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更新日:2014年12月5日

資料編【第2回研修会の記録4~6】

第3章資料編の続き

第2回研修会の記録の続き

(4)地域福祉施策・サービスの改善などに関する評価

(5)地域福祉計画策定の自治体行政改革のインパクト

もう少し細かに見てみましょう。(4)は飛ばして、(5)(6)(7)です。

1つは、地域福祉計画が行政を変えるインパクトになったかどうかです。例えば、みなさんがこうやって参画をしたことが、これから先、計画にどう反映するかということにいちばん関心があると言いました。つまり、皆さんがどう関わってきて、行政がどんなふうに変わっていくか、そのインパクトになったかを見ていかなければなりません。これがきっかけで、「芦屋の職員の中には、私たちの声を聞いて一緒にやっていきたいと思っている人もいるんだな」とか「今までの行政とは違うな。上から頭ごなしにものを言わなくなったな」と発見した人もいるし、逆に「いいや、変わってないで」とか「騙してるんちゃうか」「結局何もしてないのではないか。お金もないし」など感じることもあると思います。
よく「お金ない」と言うでしょ。トータルでいうとないかもしれませんが、でも、そこは配分です。「もっと産業誘致の方へ使いたい」というところもあれば、「高齢者が増えるし福祉産業を充実させよう」というところもないわけではない。お金の使い方です。みんなの声が高く、広がりがあるとわかれば配分も変わってくる。例えば、愛知県の高浜市があります。人口3万しかない小さな市です。首長さんがやる気いっぱいで「福祉で我がまちを立て直したい」と考えた。その周辺の市に合併で飲み込まれてしまうというので、アピールしたいわけです。合併した市でも福祉では高浜がリードしたい。そのためには職員がやる気にならなければならない。職員がそうなろうと思ったら、市民から元気をもらわないとできない。そういう戦略を立てたまちもあります。お金は道路の誘致に使うのか、福祉に使うのかの違いです。
秋田県鷹巣町は、人口3万あったかなかったかの小さな町です。首長さんが選挙で「福祉の町長になる」と言って当選した。最初は議会も反対しました。福祉より産業を振興させたいからです。どんどん中央からお金をとって産業をしたかった。でもひっくり返っちゃったんです。それが面白いというので、映画監督の羽田澄子さんは、カメラかついで現地入りして、要所要所で市民がどう活動するのか、議会がどう変わるかを12年間にわたり撮って映画にしました。それこそ、リサイクルグループ、デイサービスを考えるグループ、ボランティアグループなどのワーキンググループをたくさんつくって、皆さんのアイデアを出して、町長はそれを受けて、議会答弁した。最初の5年くらいは、予算も認められず、反対されて、なかなか実現しなかったけど、5年後から変わってきた。市民もがんばるし、議員さんも理解を示してきてたし、どんどん映画で注目されるし。そこまでは良かったけど、ちょっとやりすぎたかな。合併の話が出て、選挙で負けてしまった。残念です。ほどほどがいいですね。あんまり調子に乗りすぎると、足元をすくわれてこけてしまいます。
要するに、お金をどうするかというのは、最終的には議会が決めることです。議員さんが決める。でも、以前にも話しましたが、議員の方々は、全員がすべての分野のことをパーフェクトに知っているわけじゃないんです。昔、学校に行っていた人が少なかった時代には、それなりの知識、情報、センスがある人しか議員になれなかったけど、今は議員にならなくても、いろんなことを知っている人がたくさんいます。せっかく市民が知識・技能を持っているのに、生かさない手はないです。たとえば、こういう市民会議です。議員にも自分のブレーンを持って、市民の声を聞いて、それを施策に生かしていく人もいたし、そこをつなぐ人もいたものですが、少数派でした。今も増えたと言っても少数派です。みなさんのやることは、予算の決定権はないけど、どういう事業を出せばみんなが喜ぶか、だれが何を必要としているか、先進事例はどんなのがあるかというアイデアをつくっていくことです。
私たちがやっていることは、事業を選ぶことです。策定とは、事業をつくることです。策定委員会というのは市長に対する答申になります。でも、最終的には予算をつけてやるかどうかは議員が決めることです。この計画の中に載っているいくつかのメニューがあり、重点的だといわれるものがある。それに予算をつければどうなるか?1年目はこれだけしか予算をつけられないが、2年、3年積み立ててやると5年先には一定の形になるだろう。そのメニューをつくるのが、市民参加のワーキンググループの課題です。いろいろとアイデアを出しても、それだけでうまくいくわけじゃない。でも、少なくとも、丸投げの時代は終わった。「ちゃんと目利きしてくれる市長や議員じゃなければ次の選挙はお辞めください」ということなんです。日本の投票率は上がらないでしょ。どこかで諦めている。「何かを言ったって変わらない」「私には関係ない」と思っている。それを回復させないといけない。選挙は4年に1回しかないですが、計画の改正時期に、あるいは、市民会議のように計画に先だっての仕込みをやり続ければ、いつでもずっと、恒常的にできるわけです。

(6)地域福祉計画の地域福祉システム化への影響

こういうことをやっていくためには、地域福祉計画をシステム化できるようなものにしなければなりません。これからは、一旦お金がついたらずっとつくという時代ではありません。5年刻み、10年刻みで見直しをしないといけません。行財政改革も、一律カットでは痛みわけでしょう。同じ1割カットでも、パイが大きくなるとなんとかやれますが、予算が少ないほど影響を受けるので、事業自体ができなくなるところもある。「それはないやろう」という感じです。1つ1つの事業がどのくらい大事なものなのかを評価していこうという時代に入っている。それができる職員をつくらなければならない。「大きいだけじゃなくて、たとえ少なくてもこれは意味がある」「今は意味がなくても、10年経ったときに意味があるときちっと説明できる」というような材料づくりを私たちがやっているわけです。ホームレスの問題でも、国際交流の問題でもそうです。ニートの問題でも、最近は議論になっていますが、ずいぶん前から市民活動ではそういうことに取り組んでいた。ずっと放置されてきたから状況が深刻化して、今あわてて対策をつくってます。評価をしながら、施策を展開しないといけない。じゃあ、評価するときに専門家や行政に任せるか?そういうことではない。行政は行政としてやっていかなければならないし、専門家は専門家の立場でやらなければならない。しかし、直接影響を受けているのは市民です。だから市民が評価できる仕組みを考える。専門的に言うと、ベンチマーク方式というのがあります。市民が評価をできる指標とか評価方法です。これが実際のところ、なかなか難しい。だけど、挑戦し、試みてやっていこうということです。評価も市民参加でやっていくためには、みなさんが集まるような会議の拠点が必要ですし、集まるだけじゃなくて、皆さんをつなぐようなコーディネーターがいる。前に申し上げましたが、大阪府にはコミュニティ・ソーシャルワーカーがいます。藤井先生が関わっておられます。市民と行政、専門家の間に立ってつないでいく、そういう仕事がいるんではないかというので、取り組んでいます。そういう地域コーディネーターは、本当は役所の人がやらなければならない。昔の村役場にはコーディネーターがいたものですが、いつの間にかそういう役割はしなくなってきたし、したくなくなってきた。いつも市民に「ああしろ、こうしろ」と言われてやりたくなくなったわけです。それが行動力を弱めてきた。むしろ逆に、積極的にやるようなコーディネーターづくりが重要なのではないでしょうか。

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