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更新日:2020年4月1日
山中 健 市長
本市では阪神・淡路大震災以降、市民のみなさまのご協力をいただきながら、積極的に生活再建、まちの復興に取り組んでまいりました。しかしながら、景気の低迷による市税収入の減少と震災復旧・復興にかかる多大な財政負担から、財政は破綻の一歩手前、このままでは平成20年度に財政再建団体への転落が必至という非常事態にあります。
このため、これまで実施してきた施策を根本から見直し、財政を立て直すことが急務となっています。事務事業の見直しに当たっては、市民のみなさまに多大なご負担とご迷惑をおかけすることになりますが、本市が「国際文化住宅都市」として発展していくためにも自主的に財政再建を成し遂げることが必要です。
市民のみなさまのご理解とご協力をお願い申し上げます。
主な取り組み目標額
芦屋市の財政が危機的な状況に陥っていることは、これまでから広報紙などでお知らせしていますが、このたび平成24年度までの「長期財政収支見込み」を策定しましたので、改めて財政状況や今後の収支見込みについてお知らせします。
平成14年度決算では、経常収支比率107.5%、公債費比率28.4%、起債制限比率22.5%となっており、いずれの数値も前年度を大幅に上回る悪い数値となっています。
経常収支比率は、70~80%が適正とされていますが100%を超えるということは、市税収入など、毎年度、経常的に得られる収入では、人件費、扶助費、公債費(借金の返済)などの経常的な支出を賄えていないことを表しています。市では平成12年度から経常収支比率が100%を超える状況が続いており、毎年基金(貯金)の取り崩し、赤字地方債(借入金)の発行などによって財政運営を行ってきています。
公債費比率、起債制限比率は一般財源等に占める借入金の返済額の割合を示す数値で、公債費比率は10%を超えないことが望ましいとされ、起債制限比率は20%を超えると起債の発行が制限され事業ができなくなります。本市の起債制限比率は20%を超えていますが、震災復興のため特別に起債の発行を許可されています。
平成14年度までは決算、平成15年度は決算見込み
市の歳入の中心である市税収入の状況をみますと、平成4年度の262億円をピークに、景気後退の影響から減少に転じています。特に、平成7年度の市税収入は、平成7年1月に発生した大震災による人口減や家屋等の滅失に加え、震災減免の影響などもあり177億円まで激減しました。
その後、復旧復興事業の進展等に伴い、平成9年度には236億円まで回復しましたが、景気の低迷や地価の下落により市税全体で減少傾向が続いています。平成15年度の決算見込みでは14年度をさらに下回る201億円程度を見込んでいますが、市税収入は平成4年度と比べ60億円以上も減少していることになります。
平成14年度までは決算、平成15年度は決算見込み
市債(地方債)残高及び公債費の状況
震災関連事業の実施に伴い発行した市債(借入金)の影響により平成7年度以降急増し、平成13年度末の普通会計の市債残高は1,161億円に達しました。これは平成5年度末残高240億円の4.8倍にも上っています。
市債残高の増加に伴い、これの返済に要する経費である公債費も当然のことながら年々増加してきています。平成5年度普通会計の歳出総額は448億円、このうち公債費は24億円で、歳出全体の5.4%であったものが、平成14年度決算では歳出総額450億円のうち公債費は94億円となり、歳出全体の21%を占めています。
市税収入の落ち込みと借入金の返済が本市の財政を大きく圧迫しています。
平成14年度までは決算、平成15年度は決算見込み
平成15年度から平成24年度までの収支見込みでは、歳入総額は2,703億円、歳出総額が3,010億円となっており、歳入から歳出を差し引いた10年間の赤字総額は307億円と見込んでいます。
平成15年度末の基金(貯金)残高は139億円と見込んでいますが、一方で平成19年度には150億円、翌20年度には187億円の累積赤字が見込まれ、このままでは平成19年度に基金がなくなり、平成20年度には財政再建団体へ転落(民間企業でいう倒産)する見込みになっています。
この状況を回避するため、財産の処分や使用料、手数料の見直し等で収入を増やす一方、人件費の削減、事業の民営化等を行ない支出を抑制して何とか財政危機を回避しようとするものです。
今回の行政改革実施計画を計画どおり実行しますと、最終の平成24年度には単年度黒字に転換する見込みとなっています。
平成24年度までの収支見込み(一般財源ベース)
(単位:億円)
項目 |
H15 |
H16 |
H17 |
H18 |
H19 |
H20 |
H21 |
H22 |
H23 |
H24 |
計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
歳入 |
315 |
279 |
282 |
266 |
266 |
259 |
258 |
261 |
258 |
259 |
2,703 |
歳出 |
315 |
311 |
308 |
319 |
305 |
296 |
296 |
295 |
288 |
277 |
3,010 |
歳入歳出差引き |
0 |
-32 |
-26 |
-53 |
-39 |
-37 |
-38 |
-34 |
-30 |
-18 |
-307 |
累積収支 |
|
-32 |
-58 |
-111 |
-150 |
-187 |
-225 |
-259 |
-289 |
-307 |
|
行革改善額 |
3 |
13 |
12 |
19 |
22 |
22 |
22 |
21 |
21 |
21 |
176 |
基金による補てん額 |
-3 |
19 |
14 |
34 |
17 |
15 |
16 |
13 |
9 |
0 |
134 |
改善後の収支 |
|
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
3 |
3 |
注行革改善額の主な内容は、行政改革実施計画を参照して下さい。
行政改革実施計画の目標額のうち平成15年度中に実施の確定したもの及び職員定数の削減額は、財政収支見込みの歳入・歳出の額に含まれています。
今回の行政改革実施計画は、今後4年間で財政再建の目途を立て、10年間のうちに、単年度の収支を黒字化することを目標としています。徹底した内部努力と民間活力の導入を図り、山手幹線等の事業費見直しなどコスト節減に努めますが、新たな費用負担や制度の改廃などにより、市民の皆さまはじめ関係各方面の方々にもご負担をおかけするものも少なくありません。
本市が財政再建団体に転落しますと、財政再建計画を策定し国の指導・監督のもと計画を実行しなければななりません。単年度の多額の赤字を解消するために、国・県の基準を上回る行政サービスや本市が独自に行っている施策の縮小や廃止、使用料・手数料等の改定など、今回の行政改革実施計画以上の大幅な見直しを行なう必要がでてきます。財政が苦しい中にあっても、自主的に財政再建の目途を立てることが、芦屋市らしさを残すことでも必要であると考えています。
本市は阪神・淡路大震災までは豊かな財政状況を維持していましたので、市民の負担軽減が図られたり他市にはない独自の施策を実施することができました。しかしながら、市税収入の落ち込み、多額の市債の償還など二重、三重の財政危機の中では、これまでの施策を根本から見直し、財政状況に応じた行政水準にしなければ、本市が自主的に立ち直ることはできません。
計画の実行に当たっては、十分な説明と検証を重ねながら実施しますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。
財政再建団体転落の回避
財政再建団体に転落すると、市の独自施策は制限され、行政サービス水準は国・県基準より低下する等、芦屋市として主体的に施策ができなくなります。そのため市民の皆さまと議会、行政の「参画と協働」により行政改革を進め、財政基盤の確立に取り組むものです。
行政経営システムの構築
財政基盤の確立とあわせ、多様化、高度化する市民ニーズに対応するため、行政サービスの質の向上を目指します。「主体性の発揮」「市民との協働」「柔軟でスリム」をキーワードに新しい行政経営システムの構築に取り組んでいきます。
明日につなげるまちづくり
人々が安全に、安心して、快適に生活している、集う人々がやすらぎを感じる、将来を担う子どもたちが夢と希望を語れる「まちづくり」とともに、まち全体に活力を生むような施策も展開していく必要があります。
「芦屋を訪れてみたい、住んでみたい、住みつづけたい」とだれもが思える「まちづくり」を目指して取り組んでいきます。
行政改革実施計画の主な取り組みと目標額は以下のとおりです。
金額は平成15年度から平成24年度までの合計額です。
各欄の内訳は、主な項目を表しています。
再建団体に転落するとどうなるか、どんな取り組みを計画しているかなどを、よりよくご理解いただくため、山中市長から市民の皆さまに直接ご説明し、皆さまと意見交換を行なう「市民と市長・集会所トーク」が市内14か所で開催されました。350名の方々にご参加いただいて、活発な意見交換が行われました。いただいたご意見やご要望は、今後のまちづくりに生かしていきます。
詳細は市民と市長「集会所トーク」報告のページをご覧下さい。
市民の皆さまに行政改革について、良くご理解いただくために、「広報あしや」等で引き続きお知らせしていく予定です。
行政改革の情報はホームページ、市役所北館1階行政情報コーナーでもご覧になれます。
また、出前講座などご要請があればご説明にうかがいます。
行政改革について皆さまのご意見をお寄せください。
いただいたご意見は、今後の行政改革の参考とさせていただきます。
さらに詳しい内容は、下記のPDFファイルでご覧いただけます。
長期財政収支見込み(平成14年度~平成24年度)(PDF:326KB)(別ウィンドウが開きます))
行政改革実施計画(平成15年度~平成24年度)(PDF:49KB)(別ウィンドウが開きます)
広報あしや(財政非常事態・財政再建緊急メッセージ臨時号)(PDF:62KB)(別ウィンドウが開きます)