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更新日:2026年2月18日
令和8年「第1回市議会定例会」(2月17日)において、髙島市長が表明した「施政方針」についてお知らせします。
「対話を中心としたまちづくり」を掲げ、市長に就任してからまもなく3年が経過します。あたたかい声を寄せ続け、芦屋のために行動を続けてくださる市民のあなたのおかげで、私たちは一歩ずつ前に進むことができています。改めて、芦屋の未来を想い、関わってくださるすべての皆さまに、心から感謝申し上げます。ありがとうございます。
この3年の間にも、社会は大きく変化しています。生成AIの進化。少しずつ進む社会の分断。激動の世界情勢。私たちは、時代の大きなうねりの中にあります。
そんな今、私たちができることは何か。それは、民主主義を守ることである、と私は考えます。そして、私が守りたい民主主義とは、社会をみんなで良くする営みのことです。
相互尊重と対話のもとで、私たち一人ひとりが、自分の人生を、ひいては自分のまちを良くするには何ができるのかを自ら考え、行動に移すこと。その積み重ねこそが、一人ひとりが自由で豊かに暮らす未来につながるのではないでしょうか。
私たち市役所は、市民に最も近い基礎自治体です。近いからこそ、市民一人ひとりの可能性を拓くことができる。近いからこそ、市民の皆さまとともに社会を良くすることができる。対話を積み重ね、互いの理解と尊重のもと、一人ひとりが行動することが、民主的に社会を良くし続ける基盤だと考えます。
本年、芦屋市は「国際文化住宅都市」となってから75年の節目を迎えます。また、アメリカ合衆国カリフォルニア州モンテベロ市との姉妹都市提携も65年の節目です。
本市は、戦後間もない1951年に「日本人のみならず、外国人も共に平和と幸福を享受する事の出来る」まちの姿を描き、住民投票を経て、「国際文化住宅都市」として歩んできました。時代背景や認識、表現などに違いはあっても、この歩みの根底には、多様な文化や価値観への理解、市民同士の相互尊重と対話があると考えます。
モンテベロ市との10年ぶりの市民訪問団の訪問・受け入れが、両市の友好を一層深めるとともに、私たちの大切にしてきた「国際文化住宅都市」の価値を再認識するきっかけになればと期待しています。
一方、昨年は、戦後80年及び非核平和都市宣言40周年という節目の年でした。経験者から直接話を聴ける最後の世代の一員として、戦争の悲惨さ・平和の尊さを風化させることなく、未来につなぎ、伝えていきたい。その想いで、庁舎内に常設の展示コーナーを設置します。
国際交流も平和への取組も、対話から始まります。対話は、民主主義の原点です。対話とは、お互いが相手の自由を尊重しあうために聴くこと、自由を保ちあうために歩み寄ることです。
就任後に始めた市民と市長の対話集会は、本年1月で40回を数えました。「対話集会」は一方的な説明・要望の場ではありません。市長の私を含めた参加者全員が、お互いの意見や想いを知り、向き合い、ともに考える場です。
対話集会を通じて、語られる内容は個人の利益からみんなのウェルビーイングへと徐々に変わりました。参加者が独りで抱えていた問題は、共有することで、みんなで向き合う課題となりました。解決は市役所に任せようという考えは、参加者一人ひとりの行動への意欲へと変わっていきました。
これぞ、民主主義を守り、強くする対話の力です。
対話の実装には、情報の非対称を減らす広報が欠かせません。改めて私たちは、「過程の発信」を心がけます。税金を預かって仕事をする立場として、「市役所が今何を考えているのか」「対話をどう行動に活かしているのか」を、市民の皆さまに可能な限り明らかにするためです。工夫を重ねてきた広報番組「あしやトライあんぐる」は、YouTubeでの視聴が伸びています。視聴の新たなきっかけをつくるため、番組制作を月1回に絞った上で新たに動画のインストリーム広告を配信し、市民の皆さまに過程を届け続けます。
市長就任4年目に当たる令和8年度は、みんなで育てた芽が花を咲かせる1年です。ともに描いてきた総合計画の理念を、対話と過程の発信を通じて、市の具体的な施策や、市民主体の新たな取組につなげる1年です。
「学び」「文化」「協働」の3つの柱をあらゆる施策に活かし、世界一住み続けたい「国際文化住宅都市・芦屋」へ歩み続けていきます。
本日は、令和8年芦屋市議会第1回定例会の開会に当たり、私たちが令和8年度に力を入れる取組を3つのテーマ「子育て・教育」「福祉・防災」「みらいの都市づくり」、さらに「公営企業」「行財政運営・行財政改革」に分けて、教育行政に関わる施策も含め、私からまとめて市民の皆さまにご説明します。
1つ目のテーマは「子育て・教育」です。
人口移動を見ると、本市は20代が流出する一方で、20歳未満と30代、40代が流入する傾向にあります。最高の教育環境のもと培った力で広い世界に羽ばたき、子育てのタイミングで帰ってくる。この傾向を活かすため、学校・家庭・地域での「子育て・教育」を応援し、選ばれる芦屋の実現に取り組みます。
まずは学校。
学校は、未来を担うこどもたちの学びの場であり、地域の核です。
私たちは学校が変われば、社会は変わると確信しています。こどもの学びと大人の学びは相似形。こどもが変わると、大人も変わるのです。
私たちが「ちょうどの学び」を通じて育てたいのは、生涯にわたって主体的に学び続け、多様な他者と協働しながら、自らの人生を舵取りすることができる、民主的で持続可能な社会の創り手です。
そのために、引き続き「誰もが安心して学べる環境づくり」と「学びの質の向上」に加え、教師の努力と熱意への過度な依存をしない、持続可能な取組を進めます。
1点目は、教育の基盤たる「誰もが安心して学べる環境づくり」です。生成AI時代において、学校の役割は「違いを認め合い、学び合う」ことにあると私たちは考えます。多様なこどもがともに学び合うという市立学校園の価値が、重要性を増す時代です。
このような時代だからこそ特に、いじめ対策の取組を引き続き進めます。
いじめはどこでも起こり得ます。そして、隠れて発生しがちです。だからこそ、早期発見と重大化防止が重要です。いじめに気づき、適切な行動を起こすことができるこどもを増やすために、市立校に通う小学5年生から中学3年生の全員を対象とした弁護士によるいじめ予防授業を継続します。
もちろん、教師がこどもの状況を見取ることは重要です。本市では、教員がこどもの状況を早期に把握し、適切な支援につなげられるよう、教育相談コーディネーターの養成・研修を進めています。これにより、校内連携が強まり、スクールカウンセラー等の活用や支援につながる事例が増えています。また、学級適応感アンケート「アセス」を活用し、データに基づいてこどもや学級の状況を客観的に把握する取組を継続しています。分析を通じて、見えにくいこどもたちの困難の早期発見や支援の方向性の明確化が進んでいます。
こどもたちの心のケアなどを行うPEACEサポーター派遣事業は、配置3年目となります。支援を通じて登校できるようになるなど、効果が着実に表れ、増加傾向にあった不登校児童生徒の人数は令和6年度に減少に転じました。そこで令和8年度は、環境整備に乗り出します。既存の校内サポートルームの環境をより充実させ、こども一人ひとりのニーズにあった学習・学校生活の場の確保に努めます。スクールソーシャルワーカーの配置時間を増やすとともに、のびのび学級の開室時間を1時間延長するなど、あらゆるこどもが安心して学び続けることができる環境づくりを、市全体で進めます。
また、学校の防犯備品の拡充に加え、山手小学校・岩園小学校のトイレをすべて洋式に統一し、乾式の床に改修するほか、精道こども園のエントランスにエアコンを設置し、熱中症のリスクの低減を図ります。
2点目は教育の充実の本質たる「学びの質の向上」です。
こどもたちの主体的な探究は、教員の主体的な探究から。
教員による探究的な学び研究推進チーム「ONE STEPpers」は、市内外から多くの注目を集めています。メンバーは市内約300名の教員のうち60名を超えました。先生が主体的に研究を進める姿は、こどもの主体性の回復に大いに寄与しています。令和8年度は、企業などとの連携を強化し、授業開発をはじめとした指導主事伴走型の研究を一層推進することで、こどもたちが社会課題と出会い、自分ごととして受け止め、解決に向けて主体的に取り組む機会をさらに創出します。また、新たに市立幼稚園の教員の参加を募り、小中学校との連携や学びの連続性を意識した保育・授業研究を進めます。
市立幼稚園は、園児数が極めて少ない状況です。今年度、就学前教育・保育の質を高めるために求められる役割を踏まえた適正配置と今後の運営について、学校教育審議会でご議論いただいています。答申を受領した後、速やかに具体的な取組を進めます。
市立の小中学校、保育所・認定こども園の給食は、芦屋が誇る質の高い学びの1つです。
小学校給食については、国で給食費の無償化の検討が進められるなかで、給食の質が損なわれないような制度設計を要望してきました。国の支援を活用し、給食費の抜本的な負担軽減を図りながらも、引き続き一部保護者負担を頂くことで、今後も、芦屋が誇る「手作りで安心・安全な質の高い給食」を提供していきます。
また、中学校給食については、保護者の方から多くいただいた要望を踏まえ、喫食回数を増やすよう取り組みます。
3点目が「教師の努力と熱意への過度な依存からの脱却」です。
教職員が心のゆとりをもってこどもたちに向き合うための環境づくりを進めます。
これまでの教職員の働き方改革の取組で、一般教諭の時間外在校時間は大きく減る一方、学校運営・校内での若手教員育成・サポートの要である教頭の時間外在校時間は高止まりしています。
そこで、教頭業務サポーターを新たに配置し、業務改善に取り組みます。教頭が教職員をマネジメントする時間を生み出し、学校課題の早期発見や解決、教職員全体の業務改善につなげます。
システムによる効率化も進めます。教職員の勤務状況を管理する庶務管理システムを市立学校園に導入し、事務負担の軽減に加え、業務量を正確・迅速に把握してさらなる業務改善を図ります。学校園ネットワークシステムの更新にも引き続き取り組み、職員室の外でも仕事ができる環境の構築や、教材作成・外部連絡の効率化による事務の軽減を目指します。
令和8年度は、国の学習指導要領改訂の議論が大詰めを迎える1年です。2030年代に学ぶこどもたちの姿を思い浮かべながら、本市として先行して取り組める点については柔軟に取り組みます。
次に、家庭。
「圧倒的に子育てしやすい芦屋」の実現には、安心して出産・子育てができる環境が不可欠です。令和8年度は、子育てに不安を感じる方などへの支援を一層充実させるとともに、国の方針・制度に基づく新たな取組を進めます。
近年、本市への相談には、母親の不安やサポート体制の依頼に関する内容が増えています。特に、産後の初期段階における母親への支援強化が必要です。
そこで、新たに出産後間もない時期に行う産婦健康診査費用の一部を助成し、母子の健康管理・健康保持を促すとともに、支援の必要な母子を早期に把握し、適切な支援につなぐことで、産後うつや児童虐待の防止につなげます。また、国の方針に基づき、新生児及び乳児のRSウイルス感染予防のため、妊婦のかたを対象にRSウイルスワクチンの定期接種化を行います。
全国的に進められる「こども誰でも通園制度」は、保育所や認定こども園などに通っていない0歳6ヶ月から満3歳未満のこどもを対象に、月10時間までの利用可能枠の中で、保護者の就労要件を問わず時間単位等で柔軟に就学前教育・保育施設を利用できる新たな通園制度です。
本市では、市立精道こども園、市立緑保育所、並びに複数の私立教育・保育施設で4月から順次事業を開始し、社会全体で子育てを応援します。
最後に、地域。
あらゆる世代の市民の皆さまが、生涯学び続けられる環境の整備に引き続き取り組みます。
中学校部活動の地域展開は、中学生の放課後の活動機会を持続可能な形で担保するための施策です。あわせて、スポーツや文化における、こどもたちと地域の皆さまとの新たな関わりが生まれる機会であるとも捉えています。
現在の部活動のうち、運動部は令和8年7月末に、文化部は10月末に終了し、その後は地域クラブ活動が展開する予定です。現在、地域の皆さまのご協力を頂き、令和8年2月6日の募集開始時点で、これまでの部活動の数を大幅に超える62の活動が登録され、中学校で活動できるものも多くあります。引き続き、こどもの声を大切に取り組みます。
市内に残る歴史文化遺産は、芦屋の歴史や文化を私たちに伝え、未来における文化の向上・発展の基礎をなすものです。
三条町にある会下山遺跡は、国指定史跡に指定されている全国的にも著名な弥生時代の遺跡です。これからも大切に守り伝え、本市の文化向上のためにより積極的に活用できるよう、中長期的なスケジュールを盛り込んだ史跡保存活用計画の策定に取り組みます。あわせて、国史跡指定15周年を契機とした記念フォーラムも開催予定です。
国指定重要文化財ヨドコウ迎賓館(旧山邑家住宅)についても、その敷地全体が適切に保存活用できるよう、同館の所有者が事業主体となって行う保存活用計画の策定を支援するとともに、遺構保存修理工事の円滑な実施につながるよう、取組を進めます。
2つ目のテーマは、「福祉・防災」です。
芦屋市は、高齢化率が3割を超える市です。さらに、単身世帯や核家族の増加などを背景に、あらゆる世代において、地域での支え合いの重要性が高まっています。
本市では、従来の制度や分野の枠では対応が困難な狭間にある課題や複雑化・複合化した課題が顕在化してきたことから、重層的支援を中心に支援体制の充実に努めてきました。
令和8年度は、地域福祉、障がい福祉、高齢福祉の各計画の策定年度です。これを機に、福祉施策をさらに一体的に進め、より効果的に展開することを目指し、これらを統合して新たな計画を策定します。
先輩世代から未来世代まで、多様な市民の皆さまからワークショップや対話集会などで頂いた貴重なご意見を大切に、だれもが暮らしやすい「やさしいまち」を皆さまとともに創り上げていきます。
中でも、対話集会で多く伺ったのは、先輩世代の方々のご不安です。認知症の予防と共生。交通手段の確保。そして、地域の支え合いの希薄化。不安を一つひとつ解消するには、今の制度を守るために、変えることも必要です。その一つが、近隣市と比べて充実していた高齢者バス運賃助成事業です。
70歳以上の市民が、市内を走る阪急バスに半額で乗車できるこの事業は、外出支援に資する一方で、年間1億円弱の予算がかかり、制度の維持が課題でした。この度アンケートを通じて、先輩世代の市民の皆さまから、助成額を制限してでも助成の継続を望む意見を多く頂いたことを踏まえて、助成割合を5割から3割に見直したうえで、事業を継続する決断をしました。
一方で、より多く外出しやすいよう、市内の阪急バスだけでなく、阪神バスの一般路線などでも利用できる「hanicaはんきゅうグランドパス70」の購入代金への助成を開始します。
また、健康寿命の増進を目指し、令和7年度に協定を締結した神戸大学と協力して、最新の研究結果に基づく認知症予防の取組も進めます。
さらに、将来に対する不安に応えるため、権利擁護支援センターの機能を拡充し、「終活」に関する相談も開始します。
「何歳になっても生き生きと活躍できる芦屋」であるよう、これからも、先輩世代の皆さまとの対話を重ねながら、持続可能な制度設計を行います。
障がいのある人への支援も進めます。日常生活用具の給付については、人工呼吸器を使用されている人を対象に、自然災害などの停電時に備えた「人工呼吸器の非常用電源装置」を新たに対象に追加します。また、福祉医療費助成制度では、県の制度改正に伴い、他の公費負担医療制度の対象となる医療への助成を拡充します。
近年のエネルギーや食料品などの価格の高騰は、市民生活や地域経済に大きな影響を与えています。引き続き国の「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」を最大限に活用し、水道基本料金及び下水道基本使用料の減免などを通じて、市民生活を支えます。
物価高騰に対しては、今後も機動的な予算措置を通じて、適時適切に支援を進めます。
予測できない災害も、私たちの生活に大きな影響を与えます。
本年1月に、市議会の防災に関する政策を研究する会より防災に関する政策提言を頂きました。公の責任を果たすとともに、市民一人ひとりによるさらなる備えを通じて、ともに災害に強い芦屋を創り上げていく考えです。
過去の経験や教訓の継承は、未来に向けた災害対応力を育むうえで重要な取組の1つです。阪神・淡路大震災の記憶や様々な教訓を次世代に繋いでいくため、芦屋公園内の「阪神・淡路大震災慰霊と復興のモニュメント」に、震災当時の記録と、モニュメントに込められた思いを記した解説板を設置します。
市役所でしかできない防災施策は、市役所が責任をもって行います。
芦屋浜地区では、大型台風による被害に備えるため、県の高潮対策10箇年計画による防潮堤の嵩上げなどの高潮対策を、引き続き県と連携して進めます。
また、老朽化した防火水槽や、消防・救急車両の計画的な更新など、市民の皆さまの生命・財産を守るための取組を進めていきます。
しかし、災害が発生し、市全体に混乱が広がるなかで自分の命を守れるかは、市民の皆さま一人ひとりの備えにかかっています。自主防災会育成事業補助金の対象をマンション管理組合に拡大し、地区防災計画の策定支援や家具・家電の転倒防止に関する支援も引き続き行うことで、地域や一人ひとりの備えも支援します。また、例年実施している防災総合訓練をはじめ、様々な災害を想定した防災訓練を市民主体で行う支援を進めることで、ともに地域の防災力を高めます。
災害時に配慮が必要な方への支援も進めます。自ら避難することが困難な高齢者や障がいのある人が地域の皆さまとともに災害に備えられるよう、福祉専門職や関係機関とも連携しながら、地域のつながりづくりにも資する個別避難計画の取組を進めます。
また、市民の日常生活の安全を確保するために行った防犯カメラの更新は、令和8年度ですべて完了します。今後も警察等と連携し、市民の安全・安心の確保に努めます。
3つ目のテーマは、「みらいの都市づくり」です。
本市は、まちの持続的な発展を目指す上で、都市機能を有する拠点と住宅地を、ネットワークで結ぶビジョンを描いています。その実現には、都市機能を有する拠点の再整備と、交通ネットワークの強化が必要です。
令和7年度に策定する「都市計画マスタープラン」では、JR芦屋駅周辺・阪神芦屋駅周辺を都市機能が集まる「中心拠点」と位置づけました。
JR芦屋駅南地区第二種市街地再開発事業では、事業用地の取得を完了させるほか、再開発ビルやペデストリアンデッキ、地下駐輪場の整備といった本格工事に着手します。予測しがたい急激な物価上昇や、工事における入札不調などが全国的に発生している最中ですが、交通課題を解消して安全・安心で円滑な交通の確保を図るとともに、市全域のにぎわいの創出につながるよう、完成まで市役所が一丸となって邁進します。
また、再開発ビル3階に整備する公益施設の本格的な検討を、市民ワークショップ等を通じて開始します。総合計画で重視する「学び」「文化」「協働」を体現するような施設にするため、図書館大原分室とあしや市民活動センターの統合・再編を基本に、市民との対話で検討を進めます。特に、5原則に掲げた「集える」「未来志向」を達成するため、未来への余白を残し、市民誰もが集える施設の実現を目指します。
阪神芦屋駅周辺については、令和7年度に開始した基礎的な調査・検討を踏まえて、都市機能の課題解決と更新を目指し、実現可能な整備の方向性を定めるための検討を重ねます。
交通ネットワークの強化では、バス路線から離れている三条町、山芦屋町を中心とした地域でデマンド型乗合タクシーの試験的運行を引き続き行うとともに、導入可否の検討のため評価・検証を行います。さらに、芦屋川より東側にある公共交通網から離れている地域での試験的運行導入の可能性を検討するため、関係機関との協議を行います。
良質な住宅ストックは、「世界で一番住み続けたいまち、芦屋」の実現に必要な財産です。
令和7年度に開始した「いい家あった!プロジェクト」は、市営住宅のリノベーションや新婚・子育て世帯の住宅の取得・賃貸支援を通じて、良質な住宅ストックが未来に引き継がれることを目指しました。特に、市営住宅のリノベーションでは、対面キッチンや無垢材のフローリングなど、子育て世帯や若い世帯に向けた工夫が人気を集めています。令和8年度は、マンション管理組合を対象とした長期修繕計画の策定費用の補助も含め、これらの取組の積極的な発信に取り組みます。
現在の芦屋のまちなみは、先人が築いてきた自然景観やまちなみを守り育てることで築かれてきました。人口減少と高齢化の時代を生きるなかで、本市の魅力の源泉である、みどり豊かな美しいまちを次世代へ継承するためには、現在の制度設計を見直し、財源確保に関する新たな制度構築に取り組む必要があります。
令和7年度に設置した「みどり豊かな美しいまちづくりに係る財源のあり方検討委員会」では、一定規模以上の開発等をする事業者等を対象とした法定外目的税「みどり豊かな美しいまちづくり税」の制度化が提言されました。答申を踏まえ、令和8年度は条例の施行を目指して取組を進めます。
また、芦屋川沿いのサクラは樹齢50年を超えるものもあり、老木化が進んでいます。今後も市民に親しまれ愛され続けられるよう順次植え替えを行うため、芦屋川沿いのサクラを対象に健全度調査を進めます。
気候変動をはじめとする環境問題への対応も重要です。
神戸市と協議を進めている可燃ごみ処理の広域連携は、財政面のみならず環境面の効果も期待できます。引き続き、広域連携に向けた施設整備を進めます。
プラスチックの資源循環は、限りある資源の有効活用に加え、カーボンニュートラルや、海洋プラスチックごみによる新たな汚染の防止などへの効果が期待されています。そこで、プラスチックの分別収集について、分別・収集・運搬・処分のそれぞれの過程における効率的・効果的な方法の検討を進めます。
環境施策を進めるためには、市民の皆さまによる主体的な取組の推進が不可欠です。令和6年度から開催している「本・古着の交換会」が徐々に定着しつつあることから、市民主体の取組をより一層進めます。資源回収品目を増やすほか、市民同士の「ついでの交流」にもつながる3Rイベントを市役所と市民が協働して開催することで、市民への活動の浸透を図ります。
エネルギー分野では、省エネ設備・再エネ設備の導入促進に継続して取り組むほか、公共施設でオンサイトPPA方式による太陽光発電設備を導入し、脱炭素化を推進します。
みどり豊かな美しい芦屋のまちを輝かせてきたのは、芦屋を愛する市民の皆さまの市民力です。だからこそ、私たちはこれからも「市民主体のまちづくり」を進めます。
ブランディングエリアでは、まちの姿を描く新たな取組として、地域・事業者・大学・行政など多様な主体で組織された「あしやエリアプラットフォーム」による未来ビジョンの策定が進められています。令和8年度は、この未来ビジョンに沿った活動が展開される予定です。
それぞれの活動における市の役割を整理しながら、皆さまが描いたまちのビジョンの実現を支援します。
こうした取組に加えて、芦屋川地区並びに六麓荘地区の無電柱化の推進、打出浜公園のトイレの改修、楠公園の遊具の更新や東浜公園の照明設備の更新、第一跨線橋の撤去やその他の橋梁の修繕など、日々のまちの安全を守り、魅力の向上を図るための事業を進めます。
続いて、「公営企業」です。
芦屋市の公営企業は、いずれも市民生活に不可欠な役割を担っています。日々のサービスの提供に取り組むとともに、人口減少や高齢化のなかでサービスを持続的に提供できるよう、経営戦略の見直しなどを行います。
市立芦屋病院では、急激な物価高騰や人件費などの諸経費の上昇に伴い厳しい経営状況が続いていますが、持続可能な病院運営のため、診療報酬改定を踏まえた経営改善と平行して、地域医療構想の中で果たすべき役割を再点検し、地域になくてはならない病院を目指します。中核病院として地域の医療機関と連携し、小児医療・救急医療等の政策医療をはじめとした良質な医療を提供します。
高齢者に多い疾患への丁寧な対応、がんの診断・治療から緩和ケアへの切れ目ない医療、低侵襲の手術の実践等、芦屋病院には診療の特徴があります。地域の病院として親しみを感じていただけるよう、公式インスタグラムの活用や、公開講座・ホスピタルフェスタの開催などを通じて、一層の広報に努めます。
また、国のガイドラインに沿ったセキュリティ対策を踏まえた主要医療システムの更新や、療養環境の充実、新興感染症への備えを進めます。
水道事業では、人口減少による料金収入の減少や物価高騰による経費の増加に伴い、経営環境はより一層厳しさを増していますが、持続可能な水道事業の実現に向け、老朽管の更新を着実に進めます。また、令和6年度に人工衛星画像を活用して実施した漏水調査の結果をもとに、引き続き、音聴調査による漏水箇所の特定と、早期の修繕に取り組みます。
下水道事業では、引き続き、ストックマネジメント計画に基づく管路等の点検調査や老朽管の改築工事を進めます。また、令和7年1月に埼玉県八潮市で発生した道路陥没を伴う下水道管路の破損事故を受けて実施した、下水道管路の全国特別重点調査に基づき、修繕が必要な箇所への対応を進めます。
下水処理場、雨水ポンプ場では、引き続き、日常点検管理を実施して効率的な維持管理に取り組むとともに、施設の機能保全に努め、計画的に改修や更新を行います。また、耐震工事や場内ポンプ場の雨水ポンプ更新工事を継続して進めます。
また、令和8年度は水道事業ならびに下水道事業の経営の方向性を見直す1年です。芦屋市上下水道事業経営審議会に諮問し、頂いた答申をもとに「水道ビジョン」「水道事業経営戦略」ならびに「下水道ビジョン」「下水道事業経営戦略」を改訂します。
最後に、「行財政運営・行財政改革」です。
全国的に人口減少が進み、社会経済情勢が刻々と変わる中で、新たな行政課題が生まれています。しかし、財源と人手には限りがあります。
こうした状況に、私たちは「緩和」と「適応」の両面から立ち向かいます。人口減少の「緩和」を図るための施策を的確に実施するとともに、事業の見直し・再構築に努めることで、人口減少社会への「適応」を進めます。
ただ、人口だけにこだわるのではありません。私たちが大切にしたいのは、目の前の市民一人ひとりであり、市民のもつ大きな可能性です。
未来を切り拓く力を育む基盤である「学び」。地域の魅力を高め、市民の誇りや愛着を醸成し、人の交流と地域の活性化をもたらす活力の基盤となる「文化」。様々な課題解決や新たな取組に向けたまちづくりの基盤となる「協働」。市民の可能性を拓くためにも、これら3つの要素を各事業に積極的に取り入れながら、未来を見据えた投資を進めます。
令和8年度の予算編成も、世界で一番住み続けたいと思えるまちであるために、市民との「対話」を大切にしながら、持続可能なまちづくりを進めるための重要な歩みです。
歳入については、市税収入の増加を見込んでいます。給与所得の増加等による個人市民税の増加によるものです。
歳出については、福祉などの扶助費が増加傾向にある中でも、JR芦屋駅南地区再開発事業の着実な推進など、「子育て・教育」「福祉・防災」「みらいの都市づくり」を重点分野とし、将来への投資と今の暮らしの支援を両立させる予算を編成しました。
以上のように編成した令和8年度の歳入歳出予算は
一般会計 493億8,000万円(対前年度比0.5%増)
特別会計 244億6,200万円(対前年度比1.7%増)
企業会計 163億4,066万円(対前年度比0.7%増)
財産区会計 1,360万円(対前年度比8.8%増)
合計 901億9,626万円(対前年度比0.8%増) です。
予算の執行に当たっては、歳入の確保に一層努めるとともに、事務事業の効率化・適正化を進めつつ、第5次総合計画の基本構想に掲げる未来の姿の実現に向けて、練り上げた施策を実行します。
令和8年度は新行財政改革基本計画(第2期)が始まる年でもあります。
ふるさと寄附金による市税の減少は、引き続き大きな課題です。令和6年度の実質の減収額は約10.4億円、直近の5年間の合計では約38.5億円にものぼります。
住宅都市として発展してきた本市では、返礼品の絶対量は制約されます。この間、市内事業者のご尽力で寄附金額が過去最高を記録する一方、減収はますます増えています。魅力的な返礼品の拡充とあわせて、寄附の使い道のより良い広報に務めます。
あわせて、遺贈寄附の積極的な受け入れを開始します。銀行と協定を締結し、市・金融機関が連携する相談体制を構築します。安心してご寄附いただける仕組みを構築し、寄附を考える皆さまのお気持ちに応えたいと考えています。
公共施設や行政サービスを利用する方にご負担いただく使用料・手数料は、その一部が令和8年7月1日から新しくなります。利用者と非利用者との間に過度な不均衡が生じないよう、サービスの提供に必要なコストと料金を比較し、定期的に見直す取組の一環です。持続可能な行財政運営を進めるために、ご理解とご協力をお願いします。
市役所のDXと庁舎の総量縮減も、重要なテーマです。
本年は市役所北館が築66年を迎えることを念頭に、市役所本庁舎のリニューアル構想の策定に取り組みます。新たな公共施設等総合管理計画では、市庁舎の総量縮減を図ると定めています。限られた財源と人手で多くの課題に向き合うためにも、急速に発展するデジタル技術を活用し、職員の生産性と市民サービスの向上を図る必要があります。
そこで、生成AIの活用を軸とした市の業務効率化の検証を行い、先進自治体の事例等も調査しながら積極的にDXを進めます。あわせて、新たな人材育成・確保基本方針に基づき、職員の働き方改革に対する意識醸成にも取り組み、DX人材、変化を起こせる人材、何よりも芦屋市に誇りをもち、人とつながり、常に挑戦し成長する職員の育成を進めます。
「今こそ、持続可能な未来を、ともに描くときです。芦屋らしく、前向きに進みましょう。芦屋ならできる。芦屋市民になら、できるのです。」
これは、私が昨年2月の施政方針演説で、市民の皆さまに呼びかけた言葉です。
この1年は、総合計画の策定など、未来を描く場面がたくさんありました。
市民の皆さまから多くのお声を頂き、多くの方々に私たちの想いを届けました。ときに異なる想いや意見を交わしながら、ともに未来を描く積み重ねの中で、市民の皆さまによる主体的な取組も加速していきました。
持続可能とは、我慢することではありません。市民一人ひとりがウェルビーイングに暮らし、可能性が拓かれる、そんな社会をともに創り続けることです。そう、市民と市役所は対立関係ではなく、ともに創る関係なのです。
民主主義の原点は、市民同士の対話であり、行動です。市民の皆さま、どうかこれからも、ともに行動し続けてください。
そして、議員の皆さま。芦屋市を良くしたいという想いは、私たちがみな持っているのだと改めて実感しています。困難に立ち向かうときもあるでしょう。苦渋の決断をするときもあるでしょう。意見が異なるときこそ、極端な言論ではなく、対話だと信じます。市民の命と財産を末永く守るため、ともに良い議論を重ね、芦屋をより良いまちにしていきましょう。
さあ、今年もさらに一歩、踏み出しましょう。芦屋市の皆さま、芦屋市が「世界で一番住み続けたいまち」になるその日まで、ともに歩み続けましょう。
私たちは、誰よりも芦屋のことを考え、誰よりも芦屋のために行動し続ける、そのことを、改めてここに固くお誓い申し上げます。
どうぞ、議員の皆さま、市民の皆さま、引き続き、ご支援とご協力を賜りますよう、心よりお願いいたします。
「その他の主な取組」については、PDFファイル(別ウィンドウが開きます)の27~32ページをご覧ください。
「中・長期計画の策定スケジュール」については、PDFファイル(別ウィンドウが開きます)の33ページをご覧ください。