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更新日:2024年9月27日
芦屋市内の教職員による研究チームを結成し、芦屋の子どもたちの実情に応じた探究的な学びを研究していきます。
これまでの研究推進事業とは違い、「探究的な学び」に関心の高い教職員が自らの意思で集まり、協働しながら研究を推進する仕組みとなっています。
芦屋市の子どもたちの「学習意欲」や「協働性」、「自己肯定感」や「学校生活の充実感」を高める研究を進めていきます。
第6回の会合では、現在、iGEM Grand Tokyo で生命工学を研究し、国際的なコンテストにも出場する高校生の谷さんをゲストとして招き、「探究的な学び」の必要性やその充実を図るための教師の支援について協議を深めました。
谷さんは、幼少期から「生命」の存在に興味があり、図鑑や博物館などで「生命」について調べる機会が多かったそうです。
そんな谷さんの心に残っている授業について尋ねたところ、自分で育てた植物の観察や、小学校高学年で経験した個人探究の時間と保護者に向けた発表の時間を挙げてくれました。
谷さんは、好きなことに夢中になることを応援してくれたご家族や、興味のあることを探究する時間を設定してくれた当時の先生たちにとても感謝をしているそうです。
自分の思いや考えを明確な言葉に変えながら堂々と話をする谷さんとの協議を通して、あらためて「子ども自らが学ぶ」ことの大切さを私たちも感じました。
参加した教員からも、「これまでは目標を教師が設定し、子どもに押し付けてしまうことがあったが、谷さんの話を聞き、子どもと一緒に目標を設定したり、活動を考えたりすることの大切さについて考えさせられた。」との意見がでました。
講師の山口先生からは、谷さんがご家族や教師からのサポートに恵まれたように、小さいころからの人との結びつきやかかわりが、探究的に学ぶ子どもの意欲を支えるという助言がありました。
第5回の会合では、2学期に実施する朝日ケ丘小学校の宿泊学習の取り組みに関する報告をもとに協議を深めました。
芦屋市では、小学校4年生の教育活動の一環として1泊2日の宿泊学習を実施します。
今回、特に朝日ケ丘小学校では、「子どもの主体性を育む」ことを重点に宿泊学習の単元を開発しました。単元の開発にあたっては、1.「活動の目的」から問い直す。2.宿泊学習全体の単元計画を教師がしっかりと立てておく。3.可能な限り学年全員で活動する。4.学習の目的や育みたい力を保護者と事前に共有する。という4つのポイントを大切にしています。
報告を受けて協議に参加した教員からは、
といった意見が出されました。
また、講師の山口先生からは、子どもに委ねる学びを実現する際には学習課題の水準が大切であり、この水準が子どもにとってやりがいがある程度高いと、子どもたちは深く学び、また、他者との協働も主体的に求め始めるという助言がありました。
第4回の会合では、先進校を訪問した教員からの報告をもとに協議を深めました。
「自由進度学習」の先進校である東浦町立緒川小学校と名古屋市立山吹小学校を視察した教員からは、自分の学びを選び、決め、進める力が子どもたちの中に育っているとの報告を受けました。両校とも、学習計画表をもとに、学習進度や学習方法を子ども自らが考えるところに特徴があります。また、毎時間のふりかえりを積み重ねることで、進捗状況を子ども自らが把握し、自己調整をしながら学ぶ姿が見られたとのことでした。
「PBL」に特色がある名古屋市立矢田小学校では、実社会、実生活に根差した本物の学びを中心としながら、子どもたちが問いを見つけ、その解決を目指す学習活動が設定されていることが報告されました。参観した授業では、どの子も意欲的に学習に参加し、活気にあふれた授業が展開されていたとのことでした。
いずれの学校にも共通する点として、最上位目標である目指す子ども像が全教職員の中で共有されていること、その実現に向けて教師同士が日々対話し、建設的な議論を進めているところに特色がありました。また、学びの主役を「子ども」とし、子どもが主体的に学ぶために教師は「支える」役に徹する点も共通しています。
先進校では、教師が教室の前に立ち、決まった内容を決まった方法で教えるという授業から、子ども一人ひとりが学びのコントローラーを自分の手に持ち、自分の力で学ぶ授業に転換が図られようとしています。視察に参加したONE STEPperも大いに刺激を受け、学びを得た視察となりました。
第3回の会合では、「自由進度学習」に取り組んでいる教員からの実践報告を通して、子どもの主体性を育む教育活動について対話しました。
子どもが学ぶ場所や、学び方を自ら選ぶ「自由進度学習」では、従来の一斉学習と比較すると、主体的に学ぼうとする子どもの姿が多く見られたとの報告がありました。また、子どもが自ら「選ぶ」過程の中で、自分自身の課題に出会い向き合う時間が生まれることも、子どもの主体性が発揮・伸長されるきっかけになっているようです。
一方で「自由進度学習」だけでは、十分に主体性を発揮することができない子どもや、深い学びに到達しないケースがあることも指摘されました。学びを深く本物にするためには、経験学習的なアプローチも必要になるため、今後は、PBL(Project Based Learning)の研究も進めていく必要があります。
6月24日には、「自由進度学習」を先進的に取り組んでいる東浦町立緒川小学校、6月28日には、「自由進度学習」に特色がある名古屋市立山吹小学校と、「PBL」に特色がある名古屋市立矢田小学校へ出張研修に行きます。
次回第4回は、出張研修の報告会です。
第2回の会合では、「ONE STEPpers」に所属する教員が「探究的な学び」を推進する上で、現在抱えている悩みや、取り組んでみたいと考えていることを出し合い、山口先生からご助言をいただく会としました。
「探究的な学び」を推進するためには、これまで以上に、子どもの主体性を大切にした学習活動に取む必要性があります。そして、その実現を図るためには、子どもたちに「委ねる」学習を学校の中に創造していく必要性があるとの意見が多くの参加教員から出されました。
講師の山口先生からは、「委ねる」学習を創造するためには、子どもを信頼し、承認するという教師自身の心構えの大切さとともに、学習活動の中に、子どもたちが自ら「選択」し、「決定」する機会を、可能な限り最大化していくことが重要であるという助言をいただきました。
【演題】「そもそも学校は何のため?」から考える、これからの学校 〜「学びの構造転換」に向けて〜
【講師】苫野 一徳 先生
お二人の先生をお招きし、第1回の会合を行ないました。
苫野先生には、芦屋市教育委員会の教育アドバイザーを務めていただいており、山口先生にはこれから「ONE STEPpers」の専任講師として、指導助言を賜ります。
1回目の会合では、苫野先生に「そもそも学校は何のため?」から考える、これからの学校 〜「学びの構造転換」に向けて〜という演題でご講演をいただきました。
また、参加教職員同士で、これからの授業で取り組みたいことや、今取り組んでいる中での悩みについて対話を行ない、共有された話題について講師の先生から助言をいただきました。