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更新日:2014年12月8日

地域福祉計画中間まとめ<計画の概要1~3>

第1  計画の概要

 

1  地域福祉とは

 

私たちは、家族や親戚、近隣の人、友人、知人など様々な人たちとかかわりながら地域の中で暮らしています。そして、様々な生活課題や困難にぶつかりながら生活しています。日常の様々な課題のひとつである福祉課題についても同じことで、私たちは誰もが、福祉課題を抱える可能性をもって暮らしています。たとえば、高齢になって介護が必要になったり、子育て中に保育サービスが必要になったり、あるいは病気のために働けなくなったり、また、障がいがあって在宅生活の支援が必要になるといった場合もあります。私たちが暮らす地域社会には、福祉課題を抱えて何らかの支援を必要としている人がいますし、私たちの誰もがその当事者になりうるということです。 

そのような福祉課題に対して、私たちはまず、個人や家族でその課題に対応しながら暮らしています。誰もが基本的には、自分の暮らしに責任をもって、安心安全な生活(人生)を送りたいという願いをもっています。自分や家族の問題は自分たちが自己決定した方法で解決したいと願っています。自立・自律した生活を送ることはどんな人にも共通する願いだといえます。  

しかし、ときには個人や家族だけでは解決することができない課題や困難に直面することがあります。そういうときには、様々な方法でその課題に対応します。公的な制度として専門家や行政の支援・援助(サービス)を受けることもありますし、友人、知人、ボランティアやNPOなどの活動に支えられることもあります。また、企業が提供するサービスを購入することにより解決を図ることもありますし、地域における住民どうしの助け合いや支え合いにより解決できることもあります。誰もが地域で自分らしく安心して暮らしていくためには、自らが生活課題を解決していこうとする主体性と、社会全体で相互に支え合う仕組みが必要です。 

NPO(Non-Profit Organization)
営利を目的としない民間組織・団体。狭い意味では、特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)に基づく特定非営利活動法人(NPO法人)を指しますが、一般的には、営利を目的とするのではなく、社会的使命の実現を目指して活動を行なう組織・団体のことをいいます。法人格のない市民活動団体やボランティア団体から、社会福祉法人のように法人格をもつものまで、広い範囲の民間組織・団体を含みます。なお、非営利というのは、収益活動を行なわないのではなく、利益が発生しても構成員間で分配せず、その利益は使命の実現のため、活動の展開に再投入されます。 

2  計画策定の背景

社会福祉制度は、戦後の混乱期に生活困窮や児童問題などに対応するため、行政主導で保護・救済する制度(措置制度)として展開してきました。しかし、少子・高齢化や核家族化の進展、家庭機能の変化、低成長型経済への移行など社会環境は大きく変わりました。同時に、人々の価値観やライフスタイルが変化し、従来のような、福祉課題を抱えた限られた人を行政が支援するといった考え方だけで問題を解決することが困難になってきました。また、地域社会のつながりが薄れる中で、新しい社会に対応した、新たな地域のつながりが求められています。 

このような社会・経済の大きな構造変化に対し、社会福祉の新たな枠組みをつくる議論が生まれました。これがいわゆる「社会福祉基礎構造改革」です。1998(H10)年6月の中央社会福祉審議会「社会福祉基礎構造改革について(中間まとめ)」では、社会福祉の理念は、「個人が人としての尊厳をもって、家庭や地域の中で、その人らしい自立した生活が送れるよう支援する。また、自らの生活は自らの責任で営む、自らの努力だけでは自立した生活を維持できない場合に社会により支援する。」との考え方が示されました。これは、個人の自立と選択を尊重した制度の確立、質の高い福祉サービスの確保、地域での生活を総合的に支援するための地域福祉の充実を目指すものです。そして、社会福祉の考え方は、「措置・給付」から「契約・利用」へと大きく転換しました。 

一方で、社会福祉行政の計画化の流れがあります。中央集権的に国が策定するものであった福祉行政計画は、1989(H元)年の「高齢者保健福祉推進10か年戦略(ゴールドプラン)」以降、次第に都道府県、市町村へと計画策定の主体が移り、地方分権の進展とあいまって、住民参加による計画策定が重要事項となりました。 

これらの流れを受けて、平成12年に社会福祉関係法の改正がなされました。社会福祉法第107条は、「市町村は地域福祉の推進に関する事項として次に掲げる・・・を一体的に定める計画(=地域福祉計画)を策定する」ことを規定しました。また、策定に当たっては、住民や社会福祉事業者、社会福祉活動をする者の意見を反映させることを併せて示しています。

社会福祉法(昭和26年法律第45号)第107条
市町村は、地方自治法第2条第4項の基本構想に即し、地域福祉の推進に関する事項として次に掲げる事項を一体的に定める計画(以下「市、町村地域福祉計画」という。)を策定し、又は変更しようとするときは、あらかじめ、住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者その他社会福祉に関する活動を行なう者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、その内容を公表するものとする。

  1. 地域における福祉サービスの適切な利用の推進に関する事項
  2. 地域における社会福祉を目的とする事業の健全な発達に関する事項
  3. 地域福祉に関する活動への住民の参加の促進に関する事項

3  地域福祉計画とは

(1) 住民主体の理念

地域福祉計画は、住民参加を前提にした社会福祉計画です。また、地方公共団体が独自の財源と創意工夫により策定する計画でもあります。つまり、住民の意思に基づき地方行政を行なう住民自治と、地方公共団体が独自性をもって行なう団体自治という二つの原理を車の両輪とした地方自治を、福祉の観点で推進していくものであるといえます。まちづくりを進めていくためには、住民が自分たちのまちをどのようなまちにしたいかを主体的に考え、合意形成していく必要があります。地域福祉計画は、福祉のまちづくりを進めていく上での住民主体を理念としています。

(2) 総合化の理念

地域福祉計画は、いわゆる福祉3プラン、高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画、次世代育成支援行動計画、障害者計画・障害福祉計画と異なって、基本的に計画内容である単独施策メニューをもっていません。地域福祉計画は、これら縦割りの福祉3プランを横断的につなぐ、総合化の計画です。また、福祉3プランの総合化だけでなく、社会福祉協議会など民間団体が策定する地域福祉活動計画を含めて、関連する行政計画を横断的に連携させ、総合的な地域福祉システムの運営を図ろうとするものが、地域福祉計画です。今まで、高齢者、障がいのある人、児童、ひとり親家庭など対象者ごとに縦割りだった福祉施策・福祉サービスを、生活の場である地域において、ひとつのつながったサービスにしていこうとするものです。
実際の生活の場では、高齢者、あるいは障がいのある人、児童だけが単独で暮らしているわけではありません。たとえ一人暮らしの人であっても、地域の中で誰かとかかわりながら暮らしています。例えば、高齢者の地域ケアを実践するとき、なぜネットワークシステムが必要なのかということを地域福祉で考える。個別計画で対応できない横断的な概念やシステムを担うのが地域福祉計画です。

(3) 利用者本位の理念

地域福祉は、サービスを提供する側の押しつけでなく、あくまでも利用者側の主導で、それぞれの生活のしかたや状況に合わせたサービスや活動を利用していくものです。自己選択や自己決定を尊重しながら、利用者がサービスを安心して利用できるようなサービス提供の仕組み、情報提供の仕組み、権利擁護の仕組みなどを構築するのが地域福祉計画です。

(4) 共生の理念

私たちが暮らす地域には、様々な立場の人がそれぞれかかわりをもちながら暮らしています。年齢、性別、心身の状態、所得、社会的立場、国籍、文化など様々な違いがあっても、みんな同じ地域社会の同じ時代に生きていることを大切にしよう、お互いの違いを認め合う、お互いが個性をもった存在として認め合い、尊重し合う多元的・多文化的な共生社会を目指すのが地域福祉計画です。

(5) 協働と連携の理念

地域福祉計画は、一人ひとりの暮らしを自立・自律したものにするために、地域の中に様々なネットワークをつくろうとするものです。福祉の専門職のネットワーク、住民どうしのネットワーク、住民と事業者のネットワーク、ボランティア、NPO、住民と行政のネットワークなどあらゆるネットワークを地域システムとして機能させるのが、地域福祉計画です。そのために、様々な立場の者が、協働・連携して地域福祉に取り組んでいく必要があります。

地域福祉を推進していくためには、行政も含め地域にかかわるすべての者が、それぞれ役割分担し、協働しなければなりません。行政は地域福祉を推進する基盤整備の役割や責務があり、事業者は福祉サービスの適切な提供者としての役割や責務があるといえます。住民は、福祉サービスの利用者であり同時に地域福祉の主体でもあります。

社会福祉法第4条
地域住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行なう者は、相互に協力し、福祉サービスを必要とする地域住民が地域社会を構成する一員として日常生活を営み、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が与えられるように、地域福祉の推進に努めなければならない。

「地域住民」とは、地域に住んでいる住民だけでなく、そこで働いている人、学生なども含めた地域社会の構成員だといえます。ですから、地域に暮らし、地域社会に参加し、また、地域社会を基盤として活動するのが地域住民であるといえます。
「社会福祉を目的とする事業を経営する者」とは、たとえば老人ホームや保育所を経営する社会福祉法人や福祉サービスを提供する民間事業者などです。その施設が地域拠点になることや、専門職員が地域とかかわる関係も重要な地域福祉です。
「社会福祉に関する活動を行なう者」とは、民生委員・児童委員、福祉推進委員、当事者団体、ボランティア団体、NPOなど地域で福祉活動を行なう者です。

(6) 震災を経験して

芦屋市は、阪神淡路大震災を経験しました。震災の経験は私たちに、互いに助け合うことができる地域の大切さを教えてくれました。大きな災害が起きたとき、地域のコミュニティがしっかりしていれば、あるいは地域のコミュニティを壊さずに保つことができれば、それが復興のための大きな力となるということを私たちは学びました。
また、震災の教訓は、自然災害だけでなく、事故や病気などにより、不幸にして身近な人間を亡くした人への心のケアや支援の必要性を社会に提起しました。

震災から10年以上を経た今日、まちの外観は復興を遂げましたが、これらの教訓を、被災地から発信しながら、これからの地域づくりにも生かすことが、震災を経験した私たちの責務であると考えます。

お問い合わせ

こども福祉部福祉室地域福祉課地域福祉係

電話番号:0797-38-2153

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