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更新日:2023年6月29日
火災発生時、消防士が行う消火活動において大きな武器となる「水」。
市内のどこで火災が発生しても水を供給できるよう、街中には様々な形で水源が存在しています。
私たち消防士は、この水源を「水利(すいり)」と呼んでいます。
水利には、海や川、池など自然の水源からなるものや、人工的に作られた消火栓や防火水槽などがあります。
消防署では、水利となる施設がいついかなる時も問題なく使用できるかどうか、消防車で市内の水利を確認して回る地水利調査をしています。
今回は、実際の地水利調査の様子をお届けします!
これが消火栓です!
歩道や道路上に設置されているのを、みなさんも街中で見かけたことがあるのではないでしょうか。
「消火栓」と刻印されたフタの周囲は黄色い枠で着色されており、緊急時でも隊員がすぐに見つけやすいように工夫されています!
路上に設置された消火栓は、その上を人や車が往来することでフタが押し込まれ、とても固くなっています。
写真のように屈強な救助隊員であっても、とてもじゃないですが素手の力では開けることができません。
なので、消火栓は大きなバールを使用し、テコの原理を使ってフタを開けていきます。
こちらが使用しているバールです!
ホームセンターなどで見るバールよりは重く、サイズも大きいです!
消火栓のフタを開けてみると、中はこのようになっています。
栓から水が出てくる仕組みは、どのご家庭にもある蛇口と同じです。
中央にある四角の部分に、この後説明する専用の金具をはめ込んで回せば、勢いよく水が出てきます。
(注意!)消火栓のフタは非常に重いです!不用意に取り扱うと、フタが落下して内部の施設を破損したり、重大な怪我をする恐れがあります。決して開けないようにお願いします。
消火栓から水が漏水していないか?破損していないか?
また、消火栓の箱の中に異物(雨水や泥など)が溜まっていないか?などなど
緊急時の使用に支障がないか、手際よくチェックしていきます。
道路上にあるため、ふちには隙間から入り込んだ砂やごみが溜まっています。
少しでも開閉がスムーズに行くよう、きれいにお掃除してから閉じます。
このように、ひとつひとつ丁寧に確認して回ります!
実際に消火栓を使用する際の4つの道具を紹介します!
左から
①スタンドパイプ(ホースを取り付けやすくするために取り付ける延長パイプ)
②消火栓キー(消火栓を開ける・水を出す)
③手カギ(バールで開けたフタを引っかけて持ち上げる道具)
④ホース(スタンドパイプと消防車をつなぐホース)
消火栓とスタンドパイプを接続し、消火栓キーを取り付けて回すと水が出てきました!
火事を消すために出てくる水なので、勢いよく出てきます!!
消火栓と消防車をホースで接続した様子です!
消防車の横で操作しているのは、「機関員」と呼ばれる消防車を運転し、送水操作をする隊員です。
火災消火の可否は、この機関員の腕にかかっていると言っても過言ではありません!
水利調査や日頃の地水利調査を重ね、1秒でも早く水を出せるように尽力しています!
消防車に入ってきた水は、消防車内に内蔵された大きなポンプで加圧され、火災現場の最前線に送られます。
消火栓・防火水槽の付近やその直上での車の駐車は、道路交通法で禁止されています。
イラストのような状況では消火活動に多大な遅れが生じ、被害の拡大を招きます。
街中では公共の駐車スペースを使用し、消火栓・防火水槽を避けての駐車をよろしくお願いします。
詳しくは下記のリンクから、総務省消防庁のページをご覧ください。
☞「消火栓」や「防火水そう」付近は駐車禁止!(総務省消防庁)
サイレンを鳴らさずに街中を走行する消防車両。
災害出動以外にも、今回の地水利調査のように、さまざまな理由で街中を走り回っています。
すべては、市民の方の安心・安全を守るため。
ご理解・ご協力のほど、よろしくお願いします。