらはスポットでの放水です。
ストレートよりも角度が広く、噴霧よりも角度が狭い、中間の放水です。
室内の温度が高く、隊員が進入できない場合はスポット放水で空間を冷却します!
・無反動ノズル
この筒先ですが、少しだけ屈曲しているのがおわかりでしょうか。
これは放水反動力を抑えるために屈曲しています。
放水していると、筒先には放水方向とは逆の方向に大きな力が発生します。
これを放水反動力といいます。
写真のように筒先を持つ隊員の後ろに補助者が付くことが基本です。
放水反動力は、たくさんの水を出そうとすればするほど、
1人では支えきれない大きな力になります。
しかし、屈曲している無反動ノズルを接続することで力の向きが変化し、
放水反動力を抑えることができます!
また、上のハンドルを腰に当てることで放水反動力を抑えたり、
直接地面に置いて長時間の放水にも対応することができます!
・泡ノズル
この筒先はガンタイプノズルに泡ノズルを取り付けたものです。
水で薄めた専用の薬剤を放水すると、泡ノズルから泡を出すことができます!
実際に放水すると真っ白に!!
火炎の表面を泡で覆うことにより、冷却及び窒息効果があります!
火災には、水だけでは消火困難な場合がいくつかあります。
たとえば、水よりも軽いガソリン等の火災です。
水でガソリンの火炎を消火しようとしても、水はガソリンの下に沈んでしまいます。
これでは火炎の表面を覆うことができず、火災を拡大してしまうことがあります。
しかし、泡の能力を効果的に利用することができれば、
少ない水で早く消火することができます!
我々消防士は、火災現場で考えなしに水をかけているわけではありません。
いかに少ない水量で、早く消火できるか。
火災の状況や筒先の特性を理解し、消火活動を行っています!