更新日:2022年3月17日
JR芦屋駅南地区で採用する事業手法について
本地区では、「交通課題の解決」と「地区内権利者の居住、商売の継続」両方が可能な”市街地再開発事業”を採用しています。
前提条件
権利者の所有している”従前資産額”と取得する”従後資産額”は等価である必要があります。
- 施行地区内の権利者の従前の土地や建物に関わる資産の合計を「従前資産」といいます。
- 新しく整備される資産の合計を権利者の「従後資産」といいます。一般的に、市街地再開発事業の場合は、「従後資産」のうちの建物は「区分所有」、土地はそれに見合う「共有持ち分」となります。
- このように、従前資産を従後資産に変換することを「権利変換」(第二種事業では「管理処分」)といいます。
- 土地区画整理事業と同様、一権利者の「従前資産」は「従後資産」と同額になります。
市街地再開発事業の仕組み
- 市街地再開発事業は、以下の「地権者」、「保留床取得者」、「地方公共団体」の3者の協力により成り立ちます。
- 事業に必要な資金は原則として、土地の高度利用で生み出した余剰床の売却資金と地方公共団体からの補助金等でまかないます。
権利変換(管理処分)
- 事業主体が基準や鑑定評価に基づき、地区内地権者の土地・建物を算定し、それに見合う再開発ビルの床と土地の一部が権利者に与えられます。(または金銭での土地売却、移転補償により地区外転出することもあります。)
保留床の処分
- 事業主体は再開発ビルを建設し、権利者に与える床(権利床)のほか売却する床(保留床)により、事業に要する資金を捻出します。
地方公共団体の支援等(公共施設管理者負担金等)
- 道路など公共施設を整備する場合は、その整備に要する費用を当該公共施設の管理者が負担します。これを「公共施設管理者負担金」といいます。
- その他、事業地区の状況に応じて様々な補助金制度や融資制度があります。
管理処分計画とは
管理処分計画とは、譲受け(地権者で再開発ビルに入居)を希望される方が再開発ビルのどの床を所有あるいは借りるかを定める計画です。管理処分計画で定める事項は次のとおりです。
- 配置計画(再開発ビルの各階平面図など)
- 譲受け希望の申出をされた方の氏名等及びその方の資産の見積額、取得する再開発ビルの床の明細及びその概算額
- 賃借り希望の申出をされた方の氏名等及び賃借りする再開発ビルの床
- 施行者が家主となる場合の借家条件の概要
- 保留床の管理処分方法等
- 新たな公共施設の用に供する土地の帰属に関する事項
- 資産評価基準日及び工事完了予定時期
民間活力の導入
- 市街地再開発事業の施行にあたり、再開発ビルの資産価値を高めることや建物整備の円滑化や工期短縮を図ることを目的に、民間事業者のノウハウを活用し、豊富な実績に基づく提案・助言などを受けることができます。
- 民間活力の導入方式には都市再開発法に基づくものと基づかないものを含め、複数の制度があり、本地区では「特定建築者制度」を採用します。
特定建築者制度とは
- 市街地再開発事業の再開発ビルの建築は、事業主体(本地区の場合は施行者である本市)が自ら行なうことが原則ですが、施行者の負担を軽減すると同時に民間事業者等の能力の積極的活用を図りつつ、市街地再開発事業の円滑な実施を図る趣旨から、昭和55年の都市開発法の改正により特定建築者制度が創設されました。
- 特定建築者制度の主なメリットは以下のとおりです。
- 民間事業者等が一定の保留床を取得するため、床処分のリスクが軽減されます。
- 民間事業者等が自らの資金で建物を整備するため、施行者の事業資金調達が軽減されます。
- 民間事業者等のノウハウ活用により、建物整備の円滑化・迅速化が期待できます。
- 民間事業者等のノウハウ活用により、施設建築物(再開発ビル)の有効かつ効果的な管理運営が図られます。
本市では、施設建築物の計画に早期の段階から民間活力のノウハウを取り入れるため、特定建築者の公募に先立ち、民間事業者を事業協力者として募集しました。平成29年10月25日に開催した芦屋市市街地再開発事業事業協力者・特定建築者選定委員会で審査した結果を踏まえ、事業協力者を「東急不動産竹中工務店共同企業体」と決定しました。
事業協力者の選定について
特定建築者については、管理処分計画決定後に改めて公募する予定としています。
代表的な事業手法について
代表的な「まちづくり」の手法としては、「街路事業」、「土地区画整理事業」、「市街地再開発事業」の3つがあり、本地区では、「市街地再開発事業」を採用していますが、それぞれの事業手法でのシミュレーションについては、令和2年11月26日の”JR芦屋駅南地区第二種市街地再開発事業調査特別委員会”で市議会に対して説明しています。
委員会資料の一部を掲載します。
街路事業
目的
主に道路や駅前広場のみを整備する。
手法
道路や駅前広場にかかる用地のみを買収して整備する。
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特徴
- 道路や駅前広場のみ整備するので、費用と時間を抑えられる。
- ”切り取り型”で買収し整備を行なうため、道路や駅前広場にかかる関係権利者は転出する必要がある。
- 買収後利用しにくい土地が残り、家が建てられない場合は別の場所に移転する必要がある。
- 周辺と一体のまちづくりが行えないため、危険な交差点などが生じるなど、課題が残る場合がある。
土地区画整理事業
目的
道路や駅前広場の整備と併せて、個々の宅地を再配置し、より土地を利用しやすくする。
手法
一定の区域を定めて、地区内の地権者から少しずつ土地を提供(減歩)してもらい、道路や駅前広場の整備を行なうとともに、土地の入れ替え(換地)や整形化を行なう。
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特徴
- 一般に道路や駅前広場にかかる関係権利者でも、転出する必要がない。
- 土地の入れ替えや整形化により宅地の利用価値を高めることができる。
- 地区全体で計画的なまちづくりが可能。
- 大きな公共施設整備を行なう場合は用地の先行買収(減価買収)が必要となる。
- 一般的な街路事業と比べ、時間と費用がかかる。
- 借地権者と所有権者が対象権利者で借家人は対象外。このため、借家人は地区外に転出しなければならない場合がある。
市街地再開発事業
目的
道路や駅前広場の整備と併せて、建物を共同化し、関係権利者が地区内にとどまりできるだけ従前と同様の生活や営業を行えるようにする。
手法
一定の区域を定めて、道路や駅前広場の整備を行なうとともに、共同ビル(再開発ビル)を建設し、権利変換により建物の床を取得する。
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特徴
- 道路や駅前広場にかかる関係権利者でも、再開発ビルの床を取得すれば転出する必要がない。(地区外転出と地区内残留のいずれかを選択)
- 共同化により、土地の高度利用や防災性の高い建物整備が可能。
- 借家人も事業に参加し、再開発ビルへの入居が可能。
- 地区全体で計画的なまちづくりが可能。
- 一般的な街路事業と比べ、時間と費用がかかる。
- 再開発ビルを建築するため、事業費が大きくなる。
- 保留床を売却することができない場合の事業リスクを伴う。