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更新日:2022年10月14日
救急隊員の中には、「救急救命士」という国家資格を持った隊員がいます。
救急救命士は急病やけが人が発生した場所から医療機関に搬送するまでの間に、傷病者を観察し、必要な処置を施すプレホスピタルケア(病院前救護)を担う医療国家資格を持った救急隊員です。救急救命士法で「厚生労働大臣の免許を受けて、救急救命士の名称を用いて、医師の指示の下に、救急救命処置を行なうことを業とする者」とあり、一般の救急隊員が行える観察・処置に加えて、さらに高度な救急救命処置を行なうことができます。
救急救命処置とは、「その症状が著しく悪化するおそれがあり、またはその生命が危険な状態にある傷病者(以下「重度傷病者」という。)」が医療機関に搬送されるまでの間に、重度傷病者に対して行われる気道の確保、心拍の回復その他の処置であって、重度傷病者の症状の著しい悪化を防止し、またはその生命の危険を回避するために緊急に必要な処置」と定義されています。
救急救命士が医師の指示を受け行なう救急救命処置を「特定行為」といいます。
従来の特定行為は、心肺停止状態の傷病者でなければ行なうことができませんでした。しかし、平成26年4月1日の救急救命士法施行規則の改正に伴い、心肺停止前の静脈路確保及び輸液、低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与が認められました。
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乳酸リンゲル液を用いた静脈路確保のための輸液 |
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器具を用いた気道確保 | |
薬剤投与(アドレナリン) | |
【心肺停止前の傷病者に対する特定行為】 |
乳酸リンゲル液を用いた静脈路確保及び輸液 (ショック又はクラッシュ症候群が疑われる場合等が対象) |
ブドウ糖溶液の投与 (血糖測定により低血糖状態が確認された場合が対象) |
救急救命士になるには、国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受ける必要があります。
この国家試験を受けるためには、一定の要件を満たさなければなりません。
消防職員の場合、まず救急隊員としての一定の資格(救急2 課程または標準課程修了)を持ち、5年以上又は2000時間以上の救急隊員経験年数が必要をされます。
この基準を満たした消防職員が、厚生労働大臣から指定された養成所で、約7か月間の教育を受けることで、国家試験の受験資格が与えられます。